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完全極秘
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「という事で、呪法具の第一人者として、是非ユズカにも協力して頂きたいのです」
今度はメリルの部屋に集まった、トールヴァルドの嫁ーず一同&ユズカ。
メリルが超真面目な顔で、ユズカに何やら願い出ていた。
そして、最後にメリルが頭を下げると、残る4人も同様に頭を深々と下げた。
「お~る、おっけ~!」
対するユズカは、指でOKをしながら、何とも軽い返事。
「やはりユズカに頼んで正解でした。間違ってもユズキには頼めませんからね」
「やっぱミレーラさんは、良く分かってらっしゃる!」
「…もしかして…元の世界にも…似た様な物…ある?」
「ある! 本人がその存在を知っているかいないかは別として、そういうのありますよ、ミレーラさん!」
「本人が知っているかいないか…?」
「良い所に気が付きましたね、マチルダさん。それは元の世界では非常に広く普及している物に忍び込ませる、ある種の呪い!」
「の、呪いだと!?」
「まあ、呪いと言っても、直接その人に害があるとかじゃないんです。例えばそう、イネスさんが常に身に付けている私物に忍び込ませるような感じで…」
「具体的に!」
「ま、前のめりですね…メリルさんは。えっと、皆さんは通信の呪法具は御存じですよね?」
ユズカの言葉に、嫁ーずが一斉に首を縦に振る。
「元の世界では、それは非常に多くの人が持ってました。勿論、通信の呪法具なんて比較にならない程の小ささで、超高性能な通信具です。声だけでなく、文字や絵でのやり取りも出来るし、世界中のありとあらゆる情報が瞬時に手に入るという優れもの! その名をスマートフォンと言います」
『すまーとふぉん?』
聞いた事のないその名前に嫁ーず一同が首を傾げるのも無理は無いだろう。
「略してスマホです。例えば夫や恋人、もしくは自分の子供なんかのスマホに、今現在どこに居るかを、特定の誰かに知らせる様な呪いを掛ける事が出来るんです!」
「それがどうしたって言うのだ?」
ユズカの説明を聞いても、今一つ理解できないイネス。
「良いですか、イネスさん。今現在の居場所が丸っと丸わかりになるんですよ? まあ、そこで何をしているのかまでは分かりませんが、それでも…例えば愛する夫が、妻に何も言わず、若しくは嘘を吐いて、どこかの誰かの部屋で何時間が居たとします。さて、皆さんはそんな状況を見て、どう思われますか?」
『浮気!』
今回は嫁ーず全員が即答した。
「その通り!そう言った調査にも実に有効な呪いなのです!」
「なるほど、直接その人に害が無い呪いというのは、そう言う事ですか…」
「流石トールヴァルド夫人連合No.1のメリルさん、鋭いですね。その呪い自体は直接本人に害はなさない。ですが、その呪いを仕込んだ方にとっては色々な面で利がある。つまり、間接的に本人に害が出る可能性があるという代物です! もちろん、子供が迷子になった時にすぐに見つける事が出来たりという使い方も出来ます」
『おぉー!』
まあ、賢明な諸兄であれば、一体ユズカが何の事を話しているのかは、すぐに理解できたであろう。
そう、GPSで位置情報を追跡もしくは特定できるアプリの事だ。
嫁ーずの要望を聞いたユズカは、即座にこのアプリを思い出した。
呪法具の開発は、実は少々お金がかかる。
それは呪法具を作成するにあたり、必要な部材や魔石などが主な経費となるのだが、これが結構馬鹿にならない。
ここで伯爵家夫人連合の全面協力を取り付ければ、こんな経費は全て出資してくれるはずである。
しかも、もしも完成すれば、はっきりいって馬鹿売れ間違いない!
