1,242 / 1,466
番外1) 出産
しおりを挟む
トールヴァルドの生きるこの世界は、元居た世界…地球と比べるまでもなく、文化は大きく遅れている。
と言っても、それをこの世界に住む人々は知らない。
だが、その違いを重く受け止めつつも、この世界で生きている者…いや、元日本人の夫婦が居る。
それが、トールヴァルド邸で執事(見習いは取れた)をしているユズキであり、メイド(らしい仕事はしてないが)のユズカだ。
高校入試を無事に乗り切り、2人で揃って春からのワクワクのハイスクールライフを満喫するべく、電車で街へと買い物に仲良く出かけたこの幼馴染の2人であったが、何がどうなったのか分からないうちに、この世界に転移…というか、。飛ばされてきた。
元から互いに恋心を持っていたのだから、この世界で共に生活をしていたら、そりゃぁまぁ…くっつくのも当然である。
この世界では考えられない様な斬新で特殊な最新技術をてんこ盛りにした結婚式を経て、2人は晴れて夫婦となった。
念のため、はっきりと断っておくが、決してできちゃった婚ではない。
周囲が口から砂糖をトン単位で吐きそうな程に何かといちゃつく2人ではあるのだが、意外にも貞操観念はしっかりしている。
結婚した翌年に、ユズカが妊娠をし、その翌年に愛娘を産んだのだが…日本ではまだ年齢的には女子高生。
無論、この世界では成人年齢であり、結婚し子供がいてもおかしくない世界なのだが。
地球でいう所の中世ヨーロッパの世界では、女性は平均して4~5人の子供を産んでいたらしい。
安全に妊娠と出産が出来る期間を出来るだけ多くとるため、まだ若いうちに結婚するのが多かった…っと、いう説もあるらしい。
まあ、貴族達がただのロリコンであったという可能性も無くは無いが…。
また、医療技術や公衆衛生という観念が未発達であった時代の特徴でもあるのだが、平均寿命が驚くほどに短い。
せっかく産んだ子供も、無事に成人できるのは半数近かったそうで、子供を成人させ血を残す事が難しい世界だからこそ、多産であったとも言えよう。
これは中世ヨーロッパだけに限った事ではない。
日本であっても七五三の様に、子供が3歳・5歳・7歳まで無事生き残れたことを祝う習慣が現代でも残っているほどなのだ。
とは言え、このトールヴァルド達の住む世界では、妊娠確率がかなり低い。
なので、実際には妊活を長く行える様にと、早期の結婚が多いというのが実情だ。
さて、そんな世界へ事前準備も知識持たずにやって来たユズキとユズカ。
日本名は、白須柚希と瀬尾柚夏。
結婚したので、日本で多くの既婚女性が戸籍に登録しているのを参考にすれば、瀬尾は旧姓と言う事になる。
そんな2人だが、無事結婚した後のイチャラブ期間の間に、見事に妊娠した。
まあ、元々がこの世界とは違う世界殻やって来たのだから、この世界の妊娠率など当てはまるはずもない。
しかしここで2人には大きな問題がのしかかった。
日本の産婦人科での充実した施設や、総合病院のNICUの様な高度な医療技術を知っている2人としては、この世界での出産に対して不安に思う気持ちが、日々非常に大きくなっていったのだ。
だがしかし! この世界には日本…いや、地球には無かった物が存在する!
それが魔法だ。
とは言っても、魔法を実用レベルで使いこなせる人族は、世界中を探してもほんの一握りの人数しか居ない。
そして、そんな貴重な技術を持つ物を、権力者たちが見逃すはずもなく、ほぼほぼ国や高位につくものに囲われている。
しかし例外もある。
人族との容姿や見た目、生活習慣の違いなどから、亜人として迫害を受け続けて来た魔族達は、この魔法という技術を実用レベルでほぼ全ての者が使用できる。
元来、争い事などを好まず、のんびりと牧畜などをしながら生活してきた彼らは、医療や治癒に関連する魔法と創薬技術をコツコツと歴代磨き続けてきた。
そんな魔族達が、何の因果かサラという規格外のおかしな奴の口車に乗って、トールヴァルドの元に身を寄せたのは、もう随分と前の事になるのだが、そのおかげでトールヴァルドの領地には、他の地域では見られない程に立派な治癒院が開院した。
それ以外にも、トールが用意した広大な牧草地などを無料で彼らに開放し、魔族達を篤く保護もした。
現在でも魔族を迫害しようとする者は居るのだが、そんな輩は街を見まわる屈強な筋肉エルフ達によってどっかに消えている。
どこに消えているのかは、怖いので考えない様にするのが良いだろう。
そんなこの世界では高度な医療技術をもった魔族さん達の治癒院。
この存在は、実はあまり広まっていない。
いや、別に隠しているわけでは無いのだが、あえて広めてないだけだ。
何故か?
