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また来週
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Day 5(後半)
ぜぇ…ぜぇ…はぁ…ふぅ…はぁ…はぁ…。
覚醒への道、第一週の最終日。
この日やって来たひよこは、マジで強かった。
組手を始めて20分で、俺は体力を使い果たし、大の字で空を見上げてしまった。
「うむ、なかなか筋が良い。前世では市となるお方がいた様だが、この世界では独力でここまで仕上げたのか?」
「ぜぇ…はぁ…、はい…1人で…型練習をメインに…」
ひよこの質問に、息も絶え絶え俺が答えると、
「実際、君が覚醒へと至るためには、まだまだ鍛錬が足りない。そもそも、君は肉体的にはすでに完成されているといても過言では無い。筋力、柔軟性、瞬発力、動体視力…あらゆる点において、非の打ちどころがない」
「あ、ありがとう…ございま…す…」
それなのにここまでボロボロにされるのか…。
「では、何故自分はこんな状態になっているんだろう? と、君は考えているな?」
ギクッ!
「先ほども述べた様に、君は肉体的には完成の域に達している。むしろ、私よりも肉体的には一段上を行っている。では、何故、私が息も切らさずこの場に立っている事が出来るのか…その違いが分かるか?」
「技…ですか?」
八極拳という名を聞いた事はあった。
だが、初めて手合わせして分かったが…あれは恐ろしい拳法だ。
俺の突きや蹴りは真正面から全て叩き潰されるが、間違いなく八極拳の受けだ。
そして呼吸を整えるために距離を取ろうとしたら、腰を支点として、腕全体で上下左右から鞭の様に叩きつけられる…あの技が劈掛拳由来の動き…か。
接近すれば拳だけでなく、肘や肩での攻撃が凄い勢いで連打される。
離れれば鞭のようにしなやかな攻撃を受け、近づけばハンマーの様な攻撃…。
「技か…。まあ、それもあるかも知れない。しかし、君が私と同じレベルにまで、そう、覚醒をすれば技は同等となり、いい勝負になるだろう」
とても落ち着いた声色でひよこがそう言う。
「技では無いとしたら、一体どこに違い…が………覚醒?」
「少しヒントを出し過ぎた気がしないでもないが、その通りだ。現在の私と君との間には、覚醒しているか否かという、とてつもなく大きな隔たりがある」
覚醒って、そこまで凄いものなのか…。
「隔たりはとてつもなく大きい。されど、それはそう難しいものでも無い」
ん? とんち? それとも禅問答?
「私の言葉の意味が理解できないっていう顔だな」
あ、そう見えましたか?
「実は、君は覚醒へ必要な事をすでに今週の4人の師から学んでいる。何を学んだかを思い返してみると良い。今日の鍛錬はここまでとしよう」
ひよこの言葉で、俺は重い体を何とか立たせ、深く頭を下げて礼をした。
「ありがとうございました!」
「うむ、ではまた来週な。ああ、そうそう。奥方にはずっと見学させて申し訳ない。もしも望まれるのであれば、貴女の鍛錬も見ようか?」
遠く離れた所から見学していたイネスに向いてひよこがそう言ったが、イネスはブンブンと首を横に振った。
「まあ、私と君の組手に目が追い付かなかった様だし、まだ私の直接指導は早いかも知れんな。あ、そうそう。また来週も同じメンバーが指導しに来る。君は忘れているかもしれないが、彼等は全員が覚醒しているのだよ? 彼等が一体何を君に伝えようとしているのかをよく考えながら、来週の指導を受けてみなさい」
「は、はぁ…」
あの裸の大〇みたいなのとかも覚醒してる…んだよな、そう言えば…。
「では、また来週」
そういって、ひよこは地獄門からパンゲア大陸へと帰って行った。
(イネス視点)
な、何なのだ、あの嵐の様な殴り合いは!
トールさまもあのひよこも、何をどうしているのか、全くわからないぞ!
