システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
1,376 / 1,466

和、敬、清、寂

しおりを挟む
Day 3(後半)

「呼吸が出来る様になったら、ゆっくりと目を開けて」
 ひよこがそういうので、ゆっくりと俺とイネスが目を開けると…、
「さあ、次に君達が行うのは、このポーズだ!」
 座禅を組んだままで両羽を地面に付き…体を浮かしてる?
 ひよこは意味不明なポーズをしているのだが、よくその身体でそんな事できるな?
 え、ちょっと待って…その羽って、手なの? 体重支えられるの?
「むっ! これは簡単そうに見えて…難しいな…」
 真面目なイネスは、ひよこのポーズを一生懸命真似てるけど、あれ簡単そうに見えるけど、かなり難易度高そうな気がするんですけど。
 でもさ、あれって…確か前世でテレビで見た気がするんだよなぁ…。
「これはヨガのトーラーサナというポーズだ」
 やっぱヨガかよ!
 ひよこの言葉に突っ込みを入れたくなる!
「このポーズをマスターする事により、真なる己と向き合う事が出来るようになる」
 ほう…なるほど…。
「副次的に、広背筋や腹筋、骨盤底などの向上、筋股関節の柔軟性のアップ、そして体感を強化できたりするので、武術の道を極めんとする者にも有効だ」
 むむむ、それは重要だな!
「また、これをこれを女性がマスターすると…」
 ひよこに向かって、イネスが訊ねた。
「女性がマスターすると?」
 ひよこと、唾をゴクリと飲み込んだイネスが、真剣な顔で向き合った。
「とある場所の締まりが良くなるのだ!」
「が、頑張りまっす、師匠!」
 …駄目だ、こいつら…。

Day 4

「私の指導は、少々厳しいので、覚悟する様に」
「押忍!」「はいっ!」
 4日目のひよこは、今までのひよことはどこか違う気がする。
 ちなみに、返事はどっちが俺でどっちがイネスなのかは、想像に任せます。
「この修業は、非常に簡単に見えるかもしれないが、未だかつてない程の衝撃を君に与える事だろ。そして覚醒への道が一気に開けると思う。奥方が私達に付き合うのは不可能かと思われるので、まずは見学して欲しい」
「厳しい…上等だ」「くっ…今回は見取り稽古と言うわけか…」
 修行が厳しいなんて当たり前だ。むしろ、ドーンと来いってなもんよ。
 まあ、イネスは見学しててくれ。
「では始めよう。私に付いて来るが良い」

 ひよこの先導で、何故か我が邸の裏門を開けて、ネス湖の湖畔へと向かうひよこ。
 まさか、水中での稽古なのか?
 俺とイネスは、何だか良く分からないまま、ひよこに付いて行く。
 すると、俺の視界に入って来たのは…畳? 湖畔に畳の間!?
「ああ、そこで靴を脱ぎ、一礼してから上がりなさい」
 そう言うと、ひよこは立礼をしたのち、そっと畳の間に上がった。
 …畳みはひのふのみの…6畳かな?
「ふむ…君はともかく、奥方も畳の縁を踏まぬとは…なかなか礼儀は出来ているな」 
 これって、茶道…だよね?
 ちなみに、俺もイネスもドワーフさんの村で畳は何度も目にしているので、それぐらいの礼儀は知っているのだ。
「では座ってくれたまえ。ああ、君は正座だ」
 普通に腰を下ろそうとした俺は、慌てて正座をしたが、俺を真似て正座しようとしたイネスは何だか腰が落ち着かない様子。
 外人って、上手く正座出来ないって聞いた事あるけど、マジだったんか!
 あれ? ドワーフさん達は、普通に出来てるけど…何でだ?
「本来であれば、まずは床の掛物や季節の花などを鑑賞する物なのだが、ここには雄大な自然が広がっているから、そこは割愛するとしよう」
 目の前の湖は、実は俺と精霊さんの合作なんで、人工物ですけど…。
「今回は茶菓子などは用意していない。無論、茶もだ」
 えっと、んじゃ何でお茶の席を用意したん?
「まずは正座になれてもらう為だ。正座をし、きちんと背を伸ばす。膝の上に左手を軽く置き、その上に右手をそっと重ねる様に置く。この状態で前方やや下、1m程の所へと視線はを向けたまま、1時間キープして頂く」
 1時間!? そりゃ俺だってキツイ! イネスなら、10分もたないんじゃ…?
「ふむ、すでに奥方は足に痛みが来たようだな。足を崩すが良い。初めてならばそんな物だろう。お、君は出来ているな? うむ、呼吸も良いぞ」
 意識したわけじゃ無いけれど、正座したまま腹式呼吸をしてたみたいだ。
 まあ、静かに正座する俺の横で、『ふぐひゃ!』っと、奇妙な声をあげて両足の先を抱えて引っくり返っているイネスが雰囲気ぶち壊しだけど。
 ううむ…痺れた足先をツンツンしたい…。
「む? 雑念が入って無いか?」
 ギクッ! こいつ、見えるのか?
「私は僧侶ではないので警策など持ってはおらぬが、禅の修行であれば間違いなく肩を打ち据えられていたぞ。注意する様に」
 ……注意します。
 まあ、俺も正座は30分が限界でした。 
 しかも、めっちゃ足が痺れたし。

「本日はここまでとしよう。この修業で重要なのは、四規七則である」
 初めて聞く言葉だな。
「詳しくは説明すると長くなるので簡単に説明すると、和、敬、清、寂を四規と言う。七則は利休七則とも言われ、茶は服のよきように点て、炭は湯の沸くように置き、夏は涼しく冬は温かに、花は野にあるように、刻限は早めに、降らずとも雨の用意、相客に心せよ…という客人を持て成す時の7つの心構えである」
 ふむふむ。
「今回は、修行であるがゆえ、七則はおいておこう。まずは四規を極める事だ」
 和、敬、清、寂だっけ?
「今はその言葉の意味を自分で考えよ。さすれば道が開けるだろう」
 …漢字からして、その意味って何となく想像つくんだけどなぁ…。
 
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』

ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。 誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

処理中です...