システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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お疲れっしたーー!

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 いつものごとく、我が家に何かあれば全員が集合する食堂での昼食前。
 本日は、なんとミルシェのご両親もこの場に列席してくれました~!
 長男と次男がこの世に誕生して、早5日。
 メリルとミルシェの産後の肥立ちも良く、本日はこの集まりに参加してくれている。
 
 うぅむ…ごほん! では、…。
「じゃじゃ~ん! 今日は皆さまお待ちかねの、子供の名前を発表しちゃいま~す! ドンドンパフパフ!」
 ぱちぱちぱち…って、えらく拍手が疎らだなぁ。思ったよりも皆のノリが悪い?
「では…まずは、メリルが生んでくれた長男君のお名前ですが…アルバーノ君に決まりました~! んで、ミルシェの生んでくれた次男君のお名前は、ドナート君に決定で~~~す!」
 ぱちぱちぱち…って、拍手めっちゃ少な!

「いえ、トールさま…まるでご自分で考えて決定したように言ってますけど…」
「トールさまの挙げた候補の名前って、全部却下されたんですからね?」
 生まれて間もない赤ちゃんを抱っこしたメリルとミルシェの辛辣な一言が俺に突き刺さる。
「いや、だけど、俺だってめっちゃ真剣に考えたんだぞ?」
 2人の名前の候補は、何と驚け25個だ!
「それはその壁に貼ってある紙を見たらわかります」
 マチルダが指さしたのは、ことごとく赤いインクでバッテンを付けられたお名前候補が書かれた紙…。
「ノブナガ、ヒデヨシ、ミツクニ、ヨシカゲ、ヨシモト、カゲトラ、トシミツ…まあ、この辺りは、遠い異国の勇敢な男の名前ですので一見すると悪くはなさそうですが…まあ世界観的には合いませんね…却下です」
 何故かユズキが、俺の考えた名前候補を1つずつ指さして解説を始めた。
「アントナン、オーバン、モルガン、ポール、サミュエル…これは世界観的にも違和感は無さそうですが、何だかちょっと微妙です」
 微妙言うなし!
「アムロ、シャー、ハヤト、カイ、ブライト、レビル、スレッガー、リュウ…これって、機動する戦士の登場人物名ですよね?」
 ………燃え上がるファースト世代だよ?
「ゴンザレス、デクスター、ベンジャミン、ジェイコブ、ジャクソン…これ、本当に良いと思いました?」
 ………強そうな感じせん?
「なので、全て却下です。我々は、伯爵様の乏しいセンスであっても、流石に愛しい我が子にならば、きっと良い名前ぐらいは考えられるだろうと思っていましたが…」
「いや、格好良いじゃ無いか!」
 俺は良いと思ったんだよ! 燃え上がりそうな名前は…適当かも知んないけど…。

『はぁ~~~~~~~』
「何で全員で一斉にため息吐くんだよ!」
 俺だって一生懸命考えたんだよ!
「全員の思いが一致したって事よ」
 そう言って立ち上がったのは、最近随分と大きくなったユズノちゃんを抱っこしているユズカ。
「…思いが一致って、何に対してだよ?」
「伯爵様のネーミングセンスが皆無だって事に決まってるでしょ!」
 どーーーん! とココロのスキマを突く喪黒の福造さんみたいに、俺に人差し指を突きつけるユズカ。
「ば、ばかな…」
 そんな馬鹿な! 俺のネーミングセンスは抜群なはずだ!
「いや、今までの数々の名付けを鑑みれば、それは全員承知でしたけど…」
 ユズキまで!?
「いえ、トールさまにネーミングセンスが無いのは知ってましたけど…、時折、ナイスなネーミングもあったんですよねぇ」
「確かに、極々たま~に光る物もあったからなぁ」
「でも…スレッガーは良くないです…か?」
 マチルダとイネスは散々だなぁ。
 メリルは、スレッガー気に入った? んじゃ三男を君が産んだら、それにしないかい?
「でも、自分の子には…ちょっと…」
 そですか。
「コルネリアさんの純白の創界シスター、妖精の長のナディアさんに、天鬼族のアーデ、アーム、アーフェンなんかは、なかなか良い名だと思いますよ?」
 だろ? メリルだっていい名前だって思うだろ?
「だけど、恐怖の大王と戦った時のあの秘密兵器…全部すいとーる君ってのは…さすがに…ねぇ?」
 うぐっ! 痛い所を突いて来るね…ミルシェ…。
「私達専用の蒸気自動車も、コルネリアさんやユリアーネさんの専用車も…名前がねぇ…名前だけじゃなくデザインも…」
 マチルダまで? ってか、デザインセンスまで!?
「森の中を疾走するバスの名前が…」「あの滝を臨むホテルの名前はねぇ?」「あれもちょっとセンス無いと思うなぁ」「そう言えば、あれも」「これも」「それも」
 俺の名付けって、そんな風に思われてたの!?
『いいとこナッシング!』 
 全員で声を揃えて、言いたい放題だな!

「っと言うわけで、長男と次男の名前は、我々トールさまの妻一同での会議にて候補が決まり、この場の全員の挙手にて決定しました。トールさまにも無論拒否権が1票あります。すでにこの邸ではトール様以外の大多数の賛成票を獲得していますので、全然意味のない1票ですけれど」
 メリルが言うには、民主主義? 多数決? の内の1票は俺にあるそうだ。
 そんなもん、1票じゃ絶対に勝てねーだろーが!
「そういうわけで、子供達の名前はこれで届け出ておきます。皆さん、お疲れさまでしたー!」
『お疲れっしたーー!』
 そうミルシェがそう声高らかに宣言すると、全員がどっかの体育会系の部活の挨拶みたいなので全員が場を締めた。

 ちぇ…どうせ俺にネーミングセンスなんてねーよ…ちくそう!
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