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たゆまぬ努力の成果
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フッ! ハッ!
朝の静かなネス湖の湖畔に、俺の裂ぱくの気合が響く。
ムンッ! ハァァァァ…セィヤ!
金色に湖を染める朝日に向かって、俺は蹴りを入れた。
そして、ゆっくりと足を揃え、呼吸を整える。
何の事は無い、毎朝…いや、時間の有る時だけだが…空手の型練習だ。
前世からずっと続けているこの練習。
空手道の型練習だが、型とも形とも書くが、どちらが正解でどちらが間違っているとかは不毛な事なのでここでは割愛する。
話しを続けると、練習はただ型をなぞるだけでは無く、目線、己の重心、関節や肌肉の動きを意識し、そして何よりも己を取りまく大地や空と言った自然と一体化する事が型練習の最終目的だ。
空手と言ったら、近年ではパワーや破壊力を求め風潮が強い。
多くの道場が技を軽視しがちだ。
喧嘩で勝ちたい…そう考えるのが間違いだとは言わない。
確かに負けない為に身体を鍛えるのも、アリだとは思う。
だから決して俺はそれ自体を否定したりはしない。
ただ、そういった空手を、俺は道とは思わない。
空手道とは、そんな即物的な強さを求める物では無いと思っているからだ。
『この道を行けばどうなるものか。 危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし。 踏み出せばその一足がみちとなり、その一足が道となる。 迷わず行けよ、行けばわかるさ』
とある有名なプロレスラーの言葉だ…いや、これは関係ない…かな?
まあ、とにかくパワーや破壊力を求めた空手家は、古くからの空手道の流派を下に見がちなのは間違いない。
空手の型をただの踊りで実用的じゃない…などと言う輩も居るぐらいだしな。
だけど、それは型の深奥を何も理解出来て無い証拠。
まあ、確かに見せるために派手な動きや気合を出す空手の型ってのもあるから、全部が全部間違いってわけでも無いけどね。
湖畔に建つ俺の邸の裏庭の一画。
ここが俺の鍛錬の場。
薄っすらと生えていた下草達も、俺の鍛錬で同じところを何度も踏みつけられて固く締まった地面の為、最近では生えてくる事無くなり、土がむき出しだ。
俺と同じように、この場で剣を振り鍛錬する者がすぐ近くにいる。
元は王女であるメリルの付き人兼護衛役だったイネスだ。
昔は細身の剣を使っていたのだが、最近では父さんの影響なのか、身幅も広く長い両手剣をブンブンと振っている。
一見して、イネスにそんな巨大剣を振れるようなパワーがある様には見えない。
確かに引き締まった身体をしてはいるが、普段服を着ていると華奢に見える。
だが、その剣の振りは鋭いんだ。
毎日の様に振り続けた剣筋は、余計な物をとことん削ぎ落し無駄がない。
武道では奥義の1つとして『無拍子』という言葉があるのだが、それに近い。
構えてから動き出す、静から動へ転じる際に予備動作が無く動く事。
こう言った状態を、『無拍子』と言う。
実際、その為には徹底的に無駄な力や動作を排し、極めて単純に動作する技の修錬や体得が必要となる。
俺も底を目指しているのだが、イネスもまたそれに独力で近づこうとしている。
何故か、あんなにチャランポランな父さんは、すでにその域に近いのは納得いかないけど…。
彼女曰く、俺の鍛錬を見てそれを目指したって言うんだから、実は剣での戦闘に関しては天性の才能を持っていたというのではなく、たゆまぬ努力の成果なのだろう。
父さんは…あれはただの天才なんだろうなあ…。
本当にこの世界って、スキルとか無いんだろうか? ちょっと疑いたくなる。
俺の鍛錬終了に合わせ、イネスも剣を収めた。
少しだけ肌寒い早朝ではあるが、俺もイネスも汗でびっちょり。
この後は、軽くシャワーで汗を流して朝食を…っと思った所で、意外な所から声が掛かった。
「ふむ、毎日の鍛錬、ご苦労様じゃのぉ」
俺に声を掛け、裏庭に姿を現したのは、金髪のじゃロリのボーディだった。
朝の静かなネス湖の湖畔に、俺の裂ぱくの気合が響く。
ムンッ! ハァァァァ…セィヤ!
