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大お見合い大会 1
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その日、グーダイド王国は、雲一つない晴天であった。
王城に隣接した練兵場では、6歳から18歳までの貴民家や勲民家など良家の未婚の息男・息女が多数集っていた。
無論、ここに集まった若人には既婚歴など無い。
っと言うか、既婚歴のある者は、この場への入場そのものが拒否された。
いくら喚こうが叫ぼうがごねようが、この決定は覆らない。
何故ならば、このルールは国王陛下が決めた事であるから、それに異を唱えると言う事は、つまりは王家を敵に回す行為。
参加希望する本人が強硬手段に出ようものならば、真っ先にそんな馬鹿な子を持つ親が止めに入るだろう。
それでも聞かない様であれば、確実に大勢の騎士や衛士達によって、投獄されるのは必至である。
更に、既婚歴が無い未婚の息男・息女であろうとも、性格や普段の行い等に問題が有る…例えば金遣いが荒いだとか、他人の悪口や陰口を言っているだとか、女癖や男癖が悪い…ならば、当然ではあるが入場は拒否される。
つまりは、選りすぐりの未婚の息男・息女だけがこの場への参加を許され、この青空の元に集ったというわけだ。
この場を整える為、王城の多くの文官や武官が日夜奔走した。
当日であるこの日、先ほど列挙した様な、この場に参加する資格のない馬鹿者が乱入しない様に、若人の周りをぐるりと取り囲んで警護の真っ最中だ。
国王陛下肝入りのこの一大イベントを成功させる為に寝る間も惜しんで東奔西走した彼等は、見るからにやつれていたのだが、それでもこの日の為に着飾った若人達の笑顔を見ると、頑張って良かったと思ったそうだ。
さて、そんな若人達が笑顔で集まっていた練兵場ではあるが、とある人物の登場により、しんと静まり返った。
それは誰あろう、このグーダイド王国の国王である、サンデル・ラ・グーダイド陛下が姿を見せたからだ。
普通、齢10にも満たない子供達であれば、まだ満足にマナー教育など受けていない事がほとんどであり、国王陛下を前にすればどの様に振る舞ってよいか戸惑うものだ。
しかし、さすがは選りすぐられた若人達。
例え最低年齢の6歳の子供であろうと、突然の陛下の登場でも慌てる事無く、きちんと綺麗な礼をして陛下を迎えた。
「皆の者、面を上げよ。ここは謁見の場ではない」
サランデール国王陛下がそうは言うが、すぐに頭を上げる様な物など誰も居ない。
「良い、面を上げよ」
二度目のお言葉で、初めて頭を上げる若人達。
「うむ、皆の者…よく集まってくれた。本日の主役は、この大お見合い大会に集まった其方達である」
無論、このお見合い大会を企画・立案して実際に開催までこぎつけたのは、言わずもがなアルテアン侯爵夫人と第三王妃様であり、2人に頭の上がらないヴァルナル侯爵と国王陛下は、ただ黙って提出された書類にサインをしただけなのだが。
「本日のこの場は大お見合い大会と銘打った集まりではあるが、無理に婚約者を本日決める必要は無い。あくまでもお見合い…つまりは顔合わせであると思って欲しい。家格や見目だけに惑わされる事なく、色々な者と話をして欲しい。話も合う者合わぬ者も当然おろう。趣味や興味のある事などを話しても良い。さすれば、生涯を共にしても良いと思える相手が出るやもしれぬ。…よいか、決して焦ってはならぬぞ? じっくりと相手を見極めるのじゃ。その為に、こうして皆に集まってもらったのじゃ」
この場に集う若人達だけでなく、騎士や衛士の輪の外側には、集った若人の両親も集まっていた。
その誰もが、じっと陛下の話を聞いていた。
「まあ、クドクドと年寄りが話をしても退屈であろう? 本日は、お主等の両親も離れた所で見守ってはいるが、そんな事は気にせずに皆で楽しく交流をして欲しい。では、今より大お見合い大会を開催する!」
最後にそう言って絞めた陛下は、振り返る事なく、その場を退場した。
そんな陛下の後姿に向かい、誰言う訳でも無く、この場に集まった全員がそっと頭を下げた。
陛下が場から姿を消すと、いよいよ大お見合い大会の開始である。
真っ白いクロスが掛けられたテーブルが若人の周りへと運び込まれ、その上に次々と王城のメイド達が料理と飲み物を運び込んで並べる。
このお見合いパーティは、立食形式で行われるからだ。
とは言っても、ずっと立ちっぱなしで話通し…などにする筈などない。
椅子も相応の数が用意されており、状況によっては追加で運び入れる準備も万端だ。
王家肝いりのこの大会の準備をしていた文官達が、そんな事を見落とすはずない。
気分が悪くなった者を休ませる為の救護所や、この日の為に数多く準備されたトイレなど、抜かりなど無いのだ。
メイド達が飲み物を配り…もちろん15歳以下の若人にはアルコールは渡さないし、厳しい審査を潜り抜けた若人達がそれを望むはずも無いのだが…歩くのをきっかけに、そこかしこで少しずつ会話が始まった。
ここに集められた若人達の中には、件の侯爵家の美人姉妹も参加していた。
コルネリア・デ・アルテアンとユリアーネ・デ・アルテアンだ。
アルテアン家と言えば、今やこのグーダイド王国では知らぬものが居ないほどの資産家であり、現在婚約者を持たないのは、生まれたばかりの末の男児を除いてこの2人だけであり、そうなれば必然的に婚約者の地位を狙う者達は当然多くなる。
参加が許された子息を持つ親たちは、たとえ婚約者になれずとも絶対に良い関係を築く様にと厳命されている。
なので、アルテアン家の姉妹の周囲は、あっという間に大勢が集う事となった。
王城に隣接した練兵場では、6歳から18歳までの貴民家や勲民家など良家の未婚の息男・息女が多数集っていた。
無論、ここに集まった若人には既婚歴など無い。
っと言うか、既婚歴のある者は、この場への入場そのものが拒否された。
いくら喚こうが叫ぼうがごねようが、この決定は覆らない。
何故ならば、このルールは国王陛下が決めた事であるから、それに異を唱えると言う事は、つまりは王家を敵に回す行為。
参加希望する本人が強硬手段に出ようものならば、真っ先にそんな馬鹿な子を持つ親が止めに入るだろう。
それでも聞かない様であれば、確実に大勢の騎士や衛士達によって、投獄されるのは必至である。
更に、既婚歴が無い未婚の息男・息女であろうとも、性格や普段の行い等に問題が有る…例えば金遣いが荒いだとか、他人の悪口や陰口を言っているだとか、女癖や男癖が悪い…ならば、当然ではあるが入場は拒否される。
つまりは、選りすぐりの未婚の息男・息女だけがこの場への参加を許され、この青空の元に集ったというわけだ。
この場を整える為、王城の多くの文官や武官が日夜奔走した。
当日であるこの日、先ほど列挙した様な、この場に参加する資格のない馬鹿者が乱入しない様に、若人の周りをぐるりと取り囲んで警護の真っ最中だ。
国王陛下肝入りのこの一大イベントを成功させる為に寝る間も惜しんで東奔西走した彼等は、見るからにやつれていたのだが、それでもこの日の為に着飾った若人達の笑顔を見ると、頑張って良かったと思ったそうだ。
さて、そんな若人達が笑顔で集まっていた練兵場ではあるが、とある人物の登場により、しんと静まり返った。
それは誰あろう、このグーダイド王国の国王である、サンデル・ラ・グーダイド陛下が姿を見せたからだ。
普通、齢10にも満たない子供達であれば、まだ満足にマナー教育など受けていない事がほとんどであり、国王陛下を前にすればどの様に振る舞ってよいか戸惑うものだ。
しかし、さすがは選りすぐられた若人達。
例え最低年齢の6歳の子供であろうと、突然の陛下の登場でも慌てる事無く、きちんと綺麗な礼をして陛下を迎えた。
「皆の者、面を上げよ。ここは謁見の場ではない」
サランデール国王陛下がそうは言うが、すぐに頭を上げる様な物など誰も居ない。
「良い、面を上げよ」
二度目のお言葉で、初めて頭を上げる若人達。
「うむ、皆の者…よく集まってくれた。本日の主役は、この大お見合い大会に集まった其方達である」
無論、このお見合い大会を企画・立案して実際に開催までこぎつけたのは、言わずもがなアルテアン侯爵夫人と第三王妃様であり、2人に頭の上がらないヴァルナル侯爵と国王陛下は、ただ黙って提出された書類にサインをしただけなのだが。
「本日のこの場は大お見合い大会と銘打った集まりではあるが、無理に婚約者を本日決める必要は無い。あくまでもお見合い…つまりは顔合わせであると思って欲しい。家格や見目だけに惑わされる事なく、色々な者と話をして欲しい。話も合う者合わぬ者も当然おろう。趣味や興味のある事などを話しても良い。さすれば、生涯を共にしても良いと思える相手が出るやもしれぬ。…よいか、決して焦ってはならぬぞ? じっくりと相手を見極めるのじゃ。その為に、こうして皆に集まってもらったのじゃ」
この場に集う若人達だけでなく、騎士や衛士の輪の外側には、集った若人の両親も集まっていた。
その誰もが、じっと陛下の話を聞いていた。
「まあ、クドクドと年寄りが話をしても退屈であろう? 本日は、お主等の両親も離れた所で見守ってはいるが、そんな事は気にせずに皆で楽しく交流をして欲しい。では、今より大お見合い大会を開催する!」
最後にそう言って絞めた陛下は、振り返る事なく、その場を退場した。
そんな陛下の後姿に向かい、誰言う訳でも無く、この場に集まった全員がそっと頭を下げた。
陛下が場から姿を消すと、いよいよ大お見合い大会の開始である。
真っ白いクロスが掛けられたテーブルが若人の周りへと運び込まれ、その上に次々と王城のメイド達が料理と飲み物を運び込んで並べる。
このお見合いパーティは、立食形式で行われるからだ。
とは言っても、ずっと立ちっぱなしで話通し…などにする筈などない。
椅子も相応の数が用意されており、状況によっては追加で運び入れる準備も万端だ。
王家肝いりのこの大会の準備をしていた文官達が、そんな事を見落とすはずない。
気分が悪くなった者を休ませる為の救護所や、この日の為に数多く準備されたトイレなど、抜かりなど無いのだ。
メイド達が飲み物を配り…もちろん15歳以下の若人にはアルコールは渡さないし、厳しい審査を潜り抜けた若人達がそれを望むはずも無いのだが…歩くのをきっかけに、そこかしこで少しずつ会話が始まった。
ここに集められた若人達の中には、件の侯爵家の美人姉妹も参加していた。
コルネリア・デ・アルテアンとユリアーネ・デ・アルテアンだ。
アルテアン家と言えば、今やこのグーダイド王国では知らぬものが居ないほどの資産家であり、現在婚約者を持たないのは、生まれたばかりの末の男児を除いてこの2人だけであり、そうなれば必然的に婚約者の地位を狙う者達は当然多くなる。
参加が許された子息を持つ親たちは、たとえ婚約者になれずとも絶対に良い関係を築く様にと厳命されている。
なので、アルテアン家の姉妹の周囲は、あっという間に大勢が集う事となった。
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