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これならどうだ!
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少しドタバタもあったが、取りあえずその夜は静かに眠る事が出来た。
俺は、深い深い腐海に沈んだ嫁ーずの夜間強襲を恐れていたのだが、それはどうやら杞憂だったらしい。
いや、金曜日である明日一日を過ぎれば、嫁ーずが待ちに待った週末となるのだから、今日は自粛しただけなのかもしれない。
最も激しい修練をする金曜日のひよこ師匠を考えれば、前日にゆっくりと身体を休ませてもらえるのは有り難いのだが…明日の夜に嫁ーずが爆発している幻想がチラチラと瞼に浮かぶのは…間違いなく現実となるであろう予感はぬぐえない。
そんな事を考えてたからだろうか…見た夢は荒縄で縛られて三角木馬に乗せられた俺が、蝋燭や鞭で責められて悦ぶという、リアルではあり得ない物だった。
目覚めた瞬間に股間の暴れん棒が超元気だったので、パンツを汚して無いか確認してしまった事は、絶対に嫁ーずには秘密だ。
もしもばれたら、きっと色々な意味で朝から組んず解れずの爛れた時間を嫁ーずと過ごす羽目になるだろう…。
「ぐぅぅぅ! さらに出来る様になったな!」
金曜のひよこ師匠が、どっかの赤い人みたいな事を言った。
ならば返す言葉は…えっと、えっと…思い出せん!
もうこれで良いや。
「ぼ…僕は…僕は…ひよこ師匠に勝ちたい!」
「ほう、大きく出たな! 覚醒直後の君であれば、私にも対応できるぞ!」
ひよこ師匠との高速戦闘中にこんな口を叩けるのは、覚醒したからだろうか。
「す、すごい…2人の姿が見えない…」
傍で剣を振っていたイネスが、俺とひよこ師匠の模擬戦(?)を見てぽつりと漏らした言葉が、妙にはっきりと耳に届いた。
俺達の模擬戦が見えない…とイネスは言うが、俺には今までよりもそう大きく速度が上がった様には感じない。
感覚としては、多少は速度が上がったし、無駄口が叩ける程度には余裕も出来た気はするのだが、そこまでって感じはしないんだけどなぁ。
「これならどうだ!」
あの覚醒の時に覚えた、肉体と精神体の分離? で、一瞬だけ肉体からひよこ師匠の背後に精神体を切り離してのフェイント。
「む!?」
武術の達人であるひよこ師匠だからこそ、背後から迫る気配に反応してしまう。
高速移動中に無防備になった肉体派、慣性にしたがいすっ飛んで行くが、瞬間的に精神体を戻して…、
「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
全力全開の胴回し蹴り…だけど、横じゃ無くて縦回転になってしまった!
「うぉ!」
頭に迫る俺の足を慌てて受けたひよこ師匠。
「さーらーにー…裏拳! せいやっ!」
着地と同時に、踵を軸にして身体ごと回転しての裏拳をひよこ師匠に放った。
「がっ!」
俺の右拳に、確かにひよこ師匠への攻撃が通った感触が…。
「そこで止まるとは、甘い! 鉄山靠!」
ひよこ師匠が踏みだした足が俺の軸足へと当たり、半身になった方が俺を…、
「ぶふぉぉぉぉぉ!」
ふっ飛ばした。
「ふぅ、今日はここまでにしようか」
そう言って、ひよこ師匠は俺へと手(羽?)を差し出した。
「君が覚醒したのは間違いないようだな」
胡坐をかいていた俺がイネスから受け取ったタオルで額の汗を拭っていると、目の前に座るひよこ師匠がマジマジト俺を見つめてぼそりと言った。
「だが、まだまだ覚醒の初期段階だ。とはいえ、私に一撃を入れられたのだから、このまま修行を続けるとしよう」
褒められると、やっぱ嬉しいもんだ。
「あざーっす!」
トール君は、褒められたら伸びる子なんですよ!
「だが、あのフェイントは褒められないぞ? あのやり方は本体が無防備すぎる。まあ、すぐに出来る様にはなるが…。そうだ、違う指導者を紹介しよう! 彼から別のフェイントを学べばよい」
それは有り難いんだけど…。
「えっと、覚醒するっていう目的のための手段としての模擬戦だったのでは? 戦闘技術を学ぶんじゃなくて…。目的と手段が入れ替わってね?」
絶対に模擬戦の意味が変わってしまったよね?
