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番外 2) 出産
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実はウルリーカ、はこの世界では高齢(日本では中年か?)であるにもかかわらず、子を授かってしまった。
いや、まぁ…やる事をやってれば…などと現代地球の人達は思うだろうが、この妊娠率の低い世界では結構珍しい。
実は隠している(つもりだが)この女性…非常に気が強い。
ごく一部では、ゴットマザーとかアルテアンの女傑とか、陰の支配者とか…まぁ、言われたりしていたりもする。
そんな彼女だが、せっかく授かったお腹の子を、絶対に無事に産みたいと考えた。
母子共に無事に出産ともなると、色々な問題が山の様に出てくる。
どのような問題があるのかを細々と並び立てても仕方がないので端的に要約すると、出産は母親もお腹の子供も命懸けであると言う事になる。
何が何でも無事に子供を産みたいと願うウルリーカは、その権力をフルに使って、最高の環境を手に入れようと、最初は考えていたのだが、それは実はほんの数日で無駄になった。
そう、自分がお腹を痛めて産んだ子…アルテアン家の長子にして、すでに伯爵位を得ている、トールヴァルドの領地には、最高の出産環境がある事を思い出したからだ。
とは言っても、出産のためだけに実家に帰る事は普通にあるのだが、実子の世話になるというのもあまり聞こえが良くない。
しかも、夫であるヴァルナルと長期間離れ離れになるのも心情的に寂しいというだけでなく、彼女的にはNGだ。
ああ見えて、結構ヴァルナルはモテるのである。
侯爵という地位もさることながら、顔もなかなかにイケてるし、筋肉質な身体はこの世界的にかなり女性に好まれる。
そのうえ、結構優柔不断で、押しまくられるとなし崩し的に側室や愛人が増えるという心配が絶えない。
実子であるトールヴァルドも、その辺の性格は引き継いでしまったのか、妻が5人もいるのは余談だ。
自由にさせたら、きっと近い将来とんでもない事が起きるに違いない。
だが、この王都では満足な出産のための医療体制は整わない。
そう思い悩んでいた時、ヴァルナルがアルテアン侯爵領の北にある山脈の向こう側の調査という命を受けた。
これは天啓だ! そうウルリーカは考えた。
誰に咎められる事も無い。
堂々と夫について行き、調査終了して帰還してくる夫を待つ妻…という構図で周囲は見てくれる事だろう。
無論、アルテアン侯爵領への逗留…と見せかけて、こっそりとトールヴァルドの邸に逗留するになるのだが。
こうと決めたら梃子でも動かす事が出来ない、鋼鉄…最凶…最強母ちゃんのウルリーカ。
早速ヴァルナル出征の準備と共に、がっつりと長逗留するための準備を使用人に命じたのだった。
こっそり、コルネリアとユリアーネの長女&次女コンビも、お泊りする気満々で準備を進めていたのは内緒である。
こうして、久しぶりにアルテアン家がネス湖の畔のトールヴァルド邸に全員集合した。
やって来たヴァルナル侯爵夫人を出迎えたトールヴァルド邸の面々の中で、実は一番歓迎していたのは、ユズユズ夫婦。
聞けばほぼ同時期に妊娠し、予定日もほぼ変わらないという事実。
これは出産準備に奔走しなくても大丈夫! 文字通り、このビッグ ウェーブにただ乗りしてしまえ! っと考えていたのかどうかは知らないが、万全の上に万全を期した出産体制を整える事が出来るのだから、喜ばないわけが無い。
自分の妊娠に関しての不安をウルリーカに話した柚香は、見事公爵夫人から『一緒に頑張りましょう!』と、言質を取る事に成功した。
これで晴れて魔法という最高の医療環境を、ロハで手にする事が出来た柚香は、出産への多少の不安はあるものの、それ以上にまだ見ぬ愛する夫との子供を想うと、ワクワクが止まらない毎日となり、さらにトールヴァルド伯爵第一メリルと&第二夫人ミルシェの妊娠も発覚したので、日々楽しく過ごす事が出来ただけでなく、心安らかに出産へと臨む事が出来たのであった。
ウルリーカがトールヴァルド邸にやって来て1ヶ月少々が過ぎようとしていた。
そして、ウルリーカとユズカの決戦の日は来た。
何とびっくり、ウルリーカと柚香が同時に産気づいたのだ。
しかし、すでに柚夏もウルリーカも何も恐れなどもない!
トールヴァルド邸には、最強の医療チームが揃ったのだから。
アルテアン侯爵領からは、かつてトールヴァルトとコルネリアを取り上げた産婆さんチームがすでに到着。
魔族の治癒院からは、医療特化型の魔法を得意とする、魔族の女性医師が。
トールヴァルド夫人連合からは、最強の回復魔法使いあるミレーラが。
さらに妖精族によるバックアップの完備!
