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番外)もう1人帰宅
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子猫にシリンジで人肌程に温めた牛乳を少量だけ飲ませた青年は、
「子猫に牛乳は本当は駄目なんだ…」
先ほども言っていたが、そう少女に言った。
「でも、ドラマとかで捨て猫に牛乳あげてるよ?」
「ああ。そんなシーン確かに良く見るが、あんな事をしたら猫は下痢をして、最悪脱水症状で死んでしまったりもするんだって。牛って草食動物だろ? その乳って肉食動物の猫に栄養も足りないし、腸で分解吸収できない酵素があるとか聞いた事ある」
「へぇ…そうなんだ…」
少女は、少し大きめのシリンジで子猫一匹ずつに少量の牛乳を与えている青年の手元をじっと見つめていた。
「まあ、今回は緊急措置だ。あまりにも空腹だったら、ヤバそうだし。これ終わったら、動物病院までひとっ走りしてくるよ」
ただ助けたいという思いだけで突っ走ってしまった少女は、この意外にも知識豊富で優しい兄の言葉に、何だか自分も救われた様な気がした。
「まぁ、そこそこバイトで金もある事だし、それを使うか。言っとくけど、捨て猫や捨て犬を助けようと思ったら、結構な金が掛かるんだからな? 俺の貯金、全部つかっちまう事になるかもしれんから、お前らはしっかり勉強して公立の大学にでも進学しろよ? 家には金なんてあんま無いからな…」
その言葉に、力なく頷く少女。
確かに兄が必死に勉強して公立の大学に進んだのは知っている。
学費に充てるためと、毎日の様に夜遅くまでバイトしている事も。
そして、そのお金の殆どを、将来の自分達の学費にしようとしてくれている事も。
「うん…頑張るね」
少女が子猫に視線を固定したままそう答えると、
「よっし! これでとにかく腹の中から少しは温まったろう。ちょっと動物病院行ってくらぁ!」
そう言って、青年はまた慌ただしく玄関へと向かって行った。
「良かったね、猫ちゃん達。お兄ちゃんが、きっと何とかしてくれるよ…」
少しでも子猫達を暖めようと、少女は布まみれになった子猫達を、そっと抱きしめるのであった。
「兄ちゃん、そんなお乳のやり方じゃダメだ! 俺に貸してみ?」
末の弟が帰宅すると、すぐに子猫達を見つけた。
青年が動物病院で買ってきた猫用の粉ミルクを飲ませているのを見た少年は、
「そんな風に飲ませたら、気管に入っちゃうよ。人間の赤ちゃんじゃ無いんだから、猫はうつ伏せで飲ませるの! ほら、貸して貸して!」
そう言って青年の手から強引にシリンジと子猫を奪い取った少年は、
「こうすんだよ、こう! 猫が仰向けでお乳飲んでる姿見た事ある? 無いでしょう? これが自然な姿なんだよ。姉ちゃんも覚えてよ?」
「な、なるほど…」「う、うん。覚えるね…」
何処でそんな知識を得たのかは分からないが、末弟の言葉に頷く青年と少女。
「う~ん…注射器でも良いんだけど、ちゃんとした子猫用の哺乳瓶とか売って無かったの? この子達まだ目も開いて無いから…生後1週間って所かなぁ…」
何やら少年はブツブツと言いつつ、3匹の子猫達に順にミルクを飲ませる。
「哺乳瓶か…よく考えたら、ミルクだけ買って来たのは失敗だったなぁ」
よほど青年も慌てていたという事だろう。
猫に牛乳は駄目という事だけが頭を支配していたに違いない。
「生まれて間もなく捨てられたんだろうねぇ。まだノミとか居ないみたいだから良かったけど、それでも病気が怖いから予防注射とか必要かも…」
まだ少年はブツブツと呟いている。
「わ、私もお年玉とか貯金してるから、ちょっとは出せるよ」
「そんなん当たり前だろ、姉ちゃん! 俺も出すよ。全員で負担しよう」
少女の言葉に、少年がそう返すと、
「いや、俺が出すから…」
青年が言い難そうにそう言った…が、
「駄目だよ、3人で出すんだ。そうじゃ無かったら、父さんと母さんに飼わせてくれとか言えないだろ?」