「細かい事を言うな。戦闘能力が上がって困るもんでも無かろう?」
俺の言葉を受けたひよこ師匠は、そんなの関係ねー! とばかりに言い切った。
「いや、まぁ…そりゃそうですけど…」
そうひよこ師匠が言うなら、頑張りますか。
「ところで、違う指導者って…どんな術行を御専攻で?」
「それは後のお楽しみだよ」
表情は変わらないけど、ひよこ師匠がニヤリと笑った気がした。
※ 諸事情により、今月度のこの後の更新は 毎週 水曜 と 日曜 の2回とさせて頂きます。いつも読んで頂いている皆様には、大変なご迷惑をおかけしますが、ご容赦頂きたくお願いいたします。
俺は、深い深い腐海に沈んだ嫁ーずの夜間強襲を恐れていたのだが、それはどうやら杞憂だったらしい。
いや、金曜日である明日一日を過ぎれば、嫁ーずが待ちに待った週末となるのだから、今日は自粛しただけなのかもしれない。
最も激しい修練をする金曜日のひよこ師匠を考えれば、前日にゆっくりと身体を休ませてもらえるのは有り難いのだが…明日の夜に嫁ーずが爆発している幻想がチラチラと瞼に浮かぶのは…間違いなく現実となるであろう予感はぬぐえない。
そんな事を考えてたからだろうか…見た夢は荒縄で縛られて三角木馬に乗せられた俺が、蝋燭や鞭で責められて悦ぶという、リアルではあり得ない物だった。
目覚めた瞬間に股間の暴れん棒が超元気だったので、パンツを汚して無いか確認してしまった事は、絶対に嫁ーずには秘密だ。
もしもばれたら、きっと色々な意味で朝から組んず解れずの爛れた時間を嫁ーずと過ごす羽目になるだろう…。
「ぐぅぅぅ! さらに出来る様になったな!」
金曜のひよこ師匠が、どっかの赤い人みたいな事を言った。
ならば返す言葉は…えっと、えっと…思い出せん!
もうこれで良いや。
「ぼ…僕は…僕は…ひよこ師匠に勝ちたい!」
「ほう、大きく出たな! 覚醒直後の君であれば、私にも対応できるぞ!」
ひよこ師匠との高速戦闘中にこんな口を叩けるのは、覚醒したからだろうか。
「す、すごい…2人の姿が見えない…」
傍で剣を振っていたイネスが、俺とひよこ師匠の模擬戦(?)を見てぽつりと漏らした言葉が、妙にはっきりと耳に届いた。
俺達の模擬戦が見えない…とイネスは言うが、俺には今までよりもそう大きく速度が上がった様には感じない。
感覚としては、多少は速度が上がったし、無駄口が叩ける程度には余裕も出来た気はするのだが、そこまでって感じはしないんだけどなぁ。
「これならどうだ!」
あの覚醒の時に覚えた、肉体と精神体の分離? で、一瞬だけ肉体からひよこ師匠の背後に精神体を切り離してのフェイント。
「む!?」
武術の達人であるひよこ師匠だからこそ、背後から迫る気配に反応してしまう。
高速移動中に無防備になった肉体派、慣性にしたがいすっ飛んで行くが、瞬間的に精神体を戻して…、
「うりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
全力全開の胴回し蹴り…だけど、横じゃ無くて縦回転になってしまった!
「うぉ!」
頭に迫る俺の足を慌てて受けたひよこ師匠。
「さーらーにー…裏拳! せいやっ!」
着地と同時に、踵を軸にして身体ごと回転しての裏拳をひよこ師匠に放った。
「がっ!」
俺の右拳に、確かにひよこ師匠への攻撃が通った感触が…。
「そこで止まるとは、甘い! 鉄山靠!」
ひよこ師匠が踏みだした足が俺の軸足へと当たり、半身になった方が俺を…、
「ぶふぉぉぉぉぉ!」
ふっ飛ばした。
「ふぅ、今日はここまでにしようか」
そう言って、ひよこ師匠は俺へと手(羽?)を差し出した。
「君が覚醒したのは間違いないようだな」
胡坐をかいていた俺がイネスから受け取ったタオルで額の汗を拭っていると、目の前に座るひよこ師匠がマジマジト俺を見つめてぼそりと言った。
「だが、まだまだ覚醒の初期段階だ。とはいえ、私に一撃を入れられたのだから、このまま修行を続けるとしよう」
褒められると、やっぱ嬉しいもんだ。
「あざーっす!」
トール君は、褒められたら伸びる子なんですよ!
「だが、あのフェイントは褒められないぞ? あのやり方は本体が無防備すぎる。まあ、すぐに出来る様にはなるが…。そうだ、違う指導者を紹介しよう! 彼から別のフェイントを学べばよい」
それは有り難いんだけど…。
「えっと、覚醒するっていう目的のための手段としての模擬戦だったのでは? 戦闘技術を学ぶんじゃなくて…。目的と手段が入れ替わってね?」
絶対に模擬戦の意味が変わってしまったよね?
「細かい事を言うな。戦闘能力が上がって困るもんでも無かろう?」
俺の言葉を受けたひよこ師匠は、そんなの関係ねー! とばかりに言い切った。
「いや、まぁ…そりゃそうですけど…」
そうひよこ師匠が言うなら、頑張りますか。
「ところで、違う指導者って…どんな術行を御専攻で?」
「それは後のお楽しみだよ」
表情は変わらないけど、ひよこ師匠がニヤリと笑った気がした。
※ 諸事情により、今月度のこの後の更新は 毎週 水曜 と 日曜 の2回とさせて頂きます。いつも読んで頂いている皆様には、大変なご迷惑をおかけしますが、ご容赦頂きたくお願いいたします。
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