システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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改竄された記憶

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「ちょっと話が横道にそれたようじゃて、話しを戻すとするかや」「そうですね」
 思いっきり話を横道に逸らして、シリアスな場面をドタバタ喜劇に変えたボーディとリリアが、そう頷き合った。 
「ちょ! 私のボディは残してくれるんですよね!?」
 急に話の方向転換をされたら、そりゃ一番困るのはサラだ。
「何の話じゃ?」「何の事ですか?」
 そんなサラの心からの叫びなど、ボーディとリリアには関係ない。
「いや、だから私のボディを…」
「それで話を戻すが、管理局がお主達に反しておらん事がある」
 サラが何か言い掛けたが、ボーディは無視して話を進める。
「ほう、それは興味深い」
 ボーディの話に前のめりなリリアであるが、別の意味で前のめりになっている者がもう1人…。
「だから、私のボディ…」
 蚊の泣くような震える声でサラが何かを訴えようとしていたが、
「あのトールヴァルドが転生したというのは間違いない事じゃろうが、管理局…いや、あの局長の独断かも知れぬが、ここに大きな隠し事があるのじゃ」
「な、なんと!」
 妙に芝居がかったやり取りを、ボーディとリリアはしている。
「ねぇ…ちょと…聞いてます?」
 サラ、2人から完璧に無視。
「確かにあ奴は転生者であろう。しかし、あ奴の前世はこの次元世界ではない」
「はっ?」 
 今までのリリアは半分面白がってサラを無視していたのだが、このボーディの言葉を聞いて、完全にサラの事など頭から跳んだ。
「あ奴の前世は、どこか別の次元世界での事じゃ。お主等が例の土地の調査に向かっていた時、あ奴と色々と話をし、ミヤとヒナがあ奴の記憶を色々と漁ったおかげで分かった事じゃ」
「ああ、私達があの何の意味もない湖の調査に行ってた時の事ですね?」
 ボーディとリリアが真面目な面を突き合わせて話を始めた。

「も、モフリーナさぁぁぁぁぁぁぁん! 私のボディ、大丈夫ですよねぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
 その横で、無視されまくっていたサラは、どうやらモフリーナに泣きついたらしい。
「えっと…サラさん、その話はまた後で…」 
 返す言葉に困ったモフリーナが、問題の先送りを図ったが、
「後だったら困るんですよぉぉぉぉ! 大丈夫って確約してくださいぃぃ!」
 サラ、涙目で絶叫。 
「えぇっと…大丈夫だと思います………………多分…」
「最後、何つったーーー!? たぶん? 多分? それじゃ困るんですよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
 そろそろモフリーナも、『こいつ、面倒くさい…』と思ったのだろう。
「ああ、その点についてなんですが、何故私達が別の次元世界からの転生だと確信したかといいますと…』
 サラは無視してボーディとリリアの話の輪に強引に入って行った。
「こ…こっちにも見捨てられた…? いや、まだモフレンダさんが…」
 最後の砦であり、サラ達のボディを造り上げたモフレンダに顔を向けたサラだが、
「ZZzzzzzzzzzzzzzzzzz」
 あまりにも退屈な話ばかりなので、座ったまま寝ていた。
「………………」
 サラ、終了。

「あ奴が前世で死んでよりすでにかなりの年月が経っておるとは聞いて居る。正確な数字はあ奴も把握してはおらぬ様じゃが」
「ええ、確かにトールヴァルド様本人からも、この惑星に派遣される前に局長からも、そう聞いております」
 サラの事は完璧に無視していたボーディとリリアだが、ちゃんと真面目な話をしている様だった。
「妾達が聞いた話では、あ奴は天の川銀河と呼ばれる星の集まりの中にある、太陽系の第3惑星に住んでおった」
「はい。私達もそう聞いておりますし、あの銀河で文化的な進化を遂げた唯一の知的生命を擁する星が、前世の彼が住んでいた地球であったと…」
 リリアとボーディの話が、何やら壮大なスケールの話になって来た。
 いや、よくよく考えると、そういった銀河などを含む次元世界を内包する世界の話とかの方がスケール的には大きいはずなのだが、何故か銀河とかが話に出てきた方がスケール的に大きく感じてしまう…と言うのが、リリアの素直な感想だ。
「まさに、そこが問題なのじゃ。ちなみに、我ら解放魂魄統轄庁では、この宇宙にある全ての知的生命体の生存する惑星を、あらゆる次元で把握しておる」
「ええ、まぁ…そうでしょうねぇ。輪廻転生システムを持っている管理局も、当然把握しているでしょうから…」
 その点に関しては、転生に関しての知識を持つリリアが、ボーディの言葉に異を唱える事など無い。
「じゃが、あ奴が生きておったという、太陽系の第3惑星の地球などという惑星はこの次元世界には無いのじゃ」
「「えっ!?」」
 だが、この言葉には驚かずにはいられなかった。
 無論それはリリアだけでなく、ガックリと項垂れていたサラも同様に。
 なので、別に2人がとっても仲良しさんだからと言う事でも無いのだが、ほぼ同時に声を発した。
「全く別次元での人生の記憶をあ奴は持っておる。しかも、転生の時に色々と改竄された記憶をな」
 少し俯いてそう語るボーディの顔は、どこか悲し気にも寂し気にも見えた。
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