金色に湖を染める朝日に向かって、俺は蹴りを入れた。
そして、ゆっくりと足を揃え、呼吸を整える。
何の事は無い、毎朝…いや、時間の有る時だけだが…空手の型練習だ。
前世からずっと続けているこの練習。
空手道の型練習だが、型とも形とも書くが、どちらが正解でどちらが間違っているとかは不毛な事なのでここでは割愛する。
話しを続けると、練習はただ型をなぞるだけでは無く、目線、己の重心、関節や肌肉の動きを意識し、そして何よりも己を取りまく大地や空と言った自然と一体化する事が型練習の最終目的だ。
空手と言ったら、近年ではパワーや破壊力を求め風潮が強い。
多くの道場が技を軽視しがちだ。
喧嘩で勝ちたい…そう考えるのが間違いだとは言わない。
確かに負けない為に身体を鍛えるのも、アリだとは思う。
だから決して俺はそれ自体を否定したりはしない。
ただ、そういった空手を、俺は道とは思わない。
空手道とは、そんな即物的な強さを求める物では無いと思っているからだ。
『この道を行けばどうなるものか。 危ぶむなかれ、危ぶめば道はなし。 踏み出せばその一足がみちとなり、その一足が道となる。 迷わず行けよ、行けばわかるさ』
とある有名なプロレスラーの言葉だ…いや、これは関係ない…かな?
まあ、とにかくパワーや破壊力を求めた空手家は、古くからの空手道の流派を下に見がちなのは間違いない。
空手の型をただの踊りで実用的じゃない…などと言う輩も居るぐらいだしな。
だけど、それは型の深奥を何も理解出来て無い証拠。
まあ、確かに見せるために派手な動きや気合を出す空手の型ってのもあるから、全部が全部間違いってわけでも無いけどね。
湖畔に建つ俺の邸の裏庭の一画。
ここが俺の鍛錬の場。
薄っすらと生えていた下草達も、俺の鍛錬で同じところを何度も踏みつけられて固く締まった地面の為、最近では生えてくる事無くなり、土がむき出しだ。
俺と同じように、この場で剣を振り鍛錬する者がすぐ近くにいる。
元は王女であるメリルの付き人兼護衛役だったイネスだ。
昔は細身の剣を使っていたのだが、最近では父さんの影響なのか、身幅も広く長い両手剣をブンブンと振っている。
一見して、イネスにそんな巨大剣を振れるようなパワーがある様には見えない。
確かに引き締まった身体をしてはいるが、普段服を着ていると華奢に見える。
だが、その剣の振りは鋭いんだ。
毎日の様に振り続けた剣筋は、余計な物をとことん削ぎ落し無駄がない。
武道では奥義の1つとして『無拍子』という言葉があるのだが、それに近い。
構えてから動き出す、静から動へ転じる際に予備動作が無く動く事。
こう言った状態を、『無拍子』と言う。
実際、その為には徹底的に無駄な力や動作を排し、極めて単純に動作する技の修錬や体得が必要となる。
俺も底を目指しているのだが、イネスもまたそれに独力で近づこうとしている。
何故か、あんなにチャランポランな父さんは、すでにその域に近いのは納得いかないけど…。
彼女曰く、俺の鍛錬を見てそれを目指したって言うんだから、実は剣での戦闘に関しては天性の才能を持っていたというのではなく、たゆまぬ努力の成果なのだろう。
父さんは…あれはただの天才なんだろうなあ…。
本当にこの世界って、スキルとか無いんだろうか? ちょっと疑いたくなる。
俺の鍛錬終了に合わせ、イネスも剣を収めた。
少しだけ肌寒い早朝ではあるが、俺もイネスも汗でびっちょり。
この後は、軽くシャワーで汗を流して朝食を…っと思った所で、意外な所から声が掛かった。
「ふむ、毎日の鍛錬、ご苦労様じゃのぉ」
俺に声を掛け、裏庭に姿を現したのは、金髪のじゃロリのボーディだった。
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