システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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寝ろ

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 翌朝から、俺の覚醒を目指す厳しい鍛錬が始まった。
 ひよこAがまずは俺の指導役だ。
 朝から裏庭の例の地獄門の様なダンジョン直通の扉を通ってやって来た。

 ま、俺って常識人じゃん? だから、挨拶は欠かさない。
「本日はよろしくお願いしまっす!」
 きちんと腰を折っての最敬礼だ。
「で、出来るだけ邪魔にならない様ん、よ、横で見せて頂きます!」
 何故かイネスも俺の横で頭を下げていた。
 確かに俺の鍛錬に付き合うとは言ってたけど…別にひよこに挨拶はせんでもいいんじゃなかろうか?
 いや、礼儀正しいのは良い事だとは思うけどさ。

 ちなみに、流石に初日だからか、邸中の全員があちこちの窓から覗いてた。
 サラとリリアさんは、裏庭の隅っこにテーブルと椅子を持ち出して優雅にお茶しながらこっちを見てるけど、それって、居候のメイドがする事じゃ無いと思う。
 どっちかというと、普通は俺の嫁達がする事じゃなかろうか?
 まあ、どうでも良いけど…。

「うむ、丁寧なご挨拶いたみ入る。私の事はひよこAと呼んでくれ。ああ、確かイネスさんでしたな? 無論、見学は構いません。この鍛錬が、貴女の未来を照らす一助になるかもしれませんな」
 ひよこの格好してるくせに…何か真面目だな、こいつ…。
「この鍛錬では、私の事は師匠と呼んで頂こう。今後くる同類も師匠と呼ぶように」
「「はい、師匠!」」
 ひよこが腰に手(?)を当てて胸を張りながらそう言うと、俺とイネスは即座に声を揃えて答えた。
 うん、師匠って呼ぶのは間違いじゃ無いだろう。
 なんたって、ボーディ達によれば、すでに覚醒を果たした先達の技術とかを教えてもらえるんだから当然の事だ。
「では、早速鍛錬を始めよう」
「「はい、師匠!」」
 何だか、オラ、ワクワクすっぞ!
 イネスも、ちょっとワクワクしてそうだな…この鍛錬大好き女子め!
「では…まず、寝ろ」
「「はっ!?」」
 何言ってんだ、こいつ?
「えっと…外で…ここで!?」
 見てみろ、イネスが真っ赤になってんぞ? 
「そうだ、そこでだ」
 ひよこ、表情が変わらんから何考えてるかわからん…。
「み、皆の見てる前だと…少し恥ずかしいものがあるな…。だが、これもトールさまの鍛錬の為だ。私も一肌脱ぐとしよう!」
 そう言うと、手に持っていた巨大な両手剣をそっと横に置くと、イネスはいそいそと服を脱ぎはじめた。
「何をしているかね、君は?」
 ひよこの表情は変わらないが、声はちょっと焦ってる?
「イネス、何で服を脱ぐんだ?」
 多分、ひよこの言ってる寝るとイネスの考える寝るは、別の物だと思います…俺。
「いや、さっき寝ろと。ま、まさか…トールさまは、着衣での行為がお望みか?」
「「アホかー!」」 
 うん、今この瞬間、ひよこと通じ合った気がするよ。
「寝ると言うのは、地面に横になる事だ! この馬鹿者が!」
「イネス、お前はもう横で見とくだけにしとけ!」
「あぅぅぅ…」
 師匠であるひよこA氏と俺の怒声が裏庭に響き渡り、イネスが真っ赤になりながら両手で身体を抱きしめながら蹲って羞恥心に悶えた。  
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