システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
1,267 / 1,466

無情にして残酷な事実

しおりを挟む
 リリアは局長自らが大河芳樹という存在をこの星へと転生させたと結論付けた。その通りじゃ」
 その考えに至ったリリアを満足そうに見つめるボーディ。

「そう言えば、先ほどこの馬鹿が言っていた、彼の並列思考なんですが…もしかすると、ここにも局長の思惑が?」
 色々と考えれば考えるほどに、どうにもトールヴァルドという男が持っている能力や技能にも疑問が湧き上がるリリア。
「ああ、それは違うぞ。それはすでにあ奴と一体化してしまった、大昔に分かれた精神体と言えば理解し易いかの? あ奴の中で個を捨てた精神体達が、あ奴へと思考能力だけを委ねた結果じゃ。そもそも、脳が1つしかない生命体が思考を並列かつ複数同時に行うことなど不可能じゃ。それこそ、何らかの特殊な能力でも持っておらねばの。ちなみに、あ奴…トールヴァルド自身には、一切特殊な能力などない」
「「えっ!?」」
 この言葉は、流石にリリアだけでなくサラにも衝撃を与えた。
「ちょちょちょ、ちょ~~~っと待ちねぇ! このサラちゃんにも同時には読めなかった並列思考とやらが、実は別の精神体の思考で、それを大可さんが使えるという事っすか!?」
 サラが妙な踊りを披露しながら問いかけると、
「うむ」
 一言でボーディは答える。
「では、あのエネルギー転送玉を使用した創造は?」
「それこそ、あ奴が創造しておるわけでは無いぞよ? そもそも、あ奴のエネルギーを吸い取る為の道具じゃろぅ? それを使用して、この数多ある次元世界の数多ある文化・文明から取り寄せただけの品々じゃ。まあ、この世界に移動させた時に幾らか形を変えておるが、基本的にはどこかの世界に実在しておる物じゃよ」
 リリアの問いかけにそう答えたボーディ。
「え…それでは、私が管理局に許認可申請していたのは、無駄だったのでしょう…か?」
 何故か丁寧な口調になったサラ。
「無駄とは言い切れぬのぉ。そもそも創造創造と言っておるが、あ奴が願った通りの物が全て完璧に出来た訳では無かろう? ほとんどが幾分違う形で現れたはずじゃ。お主があ奴の願いを管理局へと伝え、それに近い物をどこぞの世界から局長の奴が引っ張って来て、それをこの世界で使える物へと手を加えた…。じゃから、お主の許認可申請自体は、必要な措置じゃと思うぞよ?」
 サラ、茫然。
「まあ、あ奴が本当に創造したと言えるものは、この大陸ぐらいの物じゃろうが、それも聞いた話では、局長の奴が与えた道具で成した事じゃろう? ならば、あ奴が創造したのではないしのぉ…」
「では、呪法という世界の新たな理については?」
 ボーディが腕を組んで考え込んでいると、リリアが声を上げた。
「それこそ、他の世界の理じゃ。単に文字を地球とやらにある日本の文字に置き換えただけじゃろう。少々前になるのじゃが、あ奴…トールヴァルドと少々話をする機会があってのぉ。そこでお主らの事も聞いたぞ? 何でも地球という世界には、お主らの局員が姿を偽って、かなりの数が潜伏しておるとか。有名な作家などに扮しているとものぉ」
「えっと…それとこの話が、どう繋がるんでやんしょ?」
 もう、サラの口調は無茶苦茶だ。
「簡単な事じゃよ。さっきも言ったが、数多ある次元世界のどこかに存在している物を大衆に広げてる為の派遣員なのじゃから。詰まりは…何と言ったかのぉ…そうじゃ、まんがとやらとかてれびとやらに出て来る想像上の物と言われるものは、そのほとんどがどこかに実在しておるという事じゃ」
 今度は、リリアもぽかーんと口をあけて茫然。
「…そんな話…私…そんな話…聞いてない…」
「私もですよ、サラ…」
 サラもリリアも、ボーディの話した内容に関して、一切管理局からは説明がなかった様だ。
「まあ、お主らを最初から捨て駒にするつもりだったのじゃろう。であればこそ、重要な事柄をなど教えるわけも無く、当たり前の事と言ってもよかろう?」
 2人に向かって、無情にして残酷な事実を突きつけたボーディであった。 




 ※ お知らせ
   先日、何話か見直していた所、メリルが元第3王女と間違った記述がある事に
   気付きました。
   正しくは、第3王妃の娘であり、グーダイド王国の元第4王女ですが、どこか
   でごちゃ混ぜになってしまったようです。
   間違った記述は、見つけ次第修正しておりますが、如何せんメリルが登場する
   場面が多すぎる為、チェックしきれません。
   もしも見つけられた方は、どうかご一報くださいますよう、お願いします。

                            作者 より
    
   
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

処理中です...