1,229 / 1,466
お願いします
しおりを挟む
蜂達総動員で人魚さんを探して回ったが、彼女達の姿は欠片も見つからなかった。
まあそれも当然で、実は崖の崩壊が起きる直前に、全員がダッシュで海まで戻っていたからだそうだ。
崖の崩壊によって押し出された圧倒的なまでの水量が押し寄せたため、最後は流れに揉みくちゃにされたそうだが、それでも全員が無事に海まで逃げる事が出来たんだそうだ。
さすが、海の覇者たる人魚族だな。
とは言え、上流に向かって逃げたわけでもなく、流れに後押しされつつ逃げたんだから、水中を自由自在に高速で泳ぎ回る事が出来る人魚さん達なんだから、よくよく考えれば無事なのも納得できる。
川を必死で探索? 捜索? をした蜂達が、やっとのことで人魚さんを見つけたのはあの岬がある河口。
その海の中から、無数の頭だけが出てたらしいと、クイーンが身振り手振りで、その時の蜂達の恐怖を語ってくれた。
それも人魚さん達の殆どが長い髪をべったりと顔に張り付けた状態だったそうだ。
うん、確かに俺もびびるよ…そんな光景を目の当たりにしたら。
船幽霊か海坊主の群れかと思っちゃうよな。
あ、海坊主と言っても、どっかの身の丈2mを超えるスキンヘッドのグラサン筋肉の喫茶店のマスターじゃないからな?
海に棲んでいるとか言われる妖怪の事だから、くれぐれも間違えないように。
兎に角、蜂達が恐怖心を押し殺し、その頭の1つの元へと飛んで行くと、髪をかき上げて手を振ってくれたそうで、そこでやっと人魚さんだと安心できたとか。
それで事情を詳しく聞き、クイーンへと人魚さん達の無事を伝え、そして俺へと報告があがってきたって事だ。
うん、本当に無事でよかった。
もしも誰か大怪我をしてたり亡くなっていたりしたら…対価にどれ程の若い男の生贄を要求されるか…ぶるぶる…。
さて、これで取りあえずは、このワイバーン討伐作戦に参加してくれた全員の武士は確認出来た。
まあ、壮大な自然破壊の跡は残ったわけなんだが、あれ…どうしよう。
「伯爵様、ちょっと確認したい事があるんですけど」
俺とユズユズ夫婦、イネスは変身を解き、ウルスラグナからはマチルダとミレーラも降機して、全員で対岸の惨状を見つめていると、ユズキが不意に話しかけて来た。
「どうしたん?」
何を確認したいんだろう?
「いえ、あの対岸の崖? だったところは岩でしたけど、その上には森がありましたよね?」
その言葉に、俺は視線を斜めに切り落とされた崖では無く、そのさらに上へと向けるた。
確かにユズキの言う様に、崖の上には樹が生い茂っている。
とすれば、落ちた崖の天辺にも樹が生えていたという事は想像に難くない。
「確かにあっただろうなぁ…」
そう答えるのが精いっぱい。でも、何でそんな事聞くんだ?
「んでは、もう一つ。あのつるんつるんの切断面ですけど…樹が生えると思います?」
「…無理なんじゃね? あんな所に種とか樹の実とか引っかかるような所ないし、そうなると森どころか草も無理な気が…」
都会の舗装の隙間から花が咲いたとか樹が生えたとかってニュースも前世でたまに見た事あるけど、それって風とかで流れた土が堆積したりできる場所があったからこそ起きた偶然であって、あんな土埃すら溜まりそうにない場所には生えないだろう?
もしも生えたら、それこそ奇跡なんじゃないだろうか?
「ですよねぇ…あの状態ですから。では、あの状態では無ければどうでしょう?」
ユズキのこの言葉に、全員が首を捻った。
彼の嫁であるユズカでさえ、「何言ってんの?」と言ってるぐらいだ。
「いえね、あのつるつるぴかぴかの急斜面が、凸凹になれば…また何十年か掛けたら自然が復活するんじゃないかと」
「まあ、言わんとしている事は分からんでもないが…」
でも、どうやって?
