システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

お土産目当て？

　程なくして俺達の乗る馬車は、父さんの王都邸へと到着した。
　玄関には大勢の若いメイドさん（父さんの趣味か？）と、執事さんがずらっと並んで俺達を出迎えてくれた。
　あまり仰々しくして欲しくは無かったが、そうは言っても邸の使用人として、使える家の当主の息子であり女神の使徒（っと思われている）である俺とその家族を、出迎えないなどという選択肢は無かったらしい。
　いや、本当にそんな気遣いはいらないんだけどね。　

　出迎えの人に中に、母さん、コルネちゃん、ユリアちゃんの姿は見えない。
　いつもなら、母さんは別として、絶対に俺を愛してくれている妹達は出迎えてくれているはずだ。
　え、それは妄想？　妹達は別にお前を愛してなんかない？　何を言うんだ父さん！
　コルネちゃんもユリアちゃんも、普段の俺への言動を見ればわかるだろ？
　俺って、めっちゃ妹達に愛されてるじゃん！　
　はぁ～？　それはお前の気のせいだって？　んじゃ何で毎回満面の笑みで 俺を出迎えてくれるんだよ！
　お土産目当て？　土産を貰ったらさっさと部屋に戻るのが証拠？
　言われてみれば、確かにお土産を渡したらすぐに２人共姿を消してた様な…。
　いや、そんな事は無い！　俺は史上最高に可愛い２人の天使に愛されてるのだ！
　何で一斉にため息吐くんだよ、父さんだけじゃなく俺の家族と使用人達まで！

　ま、まあ…それはそれとして。
　母さんや妹達だけでなく、ナディア達も顔を見せないっていう事は、それだけ今回のエド君が光ったって事は、外部には絶対に漏らさないようにアルテアン家の最重要機密事項に指定されているから、厳戒態勢を敷いているからだろう。
　なので、普段通りを装って、使用人一同で俺を出迎えたって事なんだと思う。
　大勢が出迎えれば、母さん達がそこに混じっていなくとも一見すると分らん。
　もしもどっかから監視でもされていた時の為の、カモフラージュなんだろう。
　よく考えられている。
　なので派手な事はあまり好きではない俺も、今回はそれに乗っかろう。
　その口が言うんだって？　この口だよ！　文句あるんか、あぁ～ん？

　さて、アホな妄想はおいといて、メイドさん先導の元、父さんの後ろに続いて母さん達が待っている部屋へと俺達は向かった。
　空の上でリリアさんから色々と小難しい話をされはしたのだが、結局エド君が何で光ったのか原因は不明のまま。
　朝方リリアさんの知識も交えてカジマギーにも話しはしたのだが、やはり直接その目で確認してみないと、何とも言えないという。
　まあ、ナディア達から事前に念話で聞いたところ、エド君は今の所は特に身体的に異常は見られず、日々元気にハイハイしていると言っていたので、まずは一安心。
　だが、異常事態は異常事態。
　原因がはっきりしない事には、母さんも父さんも落ち着かないだろう。
　今回はカジマギーという幼女が付いて来ているだけに見えるだろうが、実はユリアちゃんとは別の意味でのスーパー幼女であり、ダンジョンマスターであるボーディとは離れてても五感すらも共有出来る分け身である。
　見た目が幼女なので、どっかから監視されててもそう重要視されないだろう。
　本当に色んな意味で特殊な幼女なのだ。

「奥様、皆様がお着きです」
　ちょっとぼへぇっと考え事をしている間に、母さん達が待つ部屋に到着してたらしく、先導していたメイドさんが部屋の扉をノックした後、中へと声を掛けていた。
「あら、早かったわね…入っていただて」
　扉の向こうから、懐かしい（半年ぶりぐらいかな？）母さんの声が聞こえて来た。
　その声に、メイドさんは仰々しく両開きの扉をゆっくりと手前に開いた。