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あぃ…

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 何かがおかしい。
 何だろう…何か見落としてる様な気がする。

 毎朝の鍛錬を終えて汗を拭っていた時、ふと俺の心の中で何かが引っかかった。
 その正体を考えつつ、汗を流すためにシャワーを浴び、朝食を頂いた。
 ドワーフメイド衆渾身の焼き塩鮭に玉子焼きとと豆腐の味噌汁に白く輝くご飯、そして最近人魚さん達が量産を始めたらしい海苔の朝食…これで納豆でもあったら、まんま民宿の朝食やね。
 いや、とても美味しくいただけましたよ、うん。
 でもそんな美味しい朝食を頂きながらも、心のどこかに引っかかった違和感の事が、頭から離れなかった。
 食後のお茶の間も、ずっとその違和感…じゃないな、何かを見落としていると感じる心のままに、思考の海へとダイブした。
 だが答えは出ない…。
 確かワイバーン討伐の時にも、何かが引っかかってた気がする。
 探しても探しても見つからない、パズルの1ピースの様に、どっか歯車の1つが足りない様な…。

 さて、執務室に場所を移しはしたものの、どうにも仕事に集中できないんで、状況を整理してみよう。
 俺は前世では何やかんやあったが、結局は死んでこの世界に転生した。
 この時、輪廻転生システムに弾かれた俺の魂を、管理局長が拾い上げて、この世界にポイッとした。
 うん、ちゃんとこの辺の記憶はある。
 って…まずこのスタートからしておかしくないか? 
 本当に俺の魂は輪廻転生システムから弾かれたのか?
 覚醒とか悟りを啓いた魂ってのは、確か輪廻転生の輪から外れるはず。
 俺の魂が輪廻転生システムから弾かれたならば、それ則ちそもそも俺って覚醒してたんじゃねーの?
 それを無理やり局長が転生の輪に戻した…って事だよな。
 って事は、これが摂理に矛盾してる部分で、俺の違和感の正体かな?
 あ、いや…こんなもんじゃない、俺の中の違和感は。
 でも、パズルのピースは埋まった…のかな?
 次に、この世界に転生する前だけど、サラとリリアさん情報によると、父さんと母さんをくっ付けて俺っていう存在を産ませるために、どうやら局長はどこぞから化け物をこの世界に送り込んで、色々と画策したらしい。
 まあ、魂をどうこうできる様な力を持った奴なんだから、そんぐらいは簡単なのかもしれない。
 無事に化け物共を撃退できて、父さんと母さんは結婚して俺が産まれた。
 ここまでは良い。
 撃退した時、どうやら化け物の姿はこの世界から、肉体の一欠けらも残さず消滅した…そうなんだけど、奴らが使ってた武器ってのが、どうにも前世で俺が良く知ってた銃器や手榴弾っぽい物だ。
 これって、化け物と一緒に消えたのか? その点については誰も口にしてない。
 奴らと対峙した当事者の倒産ですら、その事について何も言及しなかった。
 もし…もしもこの世界に残ってたとしたら、それってどこに行った?
 王国で回収して研究している?
 第3王女であったメリルは知らないそうだが、国の機密事項であれば失礼な言い方かもしれないが、王女程度には教えないのじゃないだろうか。
 こっそりどこかの研究施設で、今も銃器とかを研究しているかもしれない。
 まあ、この世界の文明・文化レベルであれば、たとえ結果が出ても量産は難しいかも知れないが。
 火薬がそもそも無いからな。
 あ、違うか…。
 一般的に魔法っていう力を持つ人がかなり稀少だが、魔法に変わる魔道具ってもんの研究が盛んな世界だ。
 もしかしたら、魔道具で再現不可能な技術を代用するかも…。
 現に、ユズキとユズカが、この前のワイバーン討伐の時に、マッチョエルフさん達に大量に持たせてたし、その後の持ち込んだ全ての呪法具の試射テストで、とんでもない威力だってのは俺もこの目で見た。
 ならば、再現できる?
 いや、これもちょっと違うか。
 何せあれは呪法具と魔道具の夢のコラボレーションだったから、まず魔道具だけでは無理だ。
 ってことは、もしも残ってたとしても、未だに研究中って事なのかな?
 20年ほど経ってるはずだけど…研究者って気の長い人達なんだねぇ…。

 ん? 何かちょっと話がずれた気がする。
 ちょこっと思考を戻して…っと。
 俺が輪廻転生の輪から弾かれたのは、結局はビッグバンらしきものを引き起こした精神体というかエネルギー体というか、どっかの小説に出て来そうな情報統合思念体の様な存在が爆さんした欠片を宿してた? その物だった? からなんだよな。
 どうやら局長もそうらしい。
 例の土地のひよこ達は、俺の異次元同位体で、すでに覚醒済みっと。
 あれ? んじゃ俺は管理局長とも異次元同位体って事になるのか?
 むむむ…………? 
 それは一旦おいといて、ひよこたちは俺が覚醒したら一つになりたいらしいけど、それはどうして?
 元が一つの存在だから?
 だったら、何で局長は俺と一つになりたがらないんだ?
 いや、まあ確かに色々とガチャ玉のおかげで助かってた部分はあるけど…やっぱ何か変だ。
 う~~~ん…あっ!

「トール様、またお仕事に身が入って無いようですが?」
 あっ…、執務室にはマチルダも居たんだった…。
 しまった、並列思考を使えばいいのに、何で俺ってば同じ間違いを犯すかなぁ…。
「これは予定変更して、今夜も励みますか?」
「ちょ! 予定は変えちゃ駄目!」
「だったら、仕事してください!」
「あ、あぃ…」

 ん~~~~? さっき確かに何か思いついた気がしたんだけどなぁ…。
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