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俺自身かよ!
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うん、理解は出来たと思う。
きっと、これが覚醒というか解脱なんだ。
俺は、覚醒とか解脱という言葉に惑わされてたのかもしれない。
覚醒という単語から、俺は自分の中に眠っている特殊な能力が目覚めるのだと、解脱という言葉から悟りの境地に至る事なんだとばかり思ってた。
だけど、それ自体が間違ってたんだ。
確かに目覚めはしたさ。
でも特殊能力とかじゃなかった。
目覚めたのは、今まで気付かなかった理を理解するための何かが目覚めたんだ。
悟りの境地に至ったさ。
悩みも煩悩も縛りからも解放される事が出来れば、悟りに至ると気付いたんだ。
ありとあらゆる縛りから解放され、それらを全てを近くして理解する。
こういう事だったんだと、今なら全てが理解出来る。
まあ、そう言ってしまえば簡単なんだろうけれど、それが簡単には出来ないからこそ、お釈迦様や達磨大師は何年もそれだけのために費やしたんだ。
ひよこ師匠達やその他にも多くの人達の助けを得る事が出来たからこそ、俺もその境地に至ったってわけだ。
きっと俺だけだったら、ここまで来る事なんて出来なかっただろうな。
そんな事を眼下に見える真っ青な星を眺めながら、ぼんやりと考えていた。
ところで、嫁ーずの元に帰ろうと思ったんだけど、これ…どうやって戻ったらいいんだろう?
どうやらさっきから自分自身を確かめた所、今の俺は肉体が無い…つまりは実体がない状態だという事はわかった。
えっと、つまりはこの身体は、精神体だけって事なのかな?
触覚とかはあるから、ただの精神体じゃ無い様なんだけど…霊体とかなの?
解脱って、幽体離脱みたいな事なんだろうか。
え~っと…、それじゃ俺の肉体的な身体は、ネス湖の畔にあるのかな?
どうやったら帰れるんだろう?
取りあえず、帰りたいって念じてみればいいんだろうか。
解脱とか覚醒出来たんだったら、こんな時どうしたらいいかなんて分かりそうなもんなのになぁ…取り扱い説明書もついでに付けて欲しかったよ。
ん~~~~~~、元の体に、戻れ~戻れ~戻れ~~~~~~~~~!
両のこめかみを、両手の人差し指でぐりぐりしながら強く強く念じていると、
「うおっ!?」
急に強い力で何かに引っ張られ、一気に眼下の星へと落ち始めた。
「んぎゃぁぁぁぁっぁぁぁあぁぁぁぁっぁあっぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁ!!!」
あれ? えっと、全然怖くないぞ?
ぐいぐいと俺を引っ張る力は、何故か懐かしいような馴染みがある様な力だ。
いや、めっちゃ落ち着くし気持ちが良いんだけど…?
優しく俺を包み込んでくれる様な、子供の頃に母さんが帰宅した俺を優しく抱きしめてくれた時の様な、柔らかく慈しんでくれる様な、愛されているような感覚。
きっと、この地からの先には、俺の帰りを待ってくれている嫁ーずが居るんだ。
戻った俺を、優しく抱きしめてくれるんだ。
ああ、俺も身体に戻ったら、優しく…でも強くみんなを抱きしめよう。
どんどんと大きな大地が視界いっぱいに広がって来て、その中の一点…懐かしの我が領地にあるネス湖も見えて来た。
ああ、もうすぐ俺を待っているみんなに会えるんだ…。
ネス湖の湖畔の一点に向かい、俺は引っ張られ続けた。
そうか、あそこに俺を待つ人が居るんだな。
さ、もう少しだ…もう少し…って、あれ?
ちょ、ちょっと待て待て待て!
俺を待ってる人なんていねぇじゃねーか!
正座して木曜のひよこ師匠の前で、湯呑の中を見つめている俺だけじゃねーか!
って、俺…あの姿勢のままだったの? 時間は? え、ど、どうなって…、
って、引っ張ってたのって俺自身かよ!
おかしな妄想しまくっちゃってたよ!
誰にも言えねーよ、こんな事!