そして経験豊富なドワーフメイド衆が…何故か8人いる様に見えるが…この邸のドワーフメイドさん5人じゃ無かったっけ?
とにかく、最強の出産サポート・ドリームチームが集結したのである!
色々とドタバタもあったのだが、何とか無事にウルリーカは男の子を出産。
そして、柚夏は女の子を出産した。
産後の処置で多少バタバタしたりもしたが、そんなこんなが落ち着いた頃会いに、廊下で赤ちゃんを一目見ようと待ち構えていた男共が、順番に産室へと入って来た。
さっきまで廊下で大声で叫び回っていて、ドワーフメイドさんに大声で怒られていたのを聞いていたので、本当に喜んでくれているのだと、ウルリーカも柚夏も嬉しく感じてはいたのだが、もうちょっと静かにして欲しいものだと、命懸けの大仕事を終えた2人はため息をついた。
「ほら、柚希…私達の娘よ。抱いてあげて」
なんだかおどおどしている柚希がおかしくなって笑ってしまったけれど、日本に居たら本当は私達はまだ高校生なんだよねぇ。
いつかは柚希と…っとは思っていたけど、まさかもう赤ちゃんを授かるなんて、絶対に日本だったら考えられなかった。
それに、驚くほどに痛みも無い出産だったし、最強のサポートメンバー付での出産も、きっとあっちの世界だったら難しいんだろうなぁ…まあ、安心感はあっちの方が上かも知れないけど。
でもでも、地球だろうがこっちの世界だろうが、今はそんな事どうでもいい。
だって、最愛の人があんなに目じりを下げて赤ちゃんを抱いてるんだもん。
あらあら、可愛い娘ちゃんが、ぐずりだしちゃった! パパの抱っこが下手だったのかな?
もしかしたらお腹がすいたの?
「お腹が空いてるみたいなので、おっぱいあげますね…」
もう、おどおどしっぱなしの柚希から可愛い愛娘を受け取った私は、かるく産着の上からぽんぽんと背中をしてやる。
男達が部屋からでたら、いっぱいおっぱいあげますからねぇ~。
私達の可愛い赤ちゃん。さて、パパはどんな名前を付けてくれるかなぁ~、楽しみだねぇ。
いつか日本に帰る事が出来たなら、父さんと母さんに見せてあげたいなぁ。
父さん母さん、あなた達の孫よ…ってね。
いや、まぁ…やる事をやってれば…などと現代地球の人達は思うだろうが、この妊娠率の低い世界では結構珍しい。
実は隠している(つもりだが)この女性…非常に気が強い。
ごく一部では、ゴットマザーとかアルテアンの女傑とか、陰の支配者とか…まぁ、言われたりしていたりもする。
そんな彼女だが、せっかく授かったお腹の子を、絶対に無事に産みたいと考えた。
母子共に無事に出産ともなると、色々な問題が山の様に出てくる。
どのような問題があるのかを細々と並び立てても仕方がないので端的に要約すると、出産は母親もお腹の子供も命懸けであると言う事になる。
何が何でも無事に子供を産みたいと願うウルリーカは、その権力をフルに使って、最高の環境を手に入れようと、最初は考えていたのだが、それは実はほんの数日で無駄になった。
そう、自分がお腹を痛めて産んだ子…アルテアン家の長子にして、すでに伯爵位を得ている、トールヴァルドの領地には、最高の出産環境がある事を思い出したからだ。
とは言っても、出産のためだけに実家に帰る事は普通にあるのだが、実子の世話になるというのもあまり聞こえが良くない。
しかも、夫であるヴァルナルと長期間離れ離れになるのも心情的に寂しいというだけでなく、彼女的にはNGだ。
ああ見えて、結構ヴァルナルはモテるのである。
侯爵という地位もさることながら、顔もなかなかにイケてるし、筋肉質な身体はこの世界的にかなり女性に好まれる。
そのうえ、結構優柔不断で、押しまくられるとなし崩し的に側室や愛人が増えるという心配が絶えない。
実子であるトールヴァルドも、その辺の性格は引き継いでしまったのか、妻が5人もいるのは余談だ。
自由にさせたら、きっと近い将来とんでもない事が起きるに違いない。
だが、この王都では満足な出産のための医療体制は整わない。
そう思い悩んでいた時、ヴァルナルがアルテアン侯爵領の北にある山脈の向こう側の調査という命を受けた。
これは天啓だ! そうウルリーカは考えた。
誰に咎められる事も無い。
堂々と夫について行き、調査終了して帰還してくる夫を待つ妻…という構図で周囲は見てくれる事だろう。
