システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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…パスで

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 はぁ…、やっと帰ったよ…長かった…。
 確かに覚醒したって実感はあったけど、それの説明するだけで、これか。
 長いよ! 長すぎるって! もうお昼じゃん!
 って…先に邸に引っ込んだ嫁ーずに、一体何を言われるか…それ考えると怖!

「で、こんな時間まで、お2人でナニをされてたんでしょうか?」
 め、メリルさん…何って言葉がカタカナに感じますけど?
「野外で!?」
 おい、ミルシェ! 話をしてただけだ! いや、野外だけど…。
「ふ、不潔です…」
 いえ、あのミレーラさん?
「トールさまは、そちらにも目覚めてしまったのですね…よよよ…」
 そちらってどっちの事だよ、マチルダ! あと、嘘泣き止めれ!
「みんな、トールさまを責めるな! で、トールさまは攻め? 受け?」
 イネス、お前に何言ってくれちゃってるの!?
「言っとくけど、俺とひよこはそんな変な関係とかじゃ無いからな!」
「え~~~? それだと薄い本描けないじゃん!」
「お前か! お前が腐教したんだな、ユズカーーーー!」
 案の定、邸に戻った俺を取り囲んだのは、腐海に沈んだ嫁ーず&ユズカだった。

 監視カメラとか防犯カメラとかがあれば、俺とひよこの間には何も無かった事を証明出来てたんだろうが、ここはそんな物が存在しない世界。
 全員の目の届かぬ場所で1刻も誰かと2人きりになれば、それはいらん奏上力も働くという物だろう。
 だが、それって普通は異性との関係を疑うって事だよね? 同性との不貞を勘繰ったりは普通はしないはずだよね?
 なのに、我が家の女共は…ユズカという巨大な腐海の侵略によって、どっぷり腐り切っちまいやがった!

 あれ? そもそもの腐れの大家である、サラとリリアさんはどこ行った。
 そう言えば姿が見えないけれど…。
「ああ、あの2人なら地下ですよ」
 俺の考えを察したのか、マチルダが教えてくれた。
「なるほど、またロボットを弄りまわしてんのか」
 2人もそうだけど、ダンジョンマスター達も武器開発が好きだねぇ。
「あ、そっちでは無く、自室で寝てます」
 えっ?
「新装備の脳への負担が大きすぎてダウンしているとか。何でも速度を瞬間的に1000倍にまで引き上げる装置で、脳の処理速度が追い付かずに気絶したそうです」
 1000倍って、8〇ンの加速装置かよ! 
 ってか、そんなに急激に速度上げたら、絶対に脳の神経が焼き切れるだろう!
 確かに8マ〇は生身の脳だからそれが弱点というか耐えられ無くて危険だって話だったよな? そりゃ、2人の脳は高性能なダンジョンマスター製のだから理論的には耐えられるようになってるからこそテストしたんだろうけど…1000倍!?
 そりゃ、脳だってパンクするだろうよ…。
「モフリーナ曰く、『1刻の間、強制的に1000倍で加速すると、体感的に本人は2ヶ月半ぐらいの時間を過ごす事になる』そうです。それがロボットの目を通してみた景色との差に耐えられなかったとか…」
 ん? って事は…、
「もしかして、ロボを1歩も動かさずに、ただ本人の脳の処理速度だけを1000倍にしたって事なのか?」
「私にも詳しくは理解出来なかったのですが…そうなるのですかねぇ」
 ………………怖すぎだろ!

 自分は普通に動けるのに、周囲が1/1000の速度になるって事は、つまりは1/1000のスロー再生の動画をずっと見てる様なもんじゃないか!
 いや、物理的に1000倍の速度で動くなって事は不可能だから、確かに脳の速度を引き上げる事で、敵の戦術とかを普通の1000倍考える事が出来るんだろうから、それはそれで凄い事なのかもしれない。
 でも、思考とリアルな世界とのスピードの乖離が激しすぎて、自分が自分で無くなるような、おかしな感覚にならないか?
 ってか、俺なら間違いなく酔う自信がある!
 まあ、実際には2人がどんな世界を見たり体験したのかは分かんないけど。

「あっ! そう言えば、先程王都のお義母様から連絡がありました」
 唐突に話題を変えましたね、マチルダさんや。
「何て?」
「今度、手合わせをして欲しいと。新武器での立ち合いをご所望らしいです」
 マジの母さんが相手だったら、間違い無く死合になるよ!
 しかも死ぬの俺だよ!
「…………パスで」
「それは無理ですね。なにせ、メリルさんが喜々として了承してましたから」
「メリルーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
 
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