1,253 / 1,466
ア、アリガト…
しおりを挟む
サラとリリアの新たなるボディに付加されていたとんでもない機能を、ボーディとモフリーナが粘り強くモフレンダを説得した事により、なんとか機能の制限(削除は出来なかった…)をする事に成功した。
あの機能がいかに危険であるかを、懇切丁寧に説明したおかげで、機能発動=絶対に死ぬと言う最悪の事態を避ける事は出来たのだが、かの有名な西遊記に出てくる斉天大聖孫悟空の頭の輪っかである緊箍児の様に、トール達に不利益となる行動や言動を、新たなるボディに埋め込まれているとある一部分が感知すると、心臓をきゅっ! と軽く締めるのだそうだ。
その苦痛はかなりの物らしいが、絶対に命に別状がないレベルまで、心臓を締めあげる力は落とされているらしい。
ただし、その苦痛の継続時間は、蒼の切っ掛けとなった行動や言動に比例するそうだ…恐ろしい。
そんなこんなで、何とかサラとリリアの新しいボディは完成をした。
数百回にも及ぶ精密検査と新ボディと適合テストを経て、とうとうそれぞれのボディがお披露目される事となった。
余談だが、ダンジョンマスターでもあり、このパンゲア大陸の裏の王である3人が、ずっとこのボディ作成に掛かりっきりになっていたため、表の王であるディー・アーナ教王、ヘーリ・オース教王、テーラ・マテール教王が、休み返上で必死に働いていてらしい。
兎にも角にも、サラとリリアが待ち望んだ新ボディと対面の時がとうとう来たのだ。
「か、完成したんどすか?」「サラ…口調がおかしくなってますよ…で、ボディはどこですか?」
サラもリリアも、これからこの星での残りの人生を共にする、新たな自分の肉体の感性の報を受け、そわそわしっぱなしだった。
「おお、待たせたのぉ。お前達のボディ作成には、本当に苦労したぞ…いや、本当に…色々とのぉ…」
もの凄くやつれた顔のボーディが呟く。
「ええ…本当に疲れました…」
同じく、両目の下に真っ青なクマを浮かべたモフリーナが、続いて呟いた。
「私は頑張った」
2人とは反対に、妙にご機嫌なモフレンダ。
サラとリリアは、この3人は決して何があったかなど言わぬだろうが、それでも何があったのだろうかと考えずにはいられなかった。
「さて、まあ…問題は多々あったものの、なんとかお主等のボディは完成した」
ボーディが仕切り直した。
どうやら先程までのぼやきは、無かった事にしたいらしい。
無論、これ程までにやつれた顔を見せているボーディに対し、サラもリリアも敢て何があったかなど突っ込む様な事はしなかった。
「ア、アリガト…」「感謝しております」
サラは何故かカチコチになっていたが、リリアは平常運転で、共にボーディへ感謝の言葉を口にする。
「これでお主等も、管理局の束縛から完全に解放され、自由の身となるじゃろう」
すでに例の薬で管理局とは色々な意味で切れてはいる2人。
だが、まだ最後の管理局との繋がりとも言える装置が、現在の2人のボディの中に埋め込まれている。
それから魂が解放された時が、本当の意味での管理局からの解放となる事を、ボーディが口にしたのだ。
サラもリリアも、ボーディの言葉の意味を正しく理解出来たので、ただただ無言で深々と頭を下げる。
「これで後顧の憂いも無くなった事じゃろう。なので、そろそろ妾達に黙っていた事を話してもらおうかのぉ」
「はっ?」「えっ?」
下げた2つの頭が、瞬時に跳ね上がった。
「妾達が知らぬとでも思っておるのかや? お主等がこの世界に送り込む手引きをした、例の竜人と軍勢の事じゃよ。そのせいで、まだ未成熟なトールヴァルドの元に、あ奴の異次元同位体が集まってしもうたのじゃ。まだ妾達は、その辺の事情を聞いておらぬでな。そろそろ、お主達が隠しておる事柄を話してもらおうかのぉ。無論、妾達の事情も話してやるが故…の?」
今まで見た事も無い様な真剣な目つきで、ボーディがサラとリリアに向かってそう言った。
あの機能がいかに危険であるかを、懇切丁寧に説明したおかげで、機能発動=絶対に死ぬと言う最悪の事態を避ける事は出来たのだが、かの有名な西遊記に出てくる斉天大聖孫悟空の頭の輪っかである緊箍児の様に、トール達に不利益となる行動や言動を、新たなるボディに埋め込まれているとある一部分が感知すると、心臓をきゅっ! と軽く締めるのだそうだ。
その苦痛はかなりの物らしいが、絶対に命に別状がないレベルまで、心臓を締めあげる力は落とされているらしい。
ただし、その苦痛の継続時間は、蒼の切っ掛けとなった行動や言動に比例するそうだ…恐ろしい。
そんなこんなで、何とかサラとリリアの新しいボディは完成をした。
数百回にも及ぶ精密検査と新ボディと適合テストを経て、とうとうそれぞれのボディがお披露目される事となった。
余談だが、ダンジョンマスターでもあり、このパンゲア大陸の裏の王である3人が、ずっとこのボディ作成に掛かりっきりになっていたため、表の王であるディー・アーナ教王、ヘーリ・オース教王、テーラ・マテール教王が、休み返上で必死に働いていてらしい。
兎にも角にも、サラとリリアが待ち望んだ新ボディと対面の時がとうとう来たのだ。
「か、完成したんどすか?」「サラ…口調がおかしくなってますよ…で、ボディはどこですか?」
サラもリリアも、これからこの星での残りの人生を共にする、新たな自分の肉体の感性の報を受け、そわそわしっぱなしだった。
「おお、待たせたのぉ。お前達のボディ作成には、本当に苦労したぞ…いや、本当に…色々とのぉ…」
もの凄くやつれた顔のボーディが呟く。
「ええ…本当に疲れました…」
同じく、両目の下に真っ青なクマを浮かべたモフリーナが、続いて呟いた。
「私は頑張った」
2人とは反対に、妙にご機嫌なモフレンダ。
サラとリリアは、この3人は決して何があったかなど言わぬだろうが、それでも何があったのだろうかと考えずにはいられなかった。
「さて、まあ…問題は多々あったものの、なんとかお主等のボディは完成した」
ボーディが仕切り直した。
どうやら先程までのぼやきは、無かった事にしたいらしい。
無論、これ程までにやつれた顔を見せているボーディに対し、サラもリリアも敢て何があったかなど突っ込む様な事はしなかった。
「ア、アリガト…」「感謝しております」
サラは何故かカチコチになっていたが、リリアは平常運転で、共にボーディへ感謝の言葉を口にする。
「これでお主等も、管理局の束縛から完全に解放され、自由の身となるじゃろう」
すでに例の薬で管理局とは色々な意味で切れてはいる2人。
だが、まだ最後の管理局との繋がりとも言える装置が、現在の2人のボディの中に埋め込まれている。
それから魂が解放された時が、本当の意味での管理局からの解放となる事を、ボーディが口にしたのだ。
サラもリリアも、ボーディの言葉の意味を正しく理解出来たので、ただただ無言で深々と頭を下げる。
「これで後顧の憂いも無くなった事じゃろう。なので、そろそろ妾達に黙っていた事を話してもらおうかのぉ」
「はっ?」「えっ?」
下げた2つの頭が、瞬時に跳ね上がった。
「妾達が知らぬとでも思っておるのかや? お主等がこの世界に送り込む手引きをした、例の竜人と軍勢の事じゃよ。そのせいで、まだ未成熟なトールヴァルドの元に、あ奴の異次元同位体が集まってしもうたのじゃ。まだ妾達は、その辺の事情を聞いておらぬでな。そろそろ、お主達が隠しておる事柄を話してもらおうかのぉ。無論、妾達の事情も話してやるが故…の?」
今まで見た事も無い様な真剣な目つきで、ボーディがサラとリリアに向かってそう言った。
0
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる