システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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どっちだったんだ?

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 ボーディの予想外の問いかけに言葉を失う俺達。
「お主等が会った奴が副局長だと、何故信じる事が出来たんじゃ?」
「そ、それは顔が…」
 リリアさんがそう答えようとした時、
「言っておくが、局長も副局長も、外見など自由に変える事が出来るのじゃぞ?」
 そうボーディに言われてしまったら、続く言葉が口から出てこなかった。
「俺は初めて会ったんだが…。記憶では局長ってのは、光の巨人…いや、あの時は魂だけの状態だったから、本当に巨人だったのかどうかは分からないが、とにかく実態は無い様に見えたな…」
 あの転生時の記憶だと、確かそうだったはず。
「ふむ。では、それは本当に局長じゃったのか?」
 そう言われると…確かに自ら名乗ったわけでも無いし…。
「サラ、リリア。お主等が管理局で局長と副局長と同時に会った事はあるかや?」
「そう言われてみれば、無いっすね…」「私は何度か…」
 記憶を辿りながら答えるサラとリリアさん。
「それで、会った時にきちんと見分けがついたのかや?」
「ん~?」「いえ、言われてみれば見分けれてはいません」
 2人の答えは、話の流れ的に何となくそうだろうと予測できた。
「確かにあ奴らが素顔を見せる事もあろう。じゃが、あ奴らを外見で区別など出来ぬのじゃよ。じゃのに、何故お主等はあ奴が副局長だとすぐに信じたのじゃ? 顔など、そこのトールの前世の顔と一緒だったであろう? それを考えれば、外見で判別など出来るはずも無いのじゃ」
 …確かに言われてみれば。
 俺が副局長だと信じたのは、リリアさんの言葉の端々からの情報と態度からだ。
 それがあいつの言葉を信じるための根拠になんて、どう考えてもなるはずも無い。
「妾達はこう考えておる。局長は副局長に操られた、単なるスケープゴートなのでは無いのか…とな」
『……………』
 ボーディの言葉に、この場の全員が声を失った。
 
「いや、でもちょっと待ってください。彼が副局長では無いと断言出来る確証も無いですよね?」
 リリアさんが何とかそう言葉を絞り出したが、それはもはや悪魔の証明に近いのではないかという物だった。
「お主の言う事は尤もじゃ。じゃが…あ奴の性質上、どうあっても見た目だけで判断する事など不可能じゃ。じゃからこそ、妾達はお主等に確認の意味を込めて訊ねたのじゃぞ? お主等が今まで逢うた奴は、本当に副局長や局長なのか…とな」
「つまり、ボーディは『局長と副局長は同一人物』と言いたいのか?」
 俺がそう確認の意味を込めてそう言うと、
「若しくは、副局長が局長を隠しておるか、その逆かじゃ。つまり、片方がもう片方を模倣して誤魔化しておるやもしれぬからのぉ」
 そっちの可能性も考えなきゃならんのか…。
「大河さん、同一人物説はあり得ないっす」「そうですね、それは無いでしょう」
 俺が考え込んでいると、サラとリリアさんがそう言い切った。 
「えっと、それは何で?」
「確かにどちらがどちらかという点で確定する事は難しいですが、基本的に副局長と局長では思考の根底が違います」
 思考の根底?
「うむ、リリアの言う通りじゃ。局長とお主等が呼んでおる者は、どちらかというと周囲の影響など考えず行動する、言ってみれば自儘で享楽的な奴じゃ」
「んじゃ副局長は?」
 そう訊いてくれっていう振りだよな?
「色々と隠し事が多い奴ではあるが、理知的な奴ではあるのぉ」
 …んじゃ俺を転生させた奴って、一体どっちだったんだ?
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