システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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番外)ある猫の記憶4

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 やがて、新しいお母さんのお腹が大きくなってきた。
 お父さんが言うには、私の弟か妹が出来るんだって。
 弟? 妹? それって何だろう?
 でも、お父さんも新しいお母さんも、とっても嬉しそうだった。
 だから私も嬉しい。
 そういえば、時々お父さんと新しいお母さん…暗いお部屋でゴソゴソしてたけど、あれって何だったんだろう?
 お母さんの声がかうるさくて眠れないから、別の寝床で寝てたけど…ん~?
 まぁ、いっか。

 新しいお母さんが、小さな何かを抱っこしてきた。
 その何かが『だぁ…だぁ…』って鳴いてる。
 近づいてみたら、いい匂いがした。
「プッちゃん、お前の妹だ」
 お父さんが私を抱いて見せてくれた。
 これが妹なんだ…何度嗅いでもいい匂い。
 どことなく、お父さんと新しいお母さんの匂いもする。
「仲良くしてあげてね」
 新しいお母さんがそう言ったから、『にゃぁ!』って返事しておいた。

 妹はどんどん大きくなっていった。
 最初はずっと寝てたけど、だんだん動き回れる様になってきて、私をペチペチ叩いたり尻尾を触ろうとしてきて面倒だった。
 その度に、ひっ掻いて駄目だと教えようとしたけど、新しいお母さんが妹を抱っこして、『めっ! プッちゃんが嫌がってるでしょ!』って教えてた。
 ちゃんと私の気持ちを分かってくれててよかった。
 
 妹は最初は私ぐらいの大きさだったけど、暑い日が終って寒い日が来て暑い日が来て、何度か繰り返してるうちに、私の何倍も大きくなっていた。
 再祖は私を叩いたりしていたのに、最近は良く寝ている私の毛繕いをしてくれる。
 首の周りとか耳の付け根とかはとっても気持ちいい。
 そんな私と妹を見て、お父さんも新しいお母さんも優しく笑ってた。
 今は、また小さな何かがすやすや寝ている。
 妹が言うには、あれは私の弟らしい。
 きっと妹と同じように、最初は私をペチペチしたり尻尾を触ろうとするだろう。
 でも、ちゃんと妹の時に学んだから、理解しているよ?

 この小さな何かが、お父さんと新しいお母さんの間に出来た赤ちゃんなんだって事も、ちゃんと理解した。
 うん、お父さんは素晴らしい雄だから、雌がよって来るんだろう。
 雄と雌がいたら、仲間を増やせるって、心の奥で何かが囁いてる。
 あれ? 雄と雌って、何だろう。 
 私って、雄なのかな? 雌なのかな?
 でも、お父さんとの間に新しい仲間が欲しいって感じるから、私って雌なのかな?
 良く分からないや。
 でも、いつか私もお父さんと仲間を増やしたいなぁ。


 妹も弟も随分大きくなった
 お父さんや新しいお母さんと変わらないぐらいに大きく。
 最近は、皆忙しそうで、なかなか家に居てくれなくなった。
 私は、少し動くだけで疲れる様になった。
 まだ、私はお父さんとの間に仲間を増やす事は出来てない。
 でも、何で出来ないのかって事は、弟が教えてくれた。
 私は猫の雄でお父さんは人間の雄。
 雄同士では仲間は出来ないらしい。
 いや、猫と人間では、そもそも仲間を作る事は出来ないんだって。
 うん、何となくそれは理解してた。
 そうだね、私は猫だ。
 お父さんは人間だ。
 だから、お父さんは、同じ人間の新しいお母さんと一緒に、仲間を増やしたんだ。
 ああ、何だか疲れたなぁ。
 もう目を開けるのも疲れちゃう…。
 身体を動かす事も出来ないや。
 もしかして、もう私…これで最後なのかな?

 私がほとんど動かなくなって、どれぐらい過ぎただろう。
 少しだけ目を開けると、そこにはお父さんと新しいお母さんと妹と弟、みんなの顔があった。
 私の寝床をみんなで覗き込んでた。
 みんな、とっても苦しそうな顔をしてた。
 どこか痛いの?
 ああ、妹も弟も、そんな顔しないで。
 痛いところあったら、舐めてあげるよ、すぐに…あ…でも動けない…。
 せめて言葉で慰めてあげなきゃ…。
『にゃ…』
 ごめんね、みんな。
 もう…声も…出ない…。
 ああ、そうか…私はこれで…死ぬ…んだ…。
 お父さんと…仲間…作りたかった…なぁ…………………。


『はっ!?』
 あ、あれ? 
 私…最後じゃなかったっけ?
 え、目の前にいるこの人…だれ?
 おっぱいくれようとしてるの? 
 でも、私はもう子供じゃないよ?
 身体が動かない? いや、動かないんじゃなくて、動かせない? 
 あれ、苦しくも無いし痛くもい?
 あれ? 私、生きてる!?
 ど、どうなってるの、これ!?
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