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
『きゃ!』
俺はどうやら戻って来たらしい。
「と、トールさま。突然大声を出したりして、どうされたのですか?」
隣に正座していたメリルが俺に声を掛けてきた。
「び、びっくり…しました…」
反対側に同じく正座していたミレーラ。
「茶に何か入ってたのか?」
イネスも驚いた顔をしていた。
俺が何て言おうかと考えていると、
「ふむ。その様子から察するに…、君、目覚めただろう?」
静かにひよこ師匠がそう言い、それに俺は小さく頷き、はっきりと答えた。
「はい」
きっと、これが覚醒というか解脱なんだ。
俺は、覚醒とか解脱という言葉に惑わされてたのかもしれない。
覚醒という単語から、俺は自分の中に眠っている特殊な能力が目覚めるのだと、解脱という言葉から悟りの境地に至る事なんだとばかり思ってた。
だけど、それ自体が間違ってたんだ。
確かに目覚めはしたさ。
でも特殊能力とかじゃなかった。
目覚めたのは、今まで気付かなかった理を理解するための何かが目覚めたんだ。
悟りの境地に至ったさ。
悩みも煩悩も縛りからも解放される事が出来れば、悟りに至ると気付いたんだ。
ありとあらゆる縛りから解放され、それらを全てを近くして理解する。
こういう事だったんだと、今なら全てが理解出来る。
まあ、そう言ってしまえば簡単なんだろうけれど、それが簡単には出来ないからこそ、お釈迦様や達磨大師は何年もそれだけのために費やしたんだ。
ひよこ師匠達やその他にも多くの人達の助けを得る事が出来たからこそ、俺もその境地に至ったってわけだ。
きっと俺だけだったら、ここまで来る事なんて出来なかっただろうな。
そんな事を眼下に見える真っ青な星を眺めながら、ぼんやりと考えていた。
ところで、嫁ーずの元に帰ろうと思ったんだけど、これ…どうやって戻ったらいいんだろう?
どうやらさっきから自分自身を確かめた所、今の俺は肉体が無い…つまりは実体がない状態だという事はわかった。
えっと、つまりはこの身体は、精神体だけって事なのかな?
触覚とかはあるから、ただの精神体じゃ無い様なんだけど…霊体とかなの?
解脱って、幽体離脱みたいな事なんだろうか。
え~っと…、それじゃ俺の肉体的な身体は、ネス湖の畔にあるのかな?
どうやったら帰れるんだろう?
取りあえず、帰りたいって念じてみればいいんだろうか。
解脱とか覚醒出来たんだったら、こんな時どうしたらいいかなんて分かりそうなもんなのになぁ…取り扱い説明書もついでに付けて欲しかったよ。
ん~~~~~~、元の体に、戻れ~戻れ~戻れ~~~~~~~~~!
両のこめかみを、両手の人差し指でぐりぐりしながら強く強く念じていると、
「うおっ!?」
急に強い力で何かに引っ張られ、一気に眼下の星へと落ち始めた。
「んぎゃぁぁぁぁっぁぁぁあぁぁぁぁっぁあっぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁ!!!」
あれ? えっと、全然怖くないぞ?
ぐいぐいと俺を引っ張る力は、何故か懐かしいような馴染みがある様な力だ。
いや、めっちゃ落ち着くし気持ちが良いんだけど…?
優しく俺を包み込んでくれる様な、子供の頃に母さんが帰宅した俺を優しく抱きしめてくれた時の様な、柔らかく慈しんでくれる様な、愛されているような感覚。
きっと、この地からの先には、俺の帰りを待ってくれている嫁ーずが居るんだ。
戻った俺を、優しく抱きしめてくれるんだ。
ああ、俺も身体に戻ったら、優しく…でも強くみんなを抱きしめよう。
どんどんと大きな大地が視界いっぱいに広がって来て、その中の一点…懐かしの我が領地にあるネス湖も見えて来た。
ああ、もうすぐ俺を待っているみんなに会えるんだ…。
ネス湖の湖畔の一点に向かい、俺は引っ張られ続けた。
そうか、あそこに俺を待つ人が居るんだな。
さ、もう少しだ…もう少し…って、あれ?
ちょ、ちょっと待て待て待て!
俺を待ってる人なんていねぇじゃねーか!
正座して木曜のひよこ師匠の前で、湯呑の中を見つめている俺だけじゃねーか!
って、俺…あの姿勢のままだったの? 時間は? え、ど、どうなって…、
って、引っ張ってたのって俺自身かよ!
おかしな妄想しまくっちゃってたよ!
誰にも言えねーよ、こんな事!
「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
『きゃ!』
俺はどうやら戻って来たらしい。
「と、トールさま。突然大声を出したりして、どうされたのですか?」
隣に正座していたメリルが俺に声を掛けてきた。
「び、びっくり…しました…」
反対側に同じく正座していたミレーラ。
「茶に何か入ってたのか?」
イネスも驚いた顔をしていた。
俺が何て言おうかと考えていると、
「ふむ。その様子から察するに…、君、目覚めただろう?」
静かにひよこ師匠がそう言い、それに俺は小さく頷き、はっきりと答えた。
「はい」
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