システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

！！！！！？？？？

　ドワーフメイドさんを先頭に、俺とサラとリリアさんは、執務室を出て応接間へと向かった。
　まあ、客人が来ただけなので何の問題も無いだろうが、念のため嫁ーずにもユズユズ夫婦にも、自室で待機させておいた。
　暴れたりするような客人だったら、すでに暴れているだろけど。
　一応、応接室の外…つまりは窓の外になるんだが、ブレンダーとクイーン＆蜂達がそっと息を潜めて、もしもの時の為に待機している。
　ノワールは嫁ーず達の自室へと続く階段に陣取り、いざとなったらダンジョンマスター達を緊急招集出来るようにしてくれている。
　これ程に厳重に警戒してるのだから、何事かが起きてもすぐに対処できるだろう。

「あっ！」
　廊下を歩く俺の背中で、サラが無いかに気付いたらしく声をあげた。
「ん、どうした？」
　思わず立ち止まってサラへと振り向くと、
「さ、サラちゃんは気付いてしまった…」
　めっちゃ顔に汗かいてるぞ？
「サラ、どうしたというのですか？」
　俺の台詞をリリアさんにインターセプトされてしまったぉ。
「私に客人が来た…」
　まあ、そう聞いてるけど、それが何か？
　俺とリリアさんが顔を見合わせて首を傾げた。
「…この邸に客…」
「そうだけど…だから何だ？」
　何を言いたいんだ、こいつは？
「邸の主になんて一度も客人なんて来てない！　友達も居ないボッチな主を差し置いてメイド風情が客人を迎えるなんて、なんと畏れ多い事でしょう！」
「うだ、誰がボッチだー！」
「言われてみれば確かに…」
　サラの言葉に、リリアさんが深く頷いた。
「リリアさんも納得すなーー！」
「主は主なんだてがきや、気ぃさぁしなぐても良いはでぇはねべさか？」
　ど、ドワーフメイドさんや、何を真面目な顔で…って、笑い堪えて無いか？
「ね、それて慰めてるの？　ねぇってば！」　
「「もちろん！」」「もちろんだて！」
　こいつら、絶対に俺の事を馬鹿にして笑ってるだろ…。
「俺にだって友達ぐらいいるからな！　…遊びに来てくれたりはしてないけど…」
　な、なんだよサラ？　訳知り顔で肩を叩くな！
　って、リリアさん…お願いだから無表情は止めて！
　ど、ドワーフメイドさんは、とうとう爆笑し出しちゃったぞ！？
「あーーー！　もう今はそれはいいから。さっさと客人のとこ行くぞ！」
　もう全員無視して俺だけで行ってやるんだからな！
　べ、別にぼっちで寂しいから強がってるわけじゃ無いからな！？
「あ、ちょ、待ってください！」「恥ずかしがらなくてもいいのに」「んだんだ」
　ち、ちくそーーーー！　好き勝手言いやがってーーーーーーーーーーーー！

　道中（約2分程の道のりです）色々とありありましたが、何とかドワーフメイドさんを先頭に応接室の扉の前に到着した俺達。
　ドワーフさんがの扉をノックし、俺達が到着した事を継げる。
　普通、メイドは主人の部屋などに入室する時は扉をノックなどはしないのだが、今回は客人が待つ部屋なのでことさら音を抑えて扉を叩いた。
　すると、室内からどこかで聞いたような声がし、それに対して返事をした。
　それを確認した後、応接室の扉をドワーフさんがそっと開き俺達を中へと誘う。
「待たせてしまった様で申し訳ない。私はこの地の領主をしているトールヴァルド・デ・アルテ…」
　威厳を保ちつつ名乗りながら部屋へと入ろうと足を踏み出した俺は、室内の人物の顔を見た瞬間、声も出せずに固まった。
　そして、俺の肩越しに室内の人物を見たサラとリリアさんも、
「！！！！！？？？？」
　声にならない声をあげ、俺同様に固まってしまった。