なので、必死になってアプリ…いや、呪法具のメリットをユズカが力説しているわけなのだが…実はユズカもユズキにこっそりと仕込むつもりである。
いくら愛する夫とは言え、それと浮気調査は別物なのである。
ユズキが疑わしき行動をしなければ何の問題も無いし、ただの笑い話で済ます事も出来る。
だが、もしも問題行動をとったりした時は…ユズキが五体満足で居られるかの保証は出来かねるかもしれない。
そして、メリルを筆頭に嫁ーず一同は、浮気もそうだが、それよりもミルシェの見た夢の様な状況になった時、すぐさま位置を特定できるかもしれないその夢の様な呪法具の開発は、何をおいても無しえなければならない物。
位置を特定できても、そこまでの移動手段が無ければどうにも無らないのだが…そもそも、別の次元での位置特定できるかどうかという所まで頭が回って無い様なのだが…。
何はともあれここに嫁ーずとユズカの利害は一致した。
ユズカは豊富な出資とバックアップを、嫁ーずは位置情報特定のための呪法具の開発者を確保出来たのだ。
無論、この会合が、トールヴァルドとユズキには、完全極秘であった事は、語るまでもないだろう。
今度はメリルの部屋に集まった、トールヴァルドの嫁ーず一同&ユズカ。
メリルが超真面目な顔で、ユズカに何やら願い出ていた。
そして、最後にメリルが頭を下げると、残る4人も同様に頭を深々と下げた。
「お~る、おっけ~!」
対するユズカは、指でOKをしながら、何とも軽い返事。
「やはりユズカに頼んで正解でした。間違ってもユズキには頼めませんからね」
「やっぱミレーラさんは、良く分かってらっしゃる!」
「…もしかして…元の世界にも…似た様な物…ある?」
「ある! 本人がその存在を知っているかいないかは別として、そういうのありますよ、ミレーラさん!」
「本人が知っているかいないか…?」
「良い所に気が付きましたね、マチルダさん。それは元の世界では非常に広く普及している物に忍び込ませる、ある種の呪い!」
「の、呪いだと!?」
「まあ、呪いと言っても、直接その人に害があるとかじゃないんです。例えばそう、イネスさんが常に身に付けている私物に忍び込ませるような感じで…」
「具体的に!」
「ま、前のめりですね…メリルさんは。えっと、皆さんは通信の呪法具は御存じですよね?」
ユズカの言葉に、嫁ーずが一斉に首を縦に振る。
「元の世界では、それは非常に多くの人が持ってました。勿論、通信の呪法具なんて比較にならない程の小ささで、超高性能な通信具です。声だけでなく、文字や絵でのやり取りも出来るし、世界中のありとあらゆる情報が瞬時に手に入るという優れもの! その名をスマートフォンと言います」
『すまーとふぉん?』
聞いた事のないその名前に嫁ーず一同が首を傾げるのも無理は無いだろう。
「略してスマホです。例えば夫や恋人、もしくは自分の子供なんかのスマホに、今現在どこに居るかを、特定の誰かに知らせる様な呪いを掛ける事が出来るんです!」
「それがどうしたって言うのだ?」
ユズカの説明を聞いても、今一つ理解できないイネス。
「良いですか、イネスさん。今現在の居場所が丸っと丸わかりになるんですよ? まあ、そこで何をしているのかまでは分かりませんが、それでも…例えば愛する夫が、妻に何も言わず、若しくは嘘を吐いて、どこかの誰かの部屋で何時間が居たとします。さて、皆さんはそんな状況を見て、どう思われますか?」
『浮気!』
今回は嫁ーず全員が即答した。
「その通り!そう言った調査にも実に有効な呪いなのです!」
「なるほど、直接その人に害が無い呪いというのは、そう言う事ですか…」
「流石トールヴァルド夫人連合No.1のメリルさん、鋭いですね。その呪い自体は直接本人に害はなさない。ですが、その呪いを仕込んだ方にとっては色々な面で利がある。つまり、間接的に本人に害が出る可能性があるという代物です! もちろん、子供が迷子になった時にすぐに見つける事が出来たりという使い方も出来ます」
『おぉー!』
まあ、賢明な諸兄であれば、一体ユズカが何の事を話しているのかは、すぐに理解できたであろう。
そう、GPSで位置情報を追跡もしくは特定できるアプリの事だ。
嫁ーずの要望を聞いたユズカは、即座にこのアプリを思い出した。
呪法具の開発は、実は少々お金がかかる。
それは呪法具を作成するにあたり、必要な部材や魔石などが主な経費となるのだが、これが結構馬鹿にならない。
ここで伯爵家夫人連合の全面協力を取り付ければ、こんな経費は全て出資してくれるはずである。
しかも、もしも完成すれば、はっきりいって馬鹿売れ間違いない!
なので、必死になってアプリ…いや、呪法具のメリットをユズカが力説しているわけなのだが…実はユズカもユズキにこっそりと仕込むつもりである。
いくら愛する夫とは言え、それと浮気調査は別物なのである。
ユズキが疑わしき行動をしなければ何の問題も無いし、ただの笑い話で済ます事も出来る。
だが、もしも問題行動をとったりした時は…ユズキが五体満足で居られるかの保証は出来かねるかもしれない。
そして、メリルを筆頭に嫁ーず一同は、浮気もそうだが、それよりもミルシェの見た夢の様な状況になった時、すぐさま位置を特定できるかもしれないその夢の様な呪法具の開発は、何をおいても無しえなければならない物。
位置を特定できても、そこまでの移動手段が無ければどうにも無らないのだが…そもそも、別の次元での位置特定できるかどうかという所まで頭が回って無い様なのだが…。
何はともあれここに嫁ーずとユズカの利害は一致した。
ユズカは豊富な出資とバックアップを、嫁ーずは位置情報特定のための呪法具の開発者を確保出来たのだ。
無論、この会合が、トールヴァルドとユズキには、完全極秘であった事は、語るまでもないだろう。
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