色々と考えている末弟の言葉に、青年と少女は、ただ唸るしか出来なかった。
「子猫に牛乳は本当は駄目なんだ…」
先ほども言っていたが、そう少女に言った。
「でも、ドラマとかで捨て猫に牛乳あげてるよ?」
「ああ。そんなシーン確かに良く見るが、あんな事をしたら猫は下痢をして、最悪脱水症状で死んでしまったりもするんだって。牛って草食動物だろ? その乳って肉食動物の猫に栄養も足りないし、腸で分解吸収できない酵素があるとか聞いた事ある」
「へぇ…そうなんだ…」
少女は、少し大きめのシリンジで子猫一匹ずつに少量の牛乳を与えている青年の手元をじっと見つめていた。
「まあ、今回は緊急措置だ。あまりにも空腹だったら、ヤバそうだし。これ終わったら、動物病院までひとっ走りしてくるよ」
ただ助けたいという思いだけで突っ走ってしまった少女は、この意外にも知識豊富で優しい兄の言葉に、何だか自分も救われた様な気がした。
「まぁ、そこそこバイトで金もある事だし、それを使うか。言っとくけど、捨て猫や捨て犬を助けようと思ったら、結構な金が掛かるんだからな? 俺の貯金、全部つかっちまう事になるかもしれんから、お前らはしっかり勉強して公立の大学にでも進学しろよ? 家には金なんてあんま無いからな…」
その言葉に、力なく頷く少女。
確かに兄が必死に勉強して公立の大学に進んだのは知っている。
学費に充てるためと、毎日の様に夜遅くまでバイトしている事も。
そして、そのお金の殆どを、将来の自分達の学費にしようとしてくれている事も。
「うん…頑張るね」
少女が子猫に視線を固定したままそう答えると、
「よっし! これでとにかく腹の中から少しは温まったろう。ちょっと動物病院行ってくらぁ!」
そう言って、青年はまた慌ただしく玄関へと向かって行った。
「良かったね、猫ちゃん達。お兄ちゃんが、きっと何とかしてくれるよ…」
少しでも子猫達を暖めようと、少女は布まみれになった子猫達を、そっと抱きしめるのであった。
「兄ちゃん、そんなお乳のやり方じゃダメだ! 俺に貸してみ?」
末の弟が帰宅すると、すぐに子猫達を見つけた。
青年が動物病院で買ってきた猫用の粉ミルクを飲ませているのを見た少年は、
「そんな風に飲ませたら、気管に入っちゃうよ。人間の赤ちゃんじゃ無いんだから、猫はうつ伏せで飲ませるの! ほら、貸して貸して!」
そう言って青年の手から強引にシリンジと子猫を奪い取った少年は、
「こうすんだよ、こう! 猫が仰向けでお乳飲んでる姿見た事ある? 無いでしょう? これが自然な姿なんだよ。姉ちゃんも覚えてよ?」
「な、なるほど…」「う、うん。覚えるね…」
何処でそんな知識を得たのかは分からないが、末弟の言葉に頷く青年と少女。
「う~ん…注射器でも良いんだけど、ちゃんとした子猫用の哺乳瓶とか売って無かったの? この子達まだ目も開いて無いから…生後1週間って所かなぁ…」
何やら少年はブツブツと言いつつ、3匹の子猫達に順にミルクを飲ませる。
「哺乳瓶か…よく考えたら、ミルクだけ買って来たのは失敗だったなぁ」
よほど青年も慌てていたという事だろう。
猫に牛乳は駄目という事だけが頭を支配していたに違いない。
「生まれて間もなく捨てられたんだろうねぇ。まだノミとか居ないみたいだから良かったけど、それでも病気が怖いから予防注射とか必要かも…」
まだ少年はブツブツと呟いている。
「わ、私もお年玉とか貯金してるから、ちょっとは出せるよ」
「そんなん当たり前だろ、姉ちゃん! 俺も出すよ。全員で負担しよう」
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「いや、俺が出すから…」
青年が言い難そうにそう言った…が、
「駄目だよ、3人で出すんだ。そうじゃ無かったら、父さんと母さんに飼わせてくれとか言えないだろ?」
色々と考えている末弟の言葉に、青年と少女は、ただ唸るしか出来なかった。
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