システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
1,252 / 1,466

あぃ…

しおりを挟む
 何かがおかしい。
 何だろう…何か見落としてる様な気がする。

 毎朝の鍛錬を終えて汗を拭っていた時、ふと俺の心の中で何かが引っかかった。
 その正体を考えつつ、汗を流すためにシャワーを浴び、朝食を頂いた。
 ドワーフメイド衆渾身の焼き塩鮭に玉子焼きとと豆腐の味噌汁に白く輝くご飯、そして最近人魚さん達が量産を始めたらしい海苔の朝食…これで納豆でもあったら、まんま民宿の朝食やね。
 いや、とても美味しくいただけましたよ、うん。
 でもそんな美味しい朝食を頂きながらも、心のどこかに引っかかった違和感の事が、頭から離れなかった。
 食後のお茶の間も、ずっとその違和感…じゃないな、何かを見落としていると感じる心のままに、思考の海へとダイブした。
 だが答えは出ない…。
 確かワイバーン討伐の時にも、何かが引っかかってた気がする。
 探しても探しても見つからない、パズルの1ピースの様に、どっか歯車の1つが足りない様な…。

 さて、執務室に場所を移しはしたものの、どうにも仕事に集中できないんで、状況を整理してみよう。
 俺は前世では何やかんやあったが、結局は死んでこの世界に転生した。
 この時、輪廻転生システムに弾かれた俺の魂を、管理局長が拾い上げて、この世界にポイッとした。
 うん、ちゃんとこの辺の記憶はある。
 って…まずこのスタートからしておかしくないか? 
 本当に俺の魂は輪廻転生システムから弾かれたのか?
 覚醒とか悟りを啓いた魂ってのは、確か輪廻転生の輪から外れるはず。
 俺の魂が輪廻転生システムから弾かれたならば、それ則ちそもそも俺って覚醒してたんじゃねーの?
 それを無理やり局長が転生の輪に戻した…って事だよな。
 って事は、これが摂理に矛盾してる部分で、俺の違和感の正体かな?
 あ、いや…こんなもんじゃない、俺の中の違和感は。
 でも、パズルのピースは埋まった…のかな?
 次に、この世界に転生する前だけど、サラとリリアさん情報によると、父さんと母さんをくっ付けて俺っていう存在を産ませるために、どうやら局長はどこぞから化け物をこの世界に送り込んで、色々と画策したらしい。
 まあ、魂をどうこうできる様な力を持った奴なんだから、そんぐらいは簡単なのかもしれない。
 無事に化け物共を撃退できて、父さんと母さんは結婚して俺が産まれた。
 ここまでは良い。
 撃退した時、どうやら化け物の姿はこの世界から、肉体の一欠けらも残さず消滅した…そうなんだけど、奴らが使ってた武器ってのが、どうにも前世で俺が良く知ってた銃器や手榴弾っぽい物だ。
 これって、化け物と一緒に消えたのか? その点については誰も口にしてない。
 奴らと対峙した当事者の倒産ですら、その事について何も言及しなかった。
 もし…もしもこの世界に残ってたとしたら、それってどこに行った?
 王国で回収して研究している?
 第3王女であったメリルは知らないそうだが、国の機密事項であれば失礼な言い方かもしれないが、王女程度には教えないのじゃないだろうか。
 こっそりどこかの研究施設で、今も銃器とかを研究しているかもしれない。
 まあ、この世界の文明・文化レベルであれば、たとえ結果が出ても量産は難しいかも知れないが。
 火薬がそもそも無いからな。
 あ、違うか…。
 一般的に魔法っていう力を持つ人がかなり稀少だが、魔法に変わる魔道具ってもんの研究が盛んな世界だ。
 もしかしたら、魔道具で再現不可能な技術を代用するかも…。
 現に、ユズキとユズカが、この前のワイバーン討伐の時に、マッチョエルフさん達に大量に持たせてたし、その後の持ち込んだ全ての呪法具の試射テストで、とんでもない威力だってのは俺もこの目で見た。
 ならば、再現できる?
 いや、これもちょっと違うか。
 何せあれは呪法具と魔道具の夢のコラボレーションだったから、まず魔道具だけでは無理だ。
 ってことは、もしも残ってたとしても、未だに研究中って事なのかな?
 20年ほど経ってるはずだけど…研究者って気の長い人達なんだねぇ…。

 ん? 何かちょっと話がずれた気がする。
 ちょこっと思考を戻して…っと。
 俺が輪廻転生の輪から弾かれたのは、結局はビッグバンらしきものを引き起こした精神体というかエネルギー体というか、どっかの小説に出て来そうな情報統合思念体の様な存在が爆さんした欠片を宿してた? その物だった? からなんだよな。
 どうやら局長もそうらしい。
 例の土地のひよこ達は、俺の異次元同位体で、すでに覚醒済みっと。
 あれ? んじゃ俺は管理局長とも異次元同位体って事になるのか?
 むむむ…………? 
 それは一旦おいといて、ひよこたちは俺が覚醒したら一つになりたいらしいけど、それはどうして?
 元が一つの存在だから?
 だったら、何で局長は俺と一つになりたがらないんだ?
 いや、まあ確かに色々とガチャ玉のおかげで助かってた部分はあるけど…やっぱ何か変だ。
 う~~~ん…あっ!

「トール様、またお仕事に身が入って無いようですが?」
 あっ…、執務室にはマチルダも居たんだった…。
 しまった、並列思考を使えばいいのに、何で俺ってば同じ間違いを犯すかなぁ…。
「これは予定変更して、今夜も励みますか?」
「ちょ! 予定は変えちゃ駄目!」
「だったら、仕事してください!」
「あ、あぃ…」

 ん~~~~? さっき確かに何か思いついた気がしたんだけどなぁ…。
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』

ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。 誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

スローライフとは何なのか? のんびり建国記

久遠 れんり
ファンタジー
突然の異世界転移。 ちょっとした事故により、もう世界の命運は、一緒に来た勇者くんに任せることにして、いきなり告白された彼女と、日本へ帰る事を少し思いながら、どこでもキャンプのできる異世界で、のんびり暮らそうと密かに心に決める。 だけどまあ、そんな事は夢の夢。 現実は、そんな考えを許してくれなかった。 三日と置かず、騒動は降ってくる。 基本は、いちゃこらファンタジーの予定。 そんな感じで、進みます。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

処理中です...