システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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シールドと結界

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 確かに似た様な環境、もっと言えば俺の前世の様に人類が哺乳類の、それも霊長類から進化しない環境であったのであれば、顔だけでなく存在そのものの姿が違っていたかもしれないな。

「なるほど。つまりは、元々は俺と同じ存在であった事が原因って事か。あの副局長は地球とほぼ変わらない惑星出身だという事なんだな…」
 俺が1人納得していると、
「いや、そうとも限らぬ。あ奴は姿形ぐらい、幾らでも変える事が出来るでのぉ。というか、あ奴に決まった姿形など無いのじゃ」
 どゆ意味?
「この広い次元世界において、あ奴は一度も転生などしておらぬ。かなり特殊な個体じゃよ、コクマーは」
 えっと?
「でも彼は解放魂魄なんちゃらの創設者なんだろ?」
「そうじゃが、あ奴は創り上げたら後任に任せて放逐したからのぉ。妾達が最後に姿を見たのは…何億年昔じゃったかのぉ?」
 何…億年…だと?
「いやいやいやいや、お前らって何億年も生きられるの?」
「何を言っておる。魂は永久に不滅じゃ!」
 こいつ、どっかの某プロ野球チームの終身名誉監督の引退スピーチみたいなことを言いやがったぞ、ボーディ。
「私達のこの肉体自体は、休眠状態で保存していない限り、数十年から数百年で活動限界が来て寿命となります。ですが、魂自体は残りますので、新たな肉体へと移し代える事で、ほぼ無限の寿命をもっております」
 無限…だと?
「輪廻転生システムでの転生ではありませんので、記憶が消え去る事もありません。つまり、記憶…つまり知識や経験は積み重ねる事が可能なのです」
「すげぇな、ダンジョンマスターは!」
 素直に感心するよ。 
「凄いじゃろう、妾達は! 故に肉体も超高性能なのじゃよ!」
 技術の積み重ね…か。そりゃ高性能にもなるわな。

「でも…」
「ん、何じゃ?」
「そんなスーパーテクノロジーを持ったお前達が、サラやリリアさんが前の肉体の時に使えてたシールドを今の肉体でも使える様に出来なかったのは、何でだ?」
 ちょうどタイミングよく、今回訊ねようと思ってた事に繋がったぞ。
「それは容量不足だからじゃ」「いえ、使える様にも出来たのですよ?」 
 ん? ボーディとモフリーナの答えが微妙にずれてる気がするけど…?
「私が説明いたしましょう」
 俺の頭に疑問符が浮かんでいたのに気付いたからか、モフリーナがそう言った。

「彼女達が元々持っていた電子頭脳の容量のおよそ6割は普通の人種族と同様、知覚・運動・精神活動に使用されておりました。無論、段違いに高性能ですが」
 ふむふむ、それで?
「残りの2割が輪廻転生管理局との通信の為に使用されており、2割でシールドの発生・制御を司っておりました」
 意外とシールド関係の能力って、脳の容量取るのね。
「トール様が創造したナディア達が使用している結界とは違い、サラやリリア達のシールド能力は限定的な物ゆえ、あまり使い勝手が良い能力とは言えません」
「えっ、ナディア達とは違うの?」
 結界もシールドも同じなんじゃ?
「もしかして気付いておられなかったのですか? サラ達が使っているシールドとは、その名の通り盾の役割しか出来ません。つまり、自分を起点として攻撃などに対して垂直方向に平面的な壁を1面だけ創り出す能力です。簡単に言えば、一方向からの攻撃だけを弾く事が出来る能力なのです」
 それって、本当に盾と一緒なんじゃね?
「対してナディア達が使用している結界は、自分を起点として自由に形状を変える事が出来る結界です。球状にも盾状にも、場合によっては剣の様にも形状を変えれます。また、球状に展開した時は足元…つまり地面の下までカバーできるのです。まあ、シールドと結界を混同して居られた様ですから、区別がつかなかったのかもしれませんが」
 区別出来てませんでした、すんません。
 でも、確かにナディアは歩きながら全周に結界を展開してたな…。
 サラがそんな事をしてるの見た事無い。
  
「本来であれば、地面の中にまで結界を展開すれば、歩く事など出来ません。足元の地面まで結界で覆ってしまうと言う事は、その部分を外界から隔離している事と同じですから、その場から動こうと思えば結界を随時展開し直さねばならないはずですが、彼女の結界は通過させる対象を任意に設定できるようです」
 確かに球状で展開してたら、内部の酸素が不足するもんな…。つまりは酸素とか二酸化炭素とかを任意に透過設定してる? あ、地面とかもか。

「そう考えますと、サラとリリアのシールドは使い勝手の悪い能力です」
「いや、でも攻撃を防げるなら、そう悪い能力でも…」
 無いよりマシじゃん?
「いえ、それでしたら盾を持てばいいだけの事です。強度もそれなりでしたし」
 あ、確かに…。前世で見た様な、ポリカーボネート製の盾とかなら同じかも。
「ですから、その様な不要な能力が占めている脳の容量を別の事に割り振る為に、管理局との通信能力と共に綺麗さっぱり削除したのです」
 結構、酷い事をさらっと言ったな。
「んじゃ、その空いたた容量を何に使ったん?」
「それは、例のALL ROUND INTERCEPT & ESCORT MAID …つまり、エリアム・シリーズの制御に全振りしたんですよ」
 地下の秘密基地のロボットの事かーーー!
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