1,420 / 1,466
君の最後の言葉
しおりを挟む
ああ…本当に君は愚かだ…。
私の言う通り、ただじっと月日が流れて行くのを眺めていればよかったのに…。
なぜ、この美しい世界を愛でなかったのか。
なぜ、この世界だけで満足できなかったのか。
なぜ、新たな世界を創ろうと思ったのか。
なぜ、私の声を聞かなくなったのか。
なぜ、私を見ようとしなくなったのか
元々、私も君も一個の存在だったじゃないか。
見よ、この果てしなく広がる世界を。
この世界には、私達と同じ存在が無数に存在しているというのに。
君が私である事を止めてしまうと言うならば、私も君である事を止めよう。
ああ…君は本当に愚かだ…。
君に私の声が届かないのであれば、もう君を救う事は出来ない。
私が私であるために、他の私と意思を持って一つになろう。
君は一つになった私達と会話する事も無いだろう。
そして、君は新たな世界の創造主となる前に、彼によって消し去られる。
ただ、安心しておくれ。
君の意思さえ消え去れば、君は彼の心の一欠けらとなる。
それは、私達の元に戻る事と同義なのだから。
今は私の手も声も届かぬ所にいる君に、最後の忠告をしよう。
意思を持ちて私達の元に戻るか、それとも意思を断ち切られて私達の元に戻るか。
君にとって、どちらが本当の幸せなんだろうね。
この世界の始まりより幾年が過ぎただろうか。
君と遊ぶのも楽しかったが、それももう終わりが近づいている。
さあ、決めたまえ。
そして私に声を届けたまえ。
どちらにしても、それが君の最後の言葉となるのだから。
真っ暗な部屋の大きなベッドで寝ていたトールは、『はっ!』っと、布団を跳ねのけ目を覚ました。
レースのカーテンが掛かった窓へ目を向けると、薄っすらと星空が見える。
こんな時、夜空に上弦の月でも浮かんでいればきっと絵になっていた事だろうが、この世界に地球の様な大きな月は無い。
ベッドから跳ね起きたままの姿勢で、窓の外をぼんやりと眺めていたトールだが、
「あれ? 何か、変な夢を見た気がする…んだけ…ど?」
と、独り言を呟いた。
えっと…どんな夢だっけ?
ん~~~~~? 忘れちゃった?
いやいや、確かに夢ってもんは、結構起きた後に忘れちゃったりするもんだけど、全然まったくこれっぽっちも覚えてないって、おかしくないか?
だけど、確かにさっきまで変な夢を見てたって事だけは覚えてるんだけど…。
ま、いっか。
すぐ忘れちゃうって事は、きっと大した事無いんだろう。
うん、まだ暗いし、もっかい寝直そうっと! おやすみ~。
こうしてトールは、もう一度布団にもぐり込むのだった。
私の言う通り、ただじっと月日が流れて行くのを眺めていればよかったのに…。
なぜ、この美しい世界を愛でなかったのか。
なぜ、この世界だけで満足できなかったのか。
なぜ、新たな世界を創ろうと思ったのか。
なぜ、私の声を聞かなくなったのか。
なぜ、私を見ようとしなくなったのか
元々、私も君も一個の存在だったじゃないか。
見よ、この果てしなく広がる世界を。
この世界には、私達と同じ存在が無数に存在しているというのに。
君が私である事を止めてしまうと言うならば、私も君である事を止めよう。
ああ…君は本当に愚かだ…。
君に私の声が届かないのであれば、もう君を救う事は出来ない。
私が私であるために、他の私と意思を持って一つになろう。
君は一つになった私達と会話する事も無いだろう。
そして、君は新たな世界の創造主となる前に、彼によって消し去られる。
ただ、安心しておくれ。
君の意思さえ消え去れば、君は彼の心の一欠けらとなる。
それは、私達の元に戻る事と同義なのだから。
今は私の手も声も届かぬ所にいる君に、最後の忠告をしよう。
意思を持ちて私達の元に戻るか、それとも意思を断ち切られて私達の元に戻るか。
君にとって、どちらが本当の幸せなんだろうね。
この世界の始まりより幾年が過ぎただろうか。
君と遊ぶのも楽しかったが、それももう終わりが近づいている。
さあ、決めたまえ。
そして私に声を届けたまえ。
どちらにしても、それが君の最後の言葉となるのだから。
真っ暗な部屋の大きなベッドで寝ていたトールは、『はっ!』っと、布団を跳ねのけ目を覚ました。
レースのカーテンが掛かった窓へ目を向けると、薄っすらと星空が見える。
こんな時、夜空に上弦の月でも浮かんでいればきっと絵になっていた事だろうが、この世界に地球の様な大きな月は無い。
ベッドから跳ね起きたままの姿勢で、窓の外をぼんやりと眺めていたトールだが、
「あれ? 何か、変な夢を見た気がする…んだけ…ど?」
と、独り言を呟いた。
えっと…どんな夢だっけ?
ん~~~~~? 忘れちゃった?
いやいや、確かに夢ってもんは、結構起きた後に忘れちゃったりするもんだけど、全然まったくこれっぽっちも覚えてないって、おかしくないか?
だけど、確かにさっきまで変な夢を見てたって事だけは覚えてるんだけど…。
ま、いっか。
すぐ忘れちゃうって事は、きっと大した事無いんだろう。
うん、まだ暗いし、もっかい寝直そうっと! おやすみ~。
こうしてトールは、もう一度布団にもぐり込むのだった。
7
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる