システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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世界を観測する者

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「あれ? だけどひよこ達は大河さんが覚醒するまで待ってるんじゃ無かったんですか?」
 なるほど、確かにサラの疑問は尤もだ。
「まあ、待ちきれなかった輩がいたという事じゃな。とはいえ、大したエネルギーも持たぬ、かなり弱い存在じゃ。確かに覚醒には至った者達なのじゃが、元が小さすぎる欠片じゃからのぉ…」
 なので、サラが漏らした声に対して、ボーディが少しだけ説明を行う。
「小さすぎる欠片…ですか?」
 サラと同様に疑問に感じたか、それともサラの言葉で疑問に思ったかは定かではないが、リリアもボーディの言葉に反応する。
「うむ、かなり小さいぞ? そうじゃのぉ…具体的には…お、そうじゃ! あの異世界から転移して来てた…何と言ったかのぉ…トールヴァルドの末の妹にした奴がおったじゃろう!」
 思い出したと言わんばかりに、天に人差し指をピンッ! と立てたボーディが嬉しそうにそう言うと、
「まさか…火御華ですか?」「え、あの恐怖の大王の欠片を宿した?」
 リリアとサは、それに反応した。
「ええ、そうそう、その火御華じゃ! あ奴の恐怖の大王の欠片とやらは葬り去ったが、あの程度じゃよ」
 
 火御華とは、元は他の世界で恐怖の大王の欠片を体内に宿していた者であった。
 局長の故意なのか、それとも本当に輪廻転生システムのバグによる物なのかは不明だが、現パンゲア大陸の創造とほぼ同時期に他の世界から強制的に転移させられてやって来た女性であった。
 ただ…転移の影響なのか、それとも恐怖の大王の欠片を宿したからなのか、原因は不明であるが精神が幼児退行していた。
 その無邪気な姿を見てしまったトールが、初代? キノコの恐怖の大王の様に対処する事を戸惑った。
 結果として、トールがガチャ玉によって作り出した妖精と同等以上の能力を持たせた素体と、リリアという専門家、ダンジョンマスター達の技術力の粋を集めて、アルテアン家の次女ユリアーネという少女の姿になった。
 元の肉体から素体へと意識や思考をコピーして移す際、恐怖の大王の欠片の影響を受けていた記憶や知識などは切り離され消し去られてしまっているため、色々とそれらに欠落が出てしまったのだが、アルテアン家の…特に長女であるコルネリアの手厚い世話によって、それを感じさせなくなっている。
 まあ、トールが張り切って創り出してしまった素体は、超ハイスペックになってしまっているのだが…。
 その辺りは、ダンジョンマスター達とリリアによって、幾分のリミッターが掛けられている。
 成長と共に、徐々にリミッターが解除される様な設定であったらしいのだが、別途トールの音声による解除も可能だとか。

「なるほど、あのレベルですか…かなり小さいですねぇ」
 転移してきた時の火御華の様子を思い出しながら、リリアがしみじみ呟く。
「いや、あれって滅茶苦茶にちっちゃくなかったです!? だって、たった一人の精神すら乗っ取れなかったんですよ!?」
 サラがそれに噛みついた。
「まあ落ち着け。世界とは広いんじゃぞ? お主は、どの世界でも人の大きさが一緒だと思っておるんじゃ無かろうな?」
 そんなリリアとサラに、ボーディが声を掛けた。
「「えっ?」」
「いや、当たり前の事じゃろう? 妾達の小指の爪の先ほどの背丈の人がおる世界もあれば、反対にこの星より大きな人が闊歩する世界もあるはずじゃ。そんな広大な世界で、小指の先ほどの恐怖の大王の欠片が、妾達を同じ体格を持った人に宿ればああなるのは道理じゃろう? あの者が恐怖の大王に汚染されておった割合は精々4%程度ぐらいじゃ無いかのぉ?」 
「仰る通りですね。私の計測では、約3.7%でした。まあ、宿していた恐怖の大王の元の世界では、サイズ的にかなり違っていたのでしょう…。同じサイズの何者かに宿っていれば、それなりに強力な敵となっていたのでしょうけれども…」
 ボーディの言葉を引き継ぎ、モフリーナが説明をすると、
「「…………………」」
 サラとリリアは、またもや言葉を失った。

 当たり前の事なのだが、現地に派遣される輪廻転生管理局員は、その現地に適応できるボディーを与えられる。
 現地人と見た目的に違和感が起きない様なボディとは、則ちサイズ的にほぼ同等の肉体という事になる。
 そうすると、その世界を観測する者が観測対象とサイズ的に変わらぬ肉体を持っているのだから、他の世界と比較できない。
 非常にややこしい表現になってしまうが、世界の内側から世界の内側を観測している者では、正確に世界を観測できない。
 世界の外に立って、初めて世界を観測できるのである。
 そんな当たり前の事を、サラもリリアも言われるまで全く気付かなかった。

「まあ、元々世界の理の外に存在しておるお主等であれば、こんな簡単な事に気付かぬはずが無いはずなのじゃがのぉ。やはりあの局長の影響なのかのぉ…。小さなトールヴァルドの異次元同位体達が、巨大な欠片であるトールヴァルドの元に集うのも当然かもしれん? 寄らば大樹の陰とも言うが、合体した所でトールヴァルドに理はあっても害は無いしの。」
 そんなボーディの呟きは、呆然としたサラとリリアの耳には届いていたのだが、それは単なる音として右から左へと流された
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