それは魔族達の有用さに気付いた権力者たちが、その魔手を伸ばさない為。
まあ、水と生命の女神ネスの聖地であるこの地をどうにかしようという者も居ないので、秘匿まではしていない。
ましてや、トールヴァルドの領地の目玉であるスパ・リゾートや、娼館街などの従業員や客達が、度々この魔族達の治療院のお世話になるのだから、口コミで彼等の事が広まるのだから、隠しようもないのだが…。
そんな魔族達を囲い込もうなどと全く考えもせず、ただその高度な医療技術の恩恵にあやかりたいからと、遠路はるばるやってきた権力者が居る。
名をウルリーカ・デ・アルテアン侯爵夫人と言い、トールヴァルドの実母である。
と言っても、それをこの世界に住む人々は知らない。
だが、その違いを重く受け止めつつも、この世界で生きている者…いや、元日本人の夫婦が居る。
それが、トールヴァルド邸で執事(見習いは取れた)をしているユズキであり、メイド(らしい仕事はしてないが)のユズカだ。
高校入試を無事に乗り切り、2人で揃って春からのワクワクのハイスクールライフを満喫するべく、電車で街へと買い物に仲良く出かけたこの幼馴染の2人であったが、何がどうなったのか分からないうちに、この世界に転移…というか、。飛ばされてきた。
元から互いに恋心を持っていたのだから、この世界で共に生活をしていたら、そりゃぁまぁ…くっつくのも当然である。
この世界では考えられない様な斬新で特殊な最新技術をてんこ盛りにした結婚式を経て、2人は晴れて夫婦となった。
念のため、はっきりと断っておくが、決してできちゃった婚ではない。
周囲が口から砂糖をトン単位で吐きそうな程に何かといちゃつく2人ではあるのだが、意外にも貞操観念はしっかりしている。
結婚した翌年に、ユズカが妊娠をし、その翌年に愛娘を産んだのだが…日本ではまだ年齢的には女子高生。
無論、この世界では成人年齢であり、結婚し子供がいてもおかしくない世界なのだが。
地球でいう所の中世ヨーロッパの世界では、女性は平均して4~5人の子供を産んでいたらしい。
安全に妊娠と出産が出来る期間を出来るだけ多くとるため、まだ若いうちに結婚するのが多かった…っと、いう説もあるらしい。
まあ、貴族達がただのロリコンであったという可能性も無くは無いが…。
また、医療技術や公衆衛生という観念が未発達であった時代の特徴でもあるのだが、平均寿命が驚くほどに短い。
せっかく産んだ子供も、無事に成人できるのは半数近かったそうで、子供を成人させ血を残す事が難しい世界だからこそ、多産であったとも言えよう。
これは中世ヨーロッパだけに限った事ではない。
日本であっても七五三の様に、子供が3歳・5歳・7歳まで無事生き残れたことを祝う習慣が現代でも残っているほどなのだ。
とは言え、このトールヴァルド達の住む世界では、妊娠確率がかなり低い。
なので、実際には妊活を長く行える様にと、早期の結婚が多いというのが実情だ。
さて、そんな世界へ事前準備も知識持たずにやって来たユズキとユズカ。
日本名は、白須柚希と瀬尾柚夏。
結婚したので、日本で多くの既婚女性が戸籍に登録しているのを参考にすれば、瀬尾は旧姓と言う事になる。
そんな2人だが、無事結婚した後のイチャラブ期間の間に、見事に妊娠した。
まあ、元々がこの世界とは違う世界殻やって来たのだから、この世界の妊娠率など当てはまるはずもない。
しかしここで2人には大きな問題がのしかかった。
日本の産婦人科での充実した施設や、総合病院のNICUの様な高度な医療技術を知っている2人としては、この世界での出産に対して不安に思う気持ちが、日々非常に大きくなっていったのだ。
だがしかし! この世界には日本…いや、地球には無かった物が存在する!
それが魔法だ。
とは言っても、魔法を実用レベルで使いこなせる人族は、世界中を探してもほんの一握りの人数しか居ない。
そして、そんな貴重な技術を持つ物を、権力者たちが見逃すはずもなく、ほぼほぼ国や高位につくものに囲われている。
しかし例外もある。
人族との容姿や見た目、生活習慣の違いなどから、亜人として迫害を受け続けて来た魔族達は、この魔法という技術を実用レベルでほぼ全ての者が使用できる。
元来、争い事などを好まず、のんびりと牧畜などをしながら生活してきた彼らは、医療や治癒に関連する魔法と創薬技術をコツコツと歴代磨き続けてきた。
そんな魔族達が、何の因果かサラという規格外のおかしな奴の口車に乗って、トールヴァルドの元に身を寄せたのは、もう随分と前の事になるのだが、そのおかげでトールヴァルドの領地には、他の地域では見られない程に立派な治癒院が開院した。
それ以外にも、トールが用意した広大な牧草地などを無料で彼らに開放し、魔族達を篤く保護もした。
現在でも魔族を迫害しようとする者は居るのだが、そんな輩は街を見まわる屈強な筋肉エルフ達によってどっかに消えている。
どこに消えているのかは、怖いので考えない様にするのが良いだろう。
そんなこの世界では高度な医療技術をもった魔族さん達の治癒院。
この存在は、実はあまり広まっていない。
いや、別に隠しているわけでは無いのだが、あえて広めてないだけだ。
何故か?
それは魔族達の有用さに気付いた権力者たちが、その魔手を伸ばさない為。
まあ、水と生命の女神ネスの聖地であるこの地をどうにかしようという者も居ないので、秘匿まではしていない。
ましてや、トールヴァルドの領地の目玉であるスパ・リゾートや、娼館街などの従業員や客達が、度々この魔族達の治療院のお世話になるのだから、口コミで彼等の事が広まるのだから、隠しようもないのだが…。
そんな魔族達を囲い込もうなどと全く考えもせず、ただその高度な医療技術の恩恵にあやかりたいからと、遠路はるばるやってきた権力者が居る。
名をウルリーカ・デ・アルテアン侯爵夫人と言い、トールヴァルドの実母である。
0
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる