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母さんの影
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パンゲア大陸ではドタバタ喜劇が行われていたが、惑星の裏側にある大陸のトールヴァルド邸でも、似たり寄ったりだった。
「と、トールさま!」
ミヤとヒナの素晴らしい絵画にただただ見惚れていたのだが、そんな空気を切り裂くメリルの上ずった声がネス湖に響いた。
「どうした?」
「こ、これは!?」
高テンションのメリルが続けて叫ぶ。
とは言っても、目の前にあるのは…、
「ミヤとヒナが夜な夜な待機次元を抜け出して描いた絵だけど?」
それしか表現しようがない。
「そうじゃなくて! これは一体何なのですか!」
「だから2人が描いた…「そんな事は聞いていません!」…んじゃ、何を聞きたいんだよ?」
普通に答えようとしたトールの言葉に、思いっきりメリルが被せて来た。
「この絵画は、何を手本に描いたのですか!?」
そう言われて、トールもはたと気付く。
創作画やあるいは抽象画であれば、モデルもモチーフも不要だろう。
だが、目の前の壁に描かれているのは、知ろと黒(正確には焦げ茶だが…)で描き出された、見事なまでの日本の風景。
安芸の宮島は嚴島神社、丹後天橋立は見事な飛龍観だし、陸前松島の景勝地…日本三景だな。
あれは、見紛うことなく富士山だ。これは姫路城? あっちは多分…金閣寺…かな?
どこからどう見ても、これは日本の風景。
しかも、もの凄く写実的な絵画の数々。
これって、その場に行って自分の目で見るか、それとも写真となどを目の前にしなけりゃ、まず描けないはずだ。
あ、いや…まてよ? あの2人って、俺の記憶を読む事が出来るんだから、記憶の中の一点を見続ける事が出来るのか?
そうであれば、こんな風景を描く事も可能かな?
「えっと…多分だけど、俺の前世の記憶…かな?」
「ほう?」
俺の答えに、メリルが思案顔で声を漏らした。
そして、暫くの間目を閉じていたのだが、
「緊急会議を開催します! ミルシェさん、ミレーラさん、マチルダさん、イネスさん。私の部屋に集合してください!」
『はいっ!』
何だ何だ?
「あと、トールさま。ミヤとヒナを至急呼んでください!」
「ん、え…ああ。それは良いけど、何で?」
「何でもです!」
めっちゃメリルの目が怖い…。
なので、言う通りに2人を召喚。
「「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!」」
白と黒の幼女が俺達の前に飛び出して来て、おかしなポーズをとった。
「2人共、私について来なさい。緊急会議に行きますわよ」
そんなポーズに突っ込みを入れる事も無く、メリルが鬼気迫った顔で2人に迫る。
「「何でそんな会議に…ひぃぃぃぃぃぃ!」」
文句でも言おうとしたのか、2人が何か言い返そうとした瞬間、ミヤとヒナは迫るメリルの顔を間近で見てしまった。
いや、俺には全然見えないんだけどさ。
「何か言いたい事でも?」
後ろ頭しか見えないけれど、あの冷たい声の時のメリルに逆らっては駄目だ。
俺が内心そう思い震えていると、同じ様な考えに至ったのか、ミヤとヒナも高速で首を横に何回も振っていた。
「そう? では、私の後に続きなさい。さ、皆さん、行きますわよ」
有無を言わせぬ…何と言うのだろうか、貫禄の様な物がメリルの身体から滲みだしていた。
おかしな事は言えないし…と言うか、下手に声を掛けたら飛んでもない事が起きそうなので、ここは黙って見送ろう。
「あ、メイド衆のみなさん。後で私の部屋にお茶とお茶菓子を誰かに持って来てくださいね」
何故か笑顔でそう言ったメリルに、どこか母さんの影が見えた気がしたのは、気のせいじゃ無いのかもしれない…。
「と、トールさま!」
ミヤとヒナの素晴らしい絵画にただただ見惚れていたのだが、そんな空気を切り裂くメリルの上ずった声がネス湖に響いた。
「どうした?」
「こ、これは!?」
高テンションのメリルが続けて叫ぶ。
とは言っても、目の前にあるのは…、
「ミヤとヒナが夜な夜な待機次元を抜け出して描いた絵だけど?」
それしか表現しようがない。
「そうじゃなくて! これは一体何なのですか!」
「だから2人が描いた…「そんな事は聞いていません!」…んじゃ、何を聞きたいんだよ?」
普通に答えようとしたトールの言葉に、思いっきりメリルが被せて来た。
「この絵画は、何を手本に描いたのですか!?」
そう言われて、トールもはたと気付く。
創作画やあるいは抽象画であれば、モデルもモチーフも不要だろう。
だが、目の前の壁に描かれているのは、知ろと黒(正確には焦げ茶だが…)で描き出された、見事なまでの日本の風景。
安芸の宮島は嚴島神社、丹後天橋立は見事な飛龍観だし、陸前松島の景勝地…日本三景だな。
あれは、見紛うことなく富士山だ。これは姫路城? あっちは多分…金閣寺…かな?
どこからどう見ても、これは日本の風景。
しかも、もの凄く写実的な絵画の数々。
これって、その場に行って自分の目で見るか、それとも写真となどを目の前にしなけりゃ、まず描けないはずだ。
あ、いや…まてよ? あの2人って、俺の記憶を読む事が出来るんだから、記憶の中の一点を見続ける事が出来るのか?
そうであれば、こんな風景を描く事も可能かな?
「えっと…多分だけど、俺の前世の記憶…かな?」
「ほう?」
俺の答えに、メリルが思案顔で声を漏らした。
そして、暫くの間目を閉じていたのだが、
「緊急会議を開催します! ミルシェさん、ミレーラさん、マチルダさん、イネスさん。私の部屋に集合してください!」
『はいっ!』
何だ何だ?
「あと、トールさま。ミヤとヒナを至急呼んでください!」
「ん、え…ああ。それは良いけど、何で?」
「何でもです!」
めっちゃメリルの目が怖い…。
なので、言う通りに2人を召喚。
「「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!」」
白と黒の幼女が俺達の前に飛び出して来て、おかしなポーズをとった。
「2人共、私について来なさい。緊急会議に行きますわよ」
そんなポーズに突っ込みを入れる事も無く、メリルが鬼気迫った顔で2人に迫る。
「「何でそんな会議に…ひぃぃぃぃぃぃ!」」
文句でも言おうとしたのか、2人が何か言い返そうとした瞬間、ミヤとヒナは迫るメリルの顔を間近で見てしまった。
いや、俺には全然見えないんだけどさ。
「何か言いたい事でも?」
後ろ頭しか見えないけれど、あの冷たい声の時のメリルに逆らっては駄目だ。
俺が内心そう思い震えていると、同じ様な考えに至ったのか、ミヤとヒナも高速で首を横に何回も振っていた。
「そう? では、私の後に続きなさい。さ、皆さん、行きますわよ」
有無を言わせぬ…何と言うのだろうか、貫禄の様な物がメリルの身体から滲みだしていた。
おかしな事は言えないし…と言うか、下手に声を掛けたら飛んでもない事が起きそうなので、ここは黙って見送ろう。
「あ、メイド衆のみなさん。後で私の部屋にお茶とお茶菓子を誰かに持って来てくださいね」
何故か笑顔でそう言ったメリルに、どこか母さんの影が見えた気がしたのは、気のせいじゃ無いのかもしれない…。
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