システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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 エド君は、前世の人格も記憶も持ったまま転生したという衝撃の事実が、今白日の下に曝された。
 まあ、前世の人格も記憶も持ったまま転生した俺とか、転移して来た元仲良し幼馴染で現夫婦のユズユズっていう特例や、現パンゲア大陸に局長が大量に送り込んで来た転移者達っていう前例があるんだから、こんな事が起こってもおかしくは無い。
 うん、おかしくはない。
 だが、問題はそこじゃない。
 基本的にこの世界に前世の記憶や人格を保有したまま転生して来た俺だから言うのだが、これってシステムのバグなのか?
 俺の時は、輪廻転生システムのバグと局長の思惑が複雑(?)に絡み合った結果、この世界に転生して来たけど、だったらエド君は? 
 もしもこの赤ちゃんの転生に局長が絡んでいるとしたら…一体何を企んで…ん?

「なぁ、カジマギー。ちょっと確認したいんだけど」
「はい、何でしょうか?」
「前に全員に飲んで貰った例の薬…確かエド君にも効いてるんだよな?」
 管理局との繋がりが完全に切れる薬は、この世界の全員…とまでは言わないが、すでに我が国と親交のある国に属しているほとんどの人へと行き渡っている。
 実際に薬という形で広まった分けでなく、飲食物や治療用の薬など、その形は多岐に渡るが、とにかくかなりの人が飲んでいる。
 おまけにサラやリリアさんは局と通信途絶状態なのだから、エド君の中身を局長が送り込んで来るメリットって何だ?
「勿論ですが、効果は出ています」
 うむ。
「エド君が生まれる前から薬は広まった…。いや、それよりも先に服用していたから、すでに管理局ではエド君の見聞きした事とかはチェックできなかったはず。なのに局長がこの世界にエド君を送り込んだ意味ってあるのか?」
「無いと思います。もし何らかの目的を持って彼を送り込んだのだとしたら、現状の様に管理局側にこちらの様子が一切不明な状況でしたら、その目的が果たされる事は無いと思われます」
 よしよし、局長の思惑は潰せてるって事だな。
「んじゃ次の質問だ。例の虹色の玉って、もしかしてエド君の転生に何か関係があると思うか?」

 ずっと頭の片隅に引っかかっていた、あの虹色の玉。
 もしかして、これに関係あるかも知れない。     
 俺が転生してきた時に、粗品だとか言って俺の手元にやって来たガチャ玉。
 似た様な玉をエド君が握っていたのだから、気にならないはずがない。
 それともう一つ懸念事項が…。
「あと気になるのが、俺にとってのナビ…えっと、サラの様な補助的な人員が管理局から送り込まれて来てないか…について、どう思う?」
「あっ!」
 おっと、これはカジマギーの意表を突いたかな?
「確かにあの虹色の玉がエネルギー転送玉と同等であったとするならば、その使い方を指南するナビゲート役も送り込まれている可能性があります」
 だよねぇ。
「ところで、虹色の玉は、現在行方不明なんですよね?」 
 カジマギーがいきなりそんな事を聞いて来た。
「え、ああ…うん。俺が隠しておいたんだけど、見当たらないんだよ…それがどうかしたか?」
「…いえ、もしかしたら、すでにナビゲート役はすぐ近くに存在していて、あの虹色の玉が使用されてしまっていたとしたら?」
「ま、まさ…か! もしもすでに使わてしまっていたとしたら…ん?」
 いやいや待てよ?
「あの時、エド君が虹色の玉を握っていたのは、俺達全員が見ていたし、誰もが触れたぞ? 俺の持っているガチャ玉は、未だに俺以外は見る事も触る事も出来ないのに、これってちょっと違うよな?」
 何か別物って感じなんだけど。
「ですが、パンゲア大陸を創られた時のアイテムは誰もが目にして触れられたのではないですか?」 
「言われてみれば…」
 確かにそうだな。

「あの、お話の途中で申し訳ないのですが…」
 俺とカジマギーの白熱した…かどうかは分からないが、2人のやり取りの最中に、マチルダが口を挟んでした。
「どうした、マチルダ?」
 何かもうちょっとで答えが出そうなんだけど?
「いえ、そろそろ晩餐の時間ですので、討論会は一旦お開きにされては…と」
 え、もうそんな時間?
 このエド君の部屋は完全に窓とか塞がれてて外が見えなかったから気が付かなかったよ。
「あと、今後お母さまのお乳を彼に与えるのも問題が発生しそうですので、急遽乳母となってくれる方を探させました」
 おお! そこまで気が回らなかったよ!
「その方も、間もなくこの邸に到着する予定ですので、取りあえずお話は止めて休憩しませんか?」
 もう乳母さん見つかって、しかも来るのかよ! 
 展開、早すぎんか?
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