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忘れてた!
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「ふむ…何故に彼奴がこの世界を壊そうとしているのか…かい?」
俺は黙って首を縦に振った。
「さっきの私の話を覚えているかい?」
「え~っと…大体は…」
長すぎてほとんど忘れてるけどね!
「私がコクマーで、君はマルクト」
それは覚えてるぞ。
「そして、私が管理局を任せたのは、元は私達の中心に居た存在で、個体名はティファレトという。彼は常々こう考えていたんだ。『この世界は美しくない』っとね」
「美しく…ない?」
どういう意味だ?
「まぁ、偶然や偶発が重なって出来たのがこの世界だからね。彼の美意識的には納得出来無かったんだろうね。だから、彼の美意識に合致する新たなる世界を創ろうとした…って、感じかな。」
「美意識って…。えっ、理由ってそれだけ?」
んな、馬鹿な!
「そう、それだけ。彼に同調した元の私達の一部が、彼と合一したりしてはいるけれど、所詮は中心的存在だっただけの存在。私や君が欠けた状態では、完璧な新たな世界の創造なんて無理だよ」
こいつと俺が欠けたら出来ないの?
「もっと言えば、今まで隠れてたダアトが君を支持しているんだから、もうあいつが完璧な世界の創造なんて出来るはずないさ」
えっと…申し訳ございませんが、俺には全然理解できません…よ?
コクマーと名乗った目の前の男は、っめっちゃドヤ顔をしていた。
「さ、これで全部答えたし説明も出来たかな。それじゃ、これで本当にお暇するね。扉の向こうで奥方様達も心配している様だから」
へっ?
彼が指をパチンと鳴らすと、応接室の扉がゆっくりと開いていった。
そしてそこに居たのは、彼が言った様に嫁ーずの面々&ユズユズ夫婦。
「あ、そう言えば最後にちょっと教えてくれないか?」
いきなり開いた扉にびっくりしたのか、それとも聞き耳を立てていた事が恥ずかしかったのか、扉が開いた瞬間から固まっている面々を見て楽しそうに笑っている彼に、俺が声を掛けた。
「ん、何だい?」
「ユズキとユズカは、どうしてこの世界に来たんだ? 元の世界に戻れるのか?」
そう俺が彼に質問をすると、ユズユズ夫婦は全然思いもよらなかった様で、呆気にとられた顔をした…ん? 最初からあんな顔だったっけ?
「ああ、それは本当にシステムのバグだね。帰れるのかって質問だけど、それは無理。もう彼等が元居た次元の星の時間は、すでにこの世界換算で120年は経ってる。歴史を遡る事は可能だけど、物質を送り込むのはかなりのリスクが伴うからね。未来ならば送り込む物質に寄りけりではあるが、少しぐらいは可能だけど…ね」
彼はユズユズ夫婦の方を見ながらそう語った。
それを聞いたユズユズ夫婦は、「あっ…」と小さな声をあげた。
「そういったバグに巻き込まれた例は日々報告されている。特異点発生に巻き込まれた彼等には申し訳なくも思っているよ。でも、だからといって私達にはどうする事も出来ないんだ」
彼はそう言うと、ユズユズ夫婦へ向かい、微かに頭を下げた。
「い、いえ! 良いんです! もう良いんです!」
ユズキが目の前で両手をブンブン振りながら大声で言った。
「そ、そうよ! 私達は今、すっごい幸せだからもう良いの!」
ユズノちゃんを抱いたユズカも、そう言ってユズキに寄り添う。
「そうか、良かった。転移者の多くは色々と…、いや、まあ、君達が幸せなら…」
何やらごもごもとコクマーが口の中で言っていた。
俺には彼が何を言いたかったのか分かる。
過去、パンゲア大陸と名付ける前のあの大陸に、色々な次元から大量の転移者が送り込まれて来た時、多分俺は直接手を下しはしていないが、大虐殺をした。
無論、それはこの世界の…いや、俺の中の常識に合わない危険な奴だった。
ダンジョンマスター達に、それを指示した事を後悔はしていない。
きっと、俺が知らない世界でも、同じようにバグに巻き込まれて転移してしまった者もいるんだろう。
そして、そのほとんどは、きっと…。
ラノベやアニメの様に幸せな転生や転移なんて、そうそう現実には無い。
チートなんて貰えるなんて、きっと頭の中がお花畑の奴の想像の中だけの事だ。
知らない世界にいきなり放り出され、その世界の常識と自らの持つ常識の違いに苦しみ、自ら命を絶つ奴だっているだろう。
そう考えると、確かにユズユズは幸せなのかもしれない…。
俺がそんな事を考えていると、彼はまるで空間に溶け込む様にゆっくりと透明になって行った。
「じゃ、近いうちにまた来るよ。その時までに解脱しといてね」
ほとんど透けてしまった彼が、最後に残した言葉がそれだった。
無茶言いやがる。
次は一体いつ来る気なんだよ…って、忘れてた!
しまった、訊くのを忘れてた!
何であいつの顔は前世の俺の顔だったんだよ!