無論、アルテアン侯爵領への逗留…と見せかけて、こっそりとトールヴァルドの邸に逗留するになるのだが。
こうと決めたら梃子でも動かす事が出来ない、鋼鉄…最凶…最強母ちゃんのウルリーカ。
早速ヴァルナル出征の準備と共に、がっつりと長逗留するための準備を使用人に命じたのだった。
こっそり、コルネリアとユリアーネの長女&次女コンビも、お泊りする気満々で準備を進めていたのは内緒である。
こうして、久しぶりにアルテアン家がネス湖の畔のトールヴァルド邸に全員集合した。
やって来たヴァルナル侯爵夫人を出迎えたトールヴァルド邸の面々の中で、実は一番歓迎していたのは、ユズユズ夫婦。
聞けばほぼ同時期に妊娠し、予定日もほぼ変わらないという事実。
これは出産準備に奔走しなくても大丈夫! 文字通り、このビッグ ウェーブにただ乗りしてしまえ! っと考えていたのかどうかは知らないが、万全の上に万全を期した出産体制を整える事が出来るのだから、喜ばないわけが無い。
自分の妊娠に関しての不安をウルリーカに話した柚香は、見事公爵夫人から『一緒に頑張りましょう!』と、言質を取る事に成功した。
これで晴れて魔法という最高の医療環境を、ロハで手にする事が出来た柚香は、出産への多少の不安はあるものの、それ以上にまだ見ぬ愛する夫との子供を想うと、ワクワクが止まらない毎日となり、さらにトールヴァルド伯爵第一メリルと&第二夫人ミルシェの妊娠も発覚したので、日々楽しく過ごす事が出来ただけでなく、心安らかに出産へと臨む事が出来たのであった。
ウルリーカがトールヴァルド邸にやって来て1ヶ月少々が過ぎようとしていた。
そして、ウルリーカとユズカの決戦の日は来た。
何とびっくり、ウルリーカと柚香が同時に産気づいたのだ。
しかし、すでに柚夏もウルリーカも何も恐れなどもない!
トールヴァルド邸には、最強の医療チームが揃ったのだから。
アルテアン侯爵領からは、かつてトールヴァルトとコルネリアを取り上げた産婆さんチームがすでに到着。
魔族の治癒院からは、医療特化型の魔法を得意とする、魔族の女性医師が。
トールヴァルド夫人連合からは、最強の回復魔法使いあるミレーラが。
さらに妖精族によるバックアップの完備!
そして経験豊富なドワーフメイド衆が…何故か8人いる様に見えるが…この邸のドワーフメイドさん5人じゃ無かったっけ?
とにかく、最強の出産サポート・ドリームチームが集結したのである!
色々とドタバタもあったのだが、何とか無事にウルリーカは男の子を出産。
そして、柚夏は女の子を出産した。
産後の処置で多少バタバタしたりもしたが、そんなこんなが落ち着いた頃会いに、廊下で赤ちゃんを一目見ようと待ち構えていた男共が、順番に産室へと入って来た。
さっきまで廊下で大声で叫び回っていて、ドワーフメイドさんに大声で怒られていたのを聞いていたので、本当に喜んでくれているのだと、ウルリーカも柚夏も嬉しく感じてはいたのだが、もうちょっと静かにして欲しいものだと、命懸けの大仕事を終えた2人はため息をついた。
「ほら、柚希…私達の娘よ。抱いてあげて」
なんだかおどおどしている柚希がおかしくなって笑ってしまったけれど、日本に居たら本当は私達はまだ高校生なんだよねぇ。
いつかは柚希と…っとは思っていたけど、まさかもう赤ちゃんを授かるなんて、絶対に日本だったら考えられなかった。
それに、驚くほどに痛みも無い出産だったし、最強のサポートメンバー付での出産も、きっとあっちの世界だったら難しいんだろうなぁ…まあ、安心感はあっちの方が上かも知れないけど。
でもでも、地球だろうがこっちの世界だろうが、今はそんな事どうでもいい。
だって、最愛の人があんなに目じりを下げて赤ちゃんを抱いてるんだもん。
あらあら、可愛い娘ちゃんが、ぐずりだしちゃった! パパの抱っこが下手だったのかな?
もしかしたらお腹がすいたの?
「お腹が空いてるみたいなので、おっぱいあげますね…」
もう、おどおどしっぱなしの柚希から可愛い愛娘を受け取った私は、かるく産着の上からぽんぽんと背中をしてやる。
男達が部屋からでたら、いっぱいおっぱいあげますからねぇ~。
私達の可愛い赤ちゃん。さて、パパはどんな名前を付けてくれるかなぁ~、楽しみだねぇ。
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