システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
1,324 / 1,466

見せてもらおうか

しおりを挟む
 皆様、人体模型という物をご存知だろうか?
 中学校の理科室などの隅で埃をかぶっていた物を見た記憶があるという方も、きっと少なからず居ると思います。
 顔の半分の皮膚が無く、身体に至っては骨格の一部まで切り開かれてリアルに内臓が造り込まれているアレである。
 夜の暗い廊下を走る人体模型とか、学校の七不思議の1つにあげられるほど認知度は高いと個人的には思っている。
 接骨院や整形外科とかでたまに見る骨格模型は別物なので混同しないで頂きたい。
 空手に夢中だった頃の俺は、筋肉の付き方や内臓の位置などを確認するためにずっと眺めていて、同級生達に変人を見る様な目で見られていた悲しい過去もあったりする…。

 そんな模型を見慣れた俺であっても、さすがにコレはドン引きだ。
 何せ目の前にあるのは、顔の皮膚をがっつりと取り除いた、TVならモザイク必至のリリアさん…いや、正確にはリリアさんのロボだけど…の無残な姿が…。
「こ、これは酷い…めっちゃ痛そう…」
 前世で、生爪を剥いでしまった時、目茶苦茶痛かった。
 転んで擦りむいて皮が捲れた時も、泣きそうな程痛かった。
 部屋を掃除していた母さんが隠してたエロ本を見つけたとき時の沈黙も痛かった…あ、これは違うか。
 とにかく顔面の皮を剥がされたリリアさんのリアルな姿は、非常に痛々しいばかりでなく、思わず目を背けてしまうほどグロい。
 実際、目を背けてしまった俺に、
「いえ、痛くありませんけれど?」
 目の前の等身大のリリアさんが声を掛けて来た。
「だって、顔がこんなにオープンに…あれ?」
「私じゃ無いんですよ?」
 そう言えば、これってロボだった。
「いや、あまりにもリアルだから…この眼球とか筋肉の付き方とか…」
 しかも10倍の大きさで目の前にどーーん! だぞ?
「ですから、これはあくまでもロボだと説明があったはずですよ? そもそも疑似生体材料を使用して、私やサラの肉体を見た目は完全再現しているのですから、こうなるのも当然では? それとも、胸をおっぴろげてそこから乗り込めと?」
「…そんな事は…」
「そうなると、乗り降りの時には、メイド服もブラも脱ぎ捨てて、私の胸を衆人環視の中で曝せと? 流石は鬼畜様ですね」
「いや、ちが…」
「それとも、私の胸が見たのですか? 新ボディになって、1カップ大きくなった私の胸を?」
 やっぱ大っきくなってたか! やはり俺の目に狂いは無かった! 
 
「知ってますか? 視線は口よりも誠実に物を言うのですよ?」
 はっ! どこをとは言わないが思わず凝視してしまった!
「まあ、見たいなら見せてあげるのは吝かでは無いのですが…あちらの方にこの話は全部丸聞こえですよ?」
 えっ…あちらの方? 俺がそうっと視線をサラロボの前に居るたユズカとマチルダとサラが、こっちをじぃぃぃぃっと見つめていた。
「あんな遠くで聞こえるはずが…」
「ト~~~ルさま~~~! 声が響いて丸聞こえですよ~~~! 今夜は、説教です~~~~~!」
 下からこちらを見上げたメリルの声が聞こえた…めっちゃはっきりと。
「ここは兵器格納庫ですよ? 声を張り上げなければ会話出来ないようなら、まともな整備など出来るはず無いじゃないですか。色々と考慮してこの格納庫は造られていると伺ってますよ?」
 ま、マジか! 俺、やっちまったのか!?
「そんなに見たいなら、後でじっくり見せてあげますから、そこでリリアを襲ってはダメですよ~!」
 ミルシェまでそんな事を言い始めやがった! いや、見たくないとは言わないよ? 
 そりゃ男の子何だから、見たいし触りたいし舐めまわしたいよ! …最後のは無しで…。
 でも、だからと言って、こんな所で見せろなんて言うわけ無いじゃ無いか!
「それで、どうしますか?」
「あ、ああ…見せてもらおうか(コクピットを)」
 遥か足元から、『えっ!?』っという声が聞こえた。
「やはり見るのえすね(私の胸を)」
「え、当然だろ?」
 またもや足元から、『ええええっ!?』っと、絶叫に似た叫び声が。
「では…」
 リリアさんはそう言うと、いつも着ているメイド服の首元のボタンを一つずつ外して…って、
「ちょい待て! 何で服を脱ごうとしてんだ?」
「え、見たいって仰ってましたよね、私の胸を?」
『言ってた言ってた!』
 足元っシャラップ!
「俺が見たいって言ったのは、コクピットだぞ?」
「えっ?」『ええええええええ!?』
 なんだ、その意外ですって顔は! いや、足元のお前らもだぞ!

「そもそも、こんな所で胸を見せろとか言うわけ無いだろうが!」
 まったく、俺を何だと思ってるんだよ!
「では邪魔が絶対に入らないような場所で2人っきりだったら?」
「……………言わない」
 そんな素晴らしい条件の場所あるわけ無い…無いと思う…あるの?
「微妙な間がありましたね」『絶対に、うっそだーーーー!』
 …………言わないよ?
 ってか、リリアさんは、そんな微妙な間を読むな!
 それ以外の君達! ちょっと失礼だぞ! ぷんぷん!
「でもお好きですよね?」
「…………………」 
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』

ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。 誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

スローライフとは何なのか? のんびり建国記

久遠 れんり
ファンタジー
突然の異世界転移。 ちょっとした事故により、もう世界の命運は、一緒に来た勇者くんに任せることにして、いきなり告白された彼女と、日本へ帰る事を少し思いながら、どこでもキャンプのできる異世界で、のんびり暮らそうと密かに心に決める。 だけどまあ、そんな事は夢の夢。 現実は、そんな考えを許してくれなかった。 三日と置かず、騒動は降ってくる。 基本は、いちゃこらファンタジーの予定。 そんな感じで、進みます。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

処理中です...