うわあー! 思い出したらめっちゃ気になる!
俺は黙って首を縦に振った。
「さっきの私の話を覚えているかい?」
「え~っと…大体は…」
長すぎてほとんど忘れてるけどね!
「私がコクマーで、君はマルクト」
それは覚えてるぞ。
「そして、私が管理局を任せたのは、元は私達の中心に居た存在で、個体名はティファレトという。彼は常々こう考えていたんだ。『この世界は美しくない』っとね」
「美しく…ない?」
どういう意味だ?
「まぁ、偶然や偶発が重なって出来たのがこの世界だからね。彼の美意識的には納得出来無かったんだろうね。だから、彼の美意識に合致する新たなる世界を創ろうとした…って、感じかな。」
「美意識って…。えっ、理由ってそれだけ?」
んな、馬鹿な!
「そう、それだけ。彼に同調した元の私達の一部が、彼と合一したりしてはいるけれど、所詮は中心的存在だっただけの存在。私や君が欠けた状態では、完璧な新たな世界の創造なんて無理だよ」
こいつと俺が欠けたら出来ないの?
「もっと言えば、今まで隠れてたダアトが君を支持しているんだから、もうあいつが完璧な世界の創造なんて出来るはずないさ」
えっと…申し訳ございませんが、俺には全然理解できません…よ?
コクマーと名乗った目の前の男は、っめっちゃドヤ顔をしていた。
「さ、これで全部答えたし説明も出来たかな。それじゃ、これで本当にお暇するね。扉の向こうで奥方様達も心配している様だから」
へっ?
彼が指をパチンと鳴らすと、応接室の扉がゆっくりと開いていった。
そしてそこに居たのは、彼が言った様に嫁ーずの面々&ユズユズ夫婦。
「あ、そう言えば最後にちょっと教えてくれないか?」
いきなり開いた扉にびっくりしたのか、それとも聞き耳を立てていた事が恥ずかしかったのか、扉が開いた瞬間から固まっている面々を見て楽しそうに笑っている彼に、俺が声を掛けた。
「ん、何だい?」
「ユズキとユズカは、どうしてこの世界に来たんだ? 元の世界に戻れるのか?」
そう俺が彼に質問をすると、ユズユズ夫婦は全然思いもよらなかった様で、呆気にとられた顔をした…ん? 最初からあんな顔だったっけ?
「ああ、それは本当にシステムのバグだね。帰れるのかって質問だけど、それは無理。もう彼等が元居た次元の星の時間は、すでにこの世界換算で120年は経ってる。歴史を遡る事は可能だけど、物質を送り込むのはかなりのリスクが伴うからね。未来ならば送り込む物質に寄りけりではあるが、少しぐらいは可能だけど…ね」
彼はユズユズ夫婦の方を見ながらそう語った。
それを聞いたユズユズ夫婦は、「あっ…」と小さな声をあげた。
「そういったバグに巻き込まれた例は日々報告されている。特異点発生に巻き込まれた彼等には申し訳なくも思っているよ。でも、だからといって私達にはどうする事も出来ないんだ」
彼はそう言うと、ユズユズ夫婦へ向かい、微かに頭を下げた。
「い、いえ! 良いんです! もう良いんです!」
ユズキが目の前で両手をブンブン振りながら大声で言った。
「そ、そうよ! 私達は今、すっごい幸せだからもう良いの!」
ユズノちゃんを抱いたユズカも、そう言ってユズキに寄り添う。
「そうか、良かった。転移者の多くは色々と…、いや、まあ、君達が幸せなら…」
何やらごもごもとコクマーが口の中で言っていた。
俺には彼が何を言いたかったのか分かる。
過去、パンゲア大陸と名付ける前のあの大陸に、色々な次元から大量の転移者が送り込まれて来た時、多分俺は直接手を下しはしていないが、大虐殺をした。
無論、それはこの世界の…いや、俺の中の常識に合わない危険な奴だった。
ダンジョンマスター達に、それを指示した事を後悔はしていない。
きっと、俺が知らない世界でも、同じようにバグに巻き込まれて転移してしまった者もいるんだろう。
そして、そのほとんどは、きっと…。
ラノベやアニメの様に幸せな転生や転移なんて、そうそう現実には無い。
チートなんて貰えるなんて、きっと頭の中がお花畑の奴の想像の中だけの事だ。
知らない世界にいきなり放り出され、その世界の常識と自らの持つ常識の違いに苦しみ、自ら命を絶つ奴だっているだろう。
そう考えると、確かにユズユズは幸せなのかもしれない…。
俺がそんな事を考えていると、彼はまるで空間に溶け込む様にゆっくりと透明になって行った。
「じゃ、近いうちにまた来るよ。その時までに解脱しといてね」
ほとんど透けてしまった彼が、最後に残した言葉がそれだった。
無茶言いやがる。
次は一体いつ来る気なんだよ…って、忘れてた!
しまった、訊くのを忘れてた!
何であいつの顔は前世の俺の顔だったんだよ!
うわあー! 思い出したらめっちゃ気になる!
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