1,424 / 1,466
未来を
しおりを挟む
唐突に理解した。
それは、木曜日の茶道の師匠との修行? の時だった。
陽光をキラキラと反射する静かな湖畔をぼうっと眺めていた時、なぜか唐突にこの世界の全てを理解してしまった。
いや、この世界の…だけではない。
宇宙の真理というか、真実というか、道理というか…とにかく、絶対に永遠に不変の理の様な物を、何故か理解してしまった。
え、何で急に?
えっと、さっきまでの俺は確か…木曜のひよこ師匠と茶道を通じて自分の周りを、自然を感じろと言われて…んで、湯呑の中のお茶をじっと見つめていたんだっけ?
俺の手の動きと、時には同調し、時には反発する様に動く湯呑の中のお茶を見つめていて…あれ? あの後、俺…お茶飲んだんだっけ?
って、あ、あれ? 何時の間に湖畔に俺1人だけ立ってるんだ?
えと、今日の茶道の時間は、確かメリルとミレーラとイネスもいたはず…?
ふと空を見上げると、何故かそこには夜空…じゃない、これ宇宙だろ!?
めちゃくちゃに星がでっかく見える!
いやいや、おかしいだろ!?
確か、まだ昼前だったはずだし、一緒に居たメリルにミレーラにイネスはどこ行ったんだ? って、俺…浮いてる!?
あ、足元が…あっ? 足元に見えるのって、俺達の星なんじゃね?
何度かヒナとミヤと一緒に空の上から見た事あるから、間違い無いはず。
んじゃ、俺って宇宙にいるの? 普段着のままで? どうやって来たんだ?
待て待て待て、宇宙って空気無いはずだよな。
宇宙服を着ないで宇宙に放り出されたら、確か体温が徐々に低下するんだったっけ? んで、真空だからって息を止めると、圧力の関係で肺が爆発したり、血液中で酸素とか二酸化炭素とかが泡になって脳で詰まって死ぬとか聞いたことあるぞ?
いや、ここは薄いとは言っても、まだ空気がある場所なのか?
遠くに太陽が見えるけど…って、えええええーーー! どんどん太陽に引っ張られて行く! 待って待って、そっちに行ったら、俺死んじゃうよ!
あ…止まった。どうなってんだ?
取りあえず元居た場所に戻りたい…って、戻れるんかーーい!
どんどん星が近づいて…近づいて…って、今度は大気圏突入で燃え尽きちまうわ!
止まれ止まれ止まれーーーーーーーって、止まった?
ど、どうなってんだ、こりゃ?
ちょっと落ち着こう。
俺、本当に宇宙に居るのか?
いや、正しくは、俺の肉体が宇宙に来ちゃったのか? だな。
だって、おかしいだろ?
さっきまで確かにネス湖の湖畔に居たはずなんだ。
そんで、ひよこ師匠に茶道を通して自然を感じろとか言われて、そんで湯呑の中を見つめてて…で?
湯呑の中のお茶の動きをコントロールしようとかしてたけど、それが上手くできなくて、なるべく揺らさないようにそっと持って…。
そうあの時、ダンジョンマスターとか副局長の言葉とかを思い出したんだよな。
とある場所の1点から巨大なエネルギー体が吸い込まれて爆発して、この宇宙が出来たとか何とか。
湯呑がこの宇宙の元tなる場所だったなら、そこに注がれたお茶は、エネルギー体みたいだなって…。
お茶=エネルギー体だったら、出来るだけ静かな状態で維持しようとするだけで難しいのに、思った様にコントロールしようとして強い力を加えたって駄目だって。
形あるものは壊れるって言うけれど、お茶を包み込んでいる湯呑も、またいつか壊れるかもしれない…。
そして、その湯呑は俺達の世界に存在する物であって、この湯呑の外にさらに新たな湯呑を作ったとしても、それはやはり俺達の世界に存在する物の1つでしかない。
この宇宙の外側に新たな宇宙を創り出したとしても、それはこの宇宙を包む大いなる何かに内包されているだけの存在でしかない…とか、考えた気がする。
ああ、そうだ。
俺は確かにあの時、この宇宙の真理に気付いて理解したんだ。
知識では知ってはいたが、本当の意味でそれを理解出来た。
俺は、この世界の1つの存在でしか無く、でもそれは世界を構成する1つであり、この世界全てが俺自身でもあるという事に。
それがどんなに遠く離れていようとも、どれほど近くにあろうとも、それは関係ない事であり、望めばそれと物理的な距離は関係ないんだと。
過去も現在も未来も、どんな次元であろうとも、それはいつでも手が届く場所にあるんだが、手が届かない場所でもあるという事に。
ああ、なんだ…こんなに簡単な事だったのか。
この宇宙って、こんなにも間違いや矛盾だらけなのに調和がとれた世界なんだ。
ああ、そうなんだ…俺は今、心だけが宇宙を漂っているんだ。
距離も時間も全てを飛び越え、精神だけがこの広い宇宙を彷徨っているんだ。
ならば、次にすべきことはこの宇宙が始まった瞬間に決まっていた事。
俺が生まれる前から決まっていた、矛盾する予定。
俺が俺を倒すのではなく、俺が俺を取り戻すために。
遥かな世界を飛び越えて、あいつに会いに行かねばならないという予定。
未来は一方向に流れているが、その流れは幾らでも変える事が出来る。
だから、変えに行こう…未来を。
さしあたっては、俺が元居た場所へ戻らなきゃな。
あの美しい、ネス湖の湖畔の邸へと。
嫁ーずの元へと。
それは、木曜日の茶道の師匠との修行? の時だった。
陽光をキラキラと反射する静かな湖畔をぼうっと眺めていた時、なぜか唐突にこの世界の全てを理解してしまった。
いや、この世界の…だけではない。
宇宙の真理というか、真実というか、道理というか…とにかく、絶対に永遠に不変の理の様な物を、何故か理解してしまった。
え、何で急に?
えっと、さっきまでの俺は確か…木曜のひよこ師匠と茶道を通じて自分の周りを、自然を感じろと言われて…んで、湯呑の中のお茶をじっと見つめていたんだっけ?
俺の手の動きと、時には同調し、時には反発する様に動く湯呑の中のお茶を見つめていて…あれ? あの後、俺…お茶飲んだんだっけ?
って、あ、あれ? 何時の間に湖畔に俺1人だけ立ってるんだ?
えと、今日の茶道の時間は、確かメリルとミレーラとイネスもいたはず…?
ふと空を見上げると、何故かそこには夜空…じゃない、これ宇宙だろ!?
めちゃくちゃに星がでっかく見える!
いやいや、おかしいだろ!?
確か、まだ昼前だったはずだし、一緒に居たメリルにミレーラにイネスはどこ行ったんだ? って、俺…浮いてる!?
あ、足元が…あっ? 足元に見えるのって、俺達の星なんじゃね?
何度かヒナとミヤと一緒に空の上から見た事あるから、間違い無いはず。
んじゃ、俺って宇宙にいるの? 普段着のままで? どうやって来たんだ?
待て待て待て、宇宙って空気無いはずだよな。
宇宙服を着ないで宇宙に放り出されたら、確か体温が徐々に低下するんだったっけ? んで、真空だからって息を止めると、圧力の関係で肺が爆発したり、血液中で酸素とか二酸化炭素とかが泡になって脳で詰まって死ぬとか聞いたことあるぞ?
いや、ここは薄いとは言っても、まだ空気がある場所なのか?
遠くに太陽が見えるけど…って、えええええーーー! どんどん太陽に引っ張られて行く! 待って待って、そっちに行ったら、俺死んじゃうよ!
あ…止まった。どうなってんだ?
取りあえず元居た場所に戻りたい…って、戻れるんかーーい!
どんどん星が近づいて…近づいて…って、今度は大気圏突入で燃え尽きちまうわ!
止まれ止まれ止まれーーーーーーーって、止まった?
ど、どうなってんだ、こりゃ?
ちょっと落ち着こう。
俺、本当に宇宙に居るのか?
いや、正しくは、俺の肉体が宇宙に来ちゃったのか? だな。
だって、おかしいだろ?
さっきまで確かにネス湖の湖畔に居たはずなんだ。
そんで、ひよこ師匠に茶道を通して自然を感じろとか言われて、そんで湯呑の中を見つめてて…で?
湯呑の中のお茶の動きをコントロールしようとかしてたけど、それが上手くできなくて、なるべく揺らさないようにそっと持って…。
そうあの時、ダンジョンマスターとか副局長の言葉とかを思い出したんだよな。
とある場所の1点から巨大なエネルギー体が吸い込まれて爆発して、この宇宙が出来たとか何とか。
湯呑がこの宇宙の元tなる場所だったなら、そこに注がれたお茶は、エネルギー体みたいだなって…。
お茶=エネルギー体だったら、出来るだけ静かな状態で維持しようとするだけで難しいのに、思った様にコントロールしようとして強い力を加えたって駄目だって。
形あるものは壊れるって言うけれど、お茶を包み込んでいる湯呑も、またいつか壊れるかもしれない…。
そして、その湯呑は俺達の世界に存在する物であって、この湯呑の外にさらに新たな湯呑を作ったとしても、それはやはり俺達の世界に存在する物の1つでしかない。
この宇宙の外側に新たな宇宙を創り出したとしても、それはこの宇宙を包む大いなる何かに内包されているだけの存在でしかない…とか、考えた気がする。
ああ、そうだ。
俺は確かにあの時、この宇宙の真理に気付いて理解したんだ。
知識では知ってはいたが、本当の意味でそれを理解出来た。
俺は、この世界の1つの存在でしか無く、でもそれは世界を構成する1つであり、この世界全てが俺自身でもあるという事に。
それがどんなに遠く離れていようとも、どれほど近くにあろうとも、それは関係ない事であり、望めばそれと物理的な距離は関係ないんだと。
過去も現在も未来も、どんな次元であろうとも、それはいつでも手が届く場所にあるんだが、手が届かない場所でもあるという事に。
ああ、なんだ…こんなに簡単な事だったのか。
この宇宙って、こんなにも間違いや矛盾だらけなのに調和がとれた世界なんだ。
ああ、そうなんだ…俺は今、心だけが宇宙を漂っているんだ。
距離も時間も全てを飛び越え、精神だけがこの広い宇宙を彷徨っているんだ。
ならば、次にすべきことはこの宇宙が始まった瞬間に決まっていた事。
俺が生まれる前から決まっていた、矛盾する予定。
俺が俺を倒すのではなく、俺が俺を取り戻すために。
遥かな世界を飛び越えて、あいつに会いに行かねばならないという予定。
未来は一方向に流れているが、その流れは幾らでも変える事が出来る。
だから、変えに行こう…未来を。
さしあたっては、俺が元居た場所へ戻らなきゃな。
あの美しい、ネス湖の湖畔の邸へと。
嫁ーずの元へと。
7
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる