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結果良ければ全て良し
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「なあ、ユズキ…」
「何ですか、伯爵様?」
空に浮かぶ地球がその姿を消した後、トール達は執務室へと続く廊下を歩いていた。
トールは後ろを付いて来るユズキとユズカに向かって振り返り立ち止まると、そう問いかけた。
「あの地球は幻だ…」
「ええ、まぁそうでしょうね…。地表に何の影響も無かった事だし…」
はっきりと幻だと言い切ったトールに、ユズキは少しだけ俯きながら答えた。
「なあ、ユズキ、ユズカ…。お前達は地球へ帰りたいか?」
あまりにも唐突なその質問に、ユズキもユズカも思わず息を飲んだ。
だが、2人は顔を見合わせると小さく頷き、
「「帰りたくありません」」
そうはっきりと答えた。
「そうか…帰りたくないか…。俺はあの地球を見て、少しだけ帰りたいと思ったよ…」
どこか寂しそうにそう言うトールに、
「今さら地球へ帰れますか?」
何やらユズカが楽しそうにそう訊ねる。
「どういう意味?」
「だって、地球じゃ5人と同時に結婚なんて出来ませんよ?」
それを聞いたトールは、「確かに」と頷く。
「あと、奥様の2人はすでに妊娠しています」
「…確かにそうだ…」
ユズカの言う通り、メリルとミルシェはもう少しで出産だ。
「地球では、もう元の奥さんも無くなっているはずですよね? 伯爵様をご存知の身内も、もう亡くなっているはずです」
言われてみればその通りだ。
「そんな誰も知り合いが居ない地球に戻りたいですか? 身重の奥様をこの星に残して」
「いや…帰りたくないな…。でも、そうしたらお前達は何で?」
ユズカの指摘は一々ごもっとも。
だとすると、転移してきただけのユズキとユズカは、何で帰りたくないんと言ったのだろうか?
「だって、日本では18歳まで結婚できないんですよ?」「あ、私は16歳で出来ますけどね」
ユズキとユズカがとんでもない事を言い出した。
「それに柚乃ちゃんも生まれました」「日本だったら、いくら幼馴染だからって…絶対に反対されるもん。ね~柚乃ちゃ~ん」
優しい目でユズカと愛娘のユズノを見つめるユズキと、慈母の様な微笑みで腕の中で眠る愛し子を見つめるユズカ。
普段の行動や言動から、結構日本でも自由に生きてきたと思ってたユズキとユズカだったが、意外と色々な柵に縛られていたのかもしれない。
「そっか…そうだよな。そりゃ、日本だったらまだ2人は結婚して子供を作る様な歳じゃないもんな」
「そうですよ」「うんうん!」
2人は晴れやかな笑顔でトールに言葉に答えたのだった。
何故かそんな2人の笑顔を見たトールも
「ところで伯爵様。何であの地球が幻だって気付いたんですか? 僕なんて驚きすぎて、すぐには気付けませんでしたよ」
そんな素朴なユズキの疑問にトールは、
「ああ、簡単な事だよ。あの地球の周りには宇宙が見えていた。って事は、大気をそれだけ押し退けていたはずなんだけど、この星の大気ってどう考えたって地球の大気層より薄いはず。なのにあんなに間近に地球が迫っていた…。ならすでに地球とこの星は激突している距離なはず。なのにぶつかってないって事は、あれは巨大なスクリーンに映し出された画像みたいなもん…って考えたんだよ」
「えっと、確信があった分けじゃなかった…と?」
ちょっと眉をしかめたユズキが、トールの顔を覗き込む様に見ながら言うと、
「あと、王都でもナディアが見てたらしいんだけど、そっちにも地球が見えたってだけで異変無かったし…」
「伯爵様…そんな推測だけで幻って決めつけたんですか?」
ユズキの眉間に結構な皺がよっていた。
「ああ、うん…でも、ほら…幻だったじゃん?」
何故か責められている様な気がしたトールの顔は、汗ダラダラだ。
「結果良ければ全て良しって考え方、僕はどうかと思うんですよ。もしもアレが本当の地球だったら? 前に話をしてくれた時に、管理局長が新しい世界を創造するがために、この次元世界が急激に接近して激突して消滅するって言ってましたよね? それの時が早まったんだとしたら? 中途半端な憶測で災害球の大事変を片付けないで下さい!」
「あ、はい…仰る通りです…」
ユズキの妙な迫力に気圧されるトール。
「次に何か大きな出来事が起きる前に、とっとと覚醒でも何でもして下さい!」
「はいぃぃっ!」
ユズキの言葉に、トールは直立不動で答えるのだった。
「何ですか、伯爵様?」
空に浮かぶ地球がその姿を消した後、トール達は執務室へと続く廊下を歩いていた。
トールは後ろを付いて来るユズキとユズカに向かって振り返り立ち止まると、そう問いかけた。
「あの地球は幻だ…」
「ええ、まぁそうでしょうね…。地表に何の影響も無かった事だし…」
はっきりと幻だと言い切ったトールに、ユズキは少しだけ俯きながら答えた。
「なあ、ユズキ、ユズカ…。お前達は地球へ帰りたいか?」
あまりにも唐突なその質問に、ユズキもユズカも思わず息を飲んだ。
だが、2人は顔を見合わせると小さく頷き、
「「帰りたくありません」」
そうはっきりと答えた。
「そうか…帰りたくないか…。俺はあの地球を見て、少しだけ帰りたいと思ったよ…」
どこか寂しそうにそう言うトールに、
「今さら地球へ帰れますか?」
何やらユズカが楽しそうにそう訊ねる。
「どういう意味?」
「だって、地球じゃ5人と同時に結婚なんて出来ませんよ?」
それを聞いたトールは、「確かに」と頷く。
「あと、奥様の2人はすでに妊娠しています」
「…確かにそうだ…」
ユズカの言う通り、メリルとミルシェはもう少しで出産だ。
「地球では、もう元の奥さんも無くなっているはずですよね? 伯爵様をご存知の身内も、もう亡くなっているはずです」
言われてみればその通りだ。
「そんな誰も知り合いが居ない地球に戻りたいですか? 身重の奥様をこの星に残して」
「いや…帰りたくないな…。でも、そうしたらお前達は何で?」
ユズカの指摘は一々ごもっとも。
だとすると、転移してきただけのユズキとユズカは、何で帰りたくないんと言ったのだろうか?
「だって、日本では18歳まで結婚できないんですよ?」「あ、私は16歳で出来ますけどね」
ユズキとユズカがとんでもない事を言い出した。
「それに柚乃ちゃんも生まれました」「日本だったら、いくら幼馴染だからって…絶対に反対されるもん。ね~柚乃ちゃ~ん」
優しい目でユズカと愛娘のユズノを見つめるユズキと、慈母の様な微笑みで腕の中で眠る愛し子を見つめるユズカ。
普段の行動や言動から、結構日本でも自由に生きてきたと思ってたユズキとユズカだったが、意外と色々な柵に縛られていたのかもしれない。
「そっか…そうだよな。そりゃ、日本だったらまだ2人は結婚して子供を作る様な歳じゃないもんな」
「そうですよ」「うんうん!」
2人は晴れやかな笑顔でトールに言葉に答えたのだった。
何故かそんな2人の笑顔を見たトールも
「ところで伯爵様。何であの地球が幻だって気付いたんですか? 僕なんて驚きすぎて、すぐには気付けませんでしたよ」
そんな素朴なユズキの疑問にトールは、
「ああ、簡単な事だよ。あの地球の周りには宇宙が見えていた。って事は、大気をそれだけ押し退けていたはずなんだけど、この星の大気ってどう考えたって地球の大気層より薄いはず。なのにあんなに間近に地球が迫っていた…。ならすでに地球とこの星は激突している距離なはず。なのにぶつかってないって事は、あれは巨大なスクリーンに映し出された画像みたいなもん…って考えたんだよ」
「えっと、確信があった分けじゃなかった…と?」
ちょっと眉をしかめたユズキが、トールの顔を覗き込む様に見ながら言うと、
「あと、王都でもナディアが見てたらしいんだけど、そっちにも地球が見えたってだけで異変無かったし…」
「伯爵様…そんな推測だけで幻って決めつけたんですか?」
ユズキの眉間に結構な皺がよっていた。
「ああ、うん…でも、ほら…幻だったじゃん?」
何故か責められている様な気がしたトールの顔は、汗ダラダラだ。
「結果良ければ全て良しって考え方、僕はどうかと思うんですよ。もしもアレが本当の地球だったら? 前に話をしてくれた時に、管理局長が新しい世界を創造するがために、この次元世界が急激に接近して激突して消滅するって言ってましたよね? それの時が早まったんだとしたら? 中途半端な憶測で災害球の大事変を片付けないで下さい!」
「あ、はい…仰る通りです…」
ユズキの妙な迫力に気圧されるトール。
「次に何か大きな出来事が起きる前に、とっとと覚醒でも何でもして下さい!」
「はいぃぃっ!」
ユズキの言葉に、トールは直立不動で答えるのだった。
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