ただ時折、私が2人の動きをはっきりと見えたと思ったら、次の瞬間にはトールさまが吹っ飛んでいた。
私とは格が違う…。
我が国の英雄であるお義父様が相手でも、私は剣では互角に戦える自信がある。
だが、あのひよことトールさまの戦いの中に私が剣を持って入った所で、一合も打ち合う事も出来ずに、文字通り一蹴されるだけだろう。
それほどにあの2人の実力は、私とは隔絶している。
だが、そんな隔絶した戦いだからこそ、はっきりとわかる。
元より、私よりも遥かに高い戦闘能力を持つトールさま。
だが、そんなトールさまより、ひよこの実力はは数段上だ。
トール様が何をしても手も足も出ない。
いや、手も足も出しているのだが、ひよこには届いていないというだけだ。
見た事も無い様な、軌道を変えたり身体を回しての上下への蹴りも見切られた?
あっ、指先を伸ばしたままでの鋭い突き! これは入ったか?
駄目だ、ひよこには届いてない所か、その突きの中に潜り込んで…あれは体当たりだろうか、トールさまが吹っ飛ばされた!?
2人が多彩な技を繰り出しているというのは理解出来るのだが、具体的に何をしているのか…本質がまるで見えない…。
最後にはトールさまは体力が尽き果てて大の字に横たわってしまった。
すぐに彼の元に駆け付けたいが、目の前の凄絶な光景を目の当たりにし、私の足が硬直してしまったかのように動かない。
「…………違いが分かるか?」
そんなトールさまに、ひよこが語りかけていた。
トールさまは技の違いかと尋ねたが、そうではないとひよこは言う。
技、技術…ではない? ならば、何が違うというのだろうか。
どうやら、この5日間のひよこ達の指導には意味があるらしい。
ふうむ、指導の意味か…。
もしかして、それを私が理解する事が出来れば、あの様な戦いも可能なのか?
今週は何となく流してしまっていた気がするが、来週からはひよこの一言一句聞き逃さぬ様にせねばなるまい。
では、今夜と明日の夜は、じっくりとその辺り、時間をかけて丹念にトールさまの体に聞かねばなるまい。
いや、この情報は嫁ーず全員で共有すべきだな。
取りあえずは、まずはマチルダとミレーラと3人で、がっつりとトールさまに何をしていたのかを教えて頂かねば!
ああ、今夜が待ち遠しいなぁ…ぐふふ…じゅるる…。
ぜぇ…ぜぇ…はぁ…ふぅ…はぁ…はぁ…。
覚醒への道、第一週の最終日。
この日やって来たひよこは、マジで強かった。
組手を始めて20分で、俺は体力を使い果たし、大の字で空を見上げてしまった。
「うむ、なかなか筋が良い。前世では市となるお方がいた様だが、この世界では独力でここまで仕上げたのか?」
「ぜぇ…はぁ…、はい…1人で…型練習をメインに…」
ひよこの質問に、息も絶え絶え俺が答えると、
「実際、君が覚醒へと至るためには、まだまだ鍛錬が足りない。そもそも、君は肉体的にはすでに完成されているといても過言では無い。筋力、柔軟性、瞬発力、動体視力…あらゆる点において、非の打ちどころがない」
「あ、ありがとう…ございま…す…」
それなのにここまでボロボロにされるのか…。
「では、何故自分はこんな状態になっているんだろう? と、君は考えているな?」
ギクッ!
「先ほども述べた様に、君は肉体的には完成の域に達している。むしろ、私よりも肉体的には一段上を行っている。では、何故、私が息も切らさずこの場に立っている事が出来るのか…その違いが分かるか?」
「技…ですか?」
八極拳という名を聞いた事はあった。
だが、初めて手合わせして分かったが…あれは恐ろしい拳法だ。
俺の突きや蹴りは真正面から全て叩き潰されるが、間違いなく八極拳の受けだ。
そして呼吸を整えるために距離を取ろうとしたら、腰を支点として、腕全体で上下左右から鞭の様に叩きつけられる…あの技が劈掛拳由来の動き…か。
接近すれば拳だけでなく、肘や肩での攻撃が凄い勢いで連打される。
離れれば鞭のようにしなやかな攻撃を受け、近づけばハンマーの様な攻撃…。
「技か…。まあ、それもあるかも知れない。しかし、君が私と同じレベルにまで、そう、覚醒をすれば技は同等となり、いい勝負になるだろう」
とても落ち着いた声色でひよこがそう言う。
「技では無いとしたら、一体どこに違い…が………覚醒?」
「少しヒントを出し過ぎた気がしないでもないが、その通りだ。現在の私と君との間には、覚醒しているか否かという、とてつもなく大きな隔たりがある」
覚醒って、そこまで凄いものなのか…。
「隔たりはとてつもなく大きい。されど、それはそう難しいものでも無い」
ん? とんち? それとも禅問答?
