システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

がってんがってん承知！

　初めてひよこ師匠の指導を受けてから、そろそろ半年が経とうとしていた。

　この間、俺だけでなく嫁ーずもサラやリリアさんも、色々と様変わりしていた。
　いや、ユズユズ夫婦も、王都の俺の家族や妖精達もだ。
　具体的には、王都の家族と妖精達には、俺のアイディアを元にしたドワーフさん謹製の武具が贈られた。
　父さんや母さんの武具に関しては、きっと見たらすぐに使い方が分かる様なものだが、コルネちゃんやユリアちゃんの武具は少々特殊なので、手紙に図解入りで使い方を記しておいた。
　父さんとの通信によれば、順調にそれぞれが武具の扱いを習得しつつあるらしい。
　妖精族には、ダンジョンマスターから得た情報を基に俺が考えた結界の新たな使い方を伝授してある。
　漫画やアニメとかが存在しない世界なので、結界の新たな使い方といっても、すぐには理解出来ないだろうが、頑張って習得して欲しい。
　我が家に関して言えば、妊娠中のミレーラとマチルダを除いた嫁ーずは、最近は変身せずにエルフさんと模擬戦を繰り返し、鍛えているらしい。
　変身すれば肉体的には能力が飛躍的に向上するとはいえ、元となった肉体の基本的な性能が上がっているわけでは無い。
　では、元の肉体の性能が上がればどうなるか？
　答えはそれに比例して変身後の能力も上がる…だ。
　これに関しては、俺が何かを言ったわけでは無い。
　むしろ、ジェムファイターへと変身すれば、あの超人的な父さんとでも互角に戦う事が出来るのだから、その点についてはあえて触れなかったのだが、何時の間にか誰かがそれに気づいたらしく、筋肉至上主義のエルフさんを招聘して日々鍛錬をして、基礎的な肉体の強化に励んでいる。
　ユズユズは、時々ドワーフ親方とコソコソと何やら話をしている姿を見かけていたが、何か新しい武器でも造る気なのだろう。
　この２人には地球の知識があるから、もしかしたらとんでもない武器をこの世界に生み出してしまうかもしれない…。
　ほどほどにする様にと念を押しておいたが、きっと暴走するだろうなぁ。
　今までドワーフさんと結託して造り出して来た武器の数々を思い出せば、俺の予想は絶対に間違いないはずだ。
　んでサラとリリアさん＆ダンジョンマスター達はどうしているかと言うと、時折例の巨大メイドロボをダンジョンの地下に持ち込んで、怪しい武装のテストを繰り返しているとかいないとか。
　それなら、ずっとダンジョンにおいておけばいいのに、未だにテスト終了後は地下の秘密基地にロボを移動させている。
　ちなみに、未だにネス湖の湖底から一度もロボは発進していない。
　是非とも一度は発進シーンを見て見たいもんだ。
　
　そして俺は本日、ミヤとヒナを連れてこの星で誰も居ない大海原の上空２０００ｍを飛行中。
　今回は背中にヒナが例の如く合体し、ミヤを俺が抱っこしている。
　水平飛行中は、ミヤがだらーんと身体の力を抜いていたので、少々重かった…。
「さてとヒナさんや。そろそろ予定のポイントだが、準備はいいか？」
「いつでもＯＫ」
　俺の声に、背中ら返事があった。
「ミヤは…、もしかして…お前…寝て無いか？」
「すゃ～～……はっ！　起きてる！」
　いや、寝てただろうが…。
「まあ、いいか。ヒナ、そろそろテストを始めるぞ？」
「ＯＫ牧場！」　
　お前はガッツさんかよ…って、以前にもどっかで誰かに似た様なツッコミした気がするぞ？　いや、別に構わないけど。
「よし、んじゃまずはヒナからな。俺の思考を読んで、武装の展開と使用開始だ」
「らじゃー！」
　まあ、今回はそういう事です。

　俺の戦闘を補助するための２人だって言うならば、俺の命令を言語で伝達してたらタイムロスが出来きる。
　補助なんだからそれが駄目って事は無いし、タイムロスを考慮して戦術に組み込めばいいだけの事なんだが、それでは効率が悪すぎる。
　具体的には、高速戦闘になった場合、２人の出番がない。
　なので、敵の攻撃に対する防御や、逆にタイミングよく攻撃出来るように、思考伝達による指示が出来るようになる練習をしに来たってわけだ。
　一見すると簡単な様だが、実は結構難しい。
　俺が伝えるのはイメージになってしまうだろうし、受け取るミヤやヒナは、そのイメージをいちいち言語に変換して理解をしてから行動に移していた…そうだ。
　なので、俺のイメージに反射的に反応できる様にするため、こうして訓練してるって事なんだ。
　まあ、これがうまく機能すれば、高速戦闘でも十分に対応できる…と、思う。

「よ～っし！　んじゃ頼んだぞ、ヒナ！」
「がってんがってん承知！」
　君は、〇影さんかな？　
　もしかして、俺って赤～〇仮面は～な～ぞ～の～人～♪　って人？
　あ、客観的に見たら、ミヤを抱っこしてる俺って、もしかしたら白〇さんのタコみたいな感じなのかもしれない…。