システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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ものすごい善人?

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 そう言えば…、
「ちょい気になった事があるんだけど」
「なにかな? 私のスリーサイズならば、秘密だよ?」
 んなもん、知りたいと思った事もねーわ!
「じゃなくて! 覚醒とか解脱ってさ、もの凄い善人にしか出来ないもんだとばっかり思ってたんだけど? 煩悩とか欲とかかと縁遠い人達にしか出来ないもんだと…」  
 お釈迦様とかキリストとか…そんなイメージだよね?
「なるほど、君が言いたい事は理解出来た。だが、本当にそう思うかね?」
 どゆこと?
「善人…ね。君は、完全なる善人にしか覚醒や解脱は不可能だと思うかい?」
「だって、俺が知ってる過去に解脱した偉い人って、みんな善人じゃん」
 え、何か違った?
「まあ、少なくとも悪人という分類はされて無いな」
「え、何…その微妙な言い回しは?」
 って事は、善人でも無かったって事?
「私は先ほど、『完全なる善人にしか覚醒や解脱は不可能だと思うか』と訊いたのだ。君が尾頭に思い浮かべた人物は、きっと君にとっては善人だったのだろう。だが、その人物は、完全なる善人だったのかい?」
 えっと…何を言ってるのか、意味わからん…。
「いいかい、完全なる善人…善であれば、如何なるものも口にする事は出来ない」
「どうして?」
「簡単だよ。完全なる善人であれば、自分を生かすために他の生き物を殺す事が出来ないからさ。っと言うと、そこそこ頭の良い君であれば、肉類や魚介類が殺生の末の食べ物だと気付くだろう。そしてきっと君はベジタリアンになればいいと言うだろうが、それも不可だ。なぜならば、植物も生き物だからだ」
 …なるほど、言っている意味は理解出来る。
「つまりは、食欲という欲望を捨てきれていないという事だ」
「で、でも!」
「では、神はそんな欲望とは縁遠いとでもいうつもりかね?」
 言うつもりでした。
「神と言われる存在だって、欲望まみれじゃ無いか。子作りしまくってるだろ? 肉欲から逃げられてないよ?」
 そう言えば、神様って子沢山だったよな…。

「つまり、欲望とか煩悩とかを全く持たない完全なる善性を持った者だけが覚醒や解脱をするのでは無いという事だよ。まあ、完全なる悪も存在しないけどね」
 悪? え、悪って悪の大魔王とか? え、絶対に悪なんじゃ無いの?
「君ねぇ、完全なる善性を持つ者が居ないって話をしただろう? 悪の軍団とかのボスが完全なる悪? あり得ないって」
「…もしかして、部下を信じるとかってのが、善性に繋がる?」
「その通りだよ。悪の軍団のボスが、部下を信じる? 助ける? 本当の悪ってのはそうじゃ無いだろう? 自分以外の全てを否定するだけじゃなく、存在そのものが許せないはずだ。そして、最後には自分自身をも否定する事になる。これこそが真の悪というものだよ」
 怖! 悪ってめっちゃ怖!

「だから君がいくら欲望にまみれて爛れた生活…失礼、性活をしていようとも、覚醒も解脱も可能だという事なのだよ」
「ちょっと待て! 今、何気に生活を言い直したよな? おかしな漢字あてなかったか? あてたよな、な!?」 
「気のせいだ。あんまりおかしな妄想ばっかりしてたら、禿げるぞ?」
「いらんお世話だ!」
 確か、昔にも誰かに禿げるとか言われた気がする…。
 俺、そんなに危険領域なの? 
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