「私の言葉の意味が理解できないっていう顔だな」
あ、そう見えましたか?
「実は、君は覚醒へ必要な事をすでに今週の4人の師から学んでいる。何を学んだかを思い返してみると良い。今日の鍛錬はここまでとしよう」
ひよこの言葉で、俺は重い体を何とか立たせ、深く頭を下げて礼をした。
「ありがとうございました!」
「うむ、ではまた来週な。ああ、そうそう。奥方にはずっと見学させて申し訳ない。もしも望まれるのであれば、貴女の鍛錬も見ようか?」
遠く離れた所から見学していたイネスに向いてひよこがそう言ったが、イネスはブンブンと首を横に振った。
「まあ、私と君の組手に目が追い付かなかった様だし、まだ私の直接指導は早いかも知れんな。あ、そうそう。また来週も同じメンバーが指導しに来る。君は忘れているかもしれないが、彼等は全員が覚醒しているのだよ? 彼等が一体何を君に伝えようとしているのかをよく考えながら、来週の指導を受けてみなさい」
「は、はぁ…」
あの裸の大〇みたいなのとかも覚醒してる…んだよな、そう言えば…。
「では、また来週」
そういって、ひよこは地獄門からパンゲア大陸へと帰って行った。
(イネス視点)
な、何なのだ、あの嵐の様な殴り合いは!
トールさまもあのひよこも、何をどうしているのか、全くわからないぞ!
ただ時折、私が2人の動きをはっきりと見えたと思ったら、次の瞬間にはトールさまが吹っ飛んでいた。
私とは格が違う…。
我が国の英雄であるお義父様が相手でも、私は剣では互角に戦える自信がある。
だが、あのひよことトールさまの戦いの中に私が剣を持って入った所で、一合も打ち合う事も出来ずに、文字通り一蹴されるだけだろう。
それほどにあの2人の実力は、私とは隔絶している。
だが、そんな隔絶した戦いだからこそ、はっきりとわかる。
元より、私よりも遥かに高い戦闘能力を持つトールさま。
だが、そんなトールさまより、ひよこの実力はは数段上だ。
トール様が何をしても手も足も出ない。
いや、手も足も出しているのだが、ひよこには届いていないというだけだ。
見た事も無い様な、軌道を変えたり身体を回しての上下への蹴りも見切られた?
あっ、指先を伸ばしたままでの鋭い突き! これは入ったか?
駄目だ、ひよこには届いてない所か、その突きの中に潜り込んで…あれは体当たりだろうか、トールさまが吹っ飛ばされた!?
2人が多彩な技を繰り出しているというのは理解出来るのだが、具体的に何をしているのか…本質がまるで見えない…。
最後にはトールさまは体力が尽き果てて大の字に横たわってしまった。
すぐに彼の元に駆け付けたいが、目の前の凄絶な光景を目の当たりにし、私の足が硬直してしまったかのように動かない。
「…………違いが分かるか?」
そんなトールさまに、ひよこが語りかけていた。
トールさまは技の違いかと尋ねたが、そうではないとひよこは言う。
技、技術…ではない? ならば、何が違うというのだろうか。
どうやら、この5日間のひよこ達の指導には意味があるらしい。
ふうむ、指導の意味か…。
もしかして、それを私が理解する事が出来れば、あの様な戦いも可能なのか?
今週は何となく流してしまっていた気がするが、来週からはひよこの一言一句聞き逃さぬ様にせねばなるまい。
では、今夜と明日の夜は、じっくりとその辺り、時間をかけて丹念にトールさまの体に聞かねばなるまい。
いや、この情報は嫁ーず全員で共有すべきだな。
取りあえずは、まずはマチルダとミレーラと3人で、がっつりとトールさまに何をしていたのかを教えて頂かねば!
ああ、今夜が待ち遠しいなぁ…ぐふふ…じゅるる…。
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