「ふっふっふ…実は、今回ワイバーン討伐のために万全準備して来た品々が、実はほとんど手つかずなのですよ。持って帰るのも重たいので、もういっその事ここで全部ぱ~っと使っちゃいませんか? って提案です」
「あっ! なーいす、柚希!」
ん? この万年新婚ラブラブ夫婦だけに通じる暗号か何かなのか?
「おお、なるほど!」「…的は?」「それこそ、ユズキの言う様に、あの崖でいいのでは?」
イネスもミレーラもマチルダも、ユズキの言いたい事がわかったの?
「ですよねぇ! せっかく作って来た武装の数々なんですし、丁度火器の威力も確認したいと思ってたんです!」
…まさか、あの筋肉エルフさん達が持ってきたアレを撃つつもりか?
「イエス! さすがは私の旦那様! 派手にぶっ放したかった私の気持ち、分かってるわね~!」
「そりゃぁ、柚夏の事なら何でもわかるさぁ」
「柚希…」「柚夏…」
あ~君達、そう言う事は2人っきりの時にして貰えませんでしょうか。
割とマジでお願いします。
まあそれも当然で、実は崖の崩壊が起きる直前に、全員がダッシュで海まで戻っていたからだそうだ。
崖の崩壊によって押し出された圧倒的なまでの水量が押し寄せたため、最後は流れに揉みくちゃにされたそうだが、それでも全員が無事に海まで逃げる事が出来たんだそうだ。
さすが、海の覇者たる人魚族だな。
とは言え、上流に向かって逃げたわけでもなく、流れに後押しされつつ逃げたんだから、水中を自由自在に高速で泳ぎ回る事が出来る人魚さん達なんだから、よくよく考えれば無事なのも納得できる。
川を必死で探索? 捜索? をした蜂達が、やっとのことで人魚さんを見つけたのはあの岬がある河口。
その海の中から、無数の頭だけが出てたらしいと、クイーンが身振り手振りで、その時の蜂達の恐怖を語ってくれた。
それも人魚さん達の殆どが長い髪をべったりと顔に張り付けた状態だったそうだ。
うん、確かに俺もびびるよ…そんな光景を目の当たりにしたら。
船幽霊か海坊主の群れかと思っちゃうよな。
あ、海坊主と言っても、どっかの身の丈2mを超えるスキンヘッドのグラサン筋肉の喫茶店のマスターじゃないからな?
海に棲んでいるとか言われる妖怪の事だから、くれぐれも間違えないように。
兎に角、蜂達が恐怖心を押し殺し、その頭の1つの元へと飛んで行くと、髪をかき上げて手を振ってくれたそうで、そこでやっと人魚さんだと安心できたとか。
それで事情を詳しく聞き、クイーンへと人魚さん達の無事を伝え、そして俺へと報告があがってきたって事だ。
うん、本当に無事でよかった。
もしも誰か大怪我をしてたり亡くなっていたりしたら…対価にどれ程の若い男の生贄を要求されるか…ぶるぶる…。
さて、これで取りあえずは、このワイバーン討伐作戦に参加してくれた全員の武士は確認出来た。
まあ、壮大な自然破壊の跡は残ったわけなんだが、あれ…どうしよう。
「伯爵様、ちょっと確認したい事があるんですけど」
俺とユズユズ夫婦、イネスは変身を解き、ウルスラグナからはマチルダとミレーラも降機して、全員で対岸の惨状を見つめていると、ユズキが不意に話しかけて来た。
「どうしたん?」
何を確認したいんだろう?
「いえ、あの対岸の崖? だったところは岩でしたけど、その上には森がありましたよね?」
その言葉に、俺は視線を斜めに切り落とされた崖では無く、そのさらに上へと向けるた。
確かにユズキの言う様に、崖の上には樹が生い茂っている。
とすれば、落ちた崖の天辺にも樹が生えていたという事は想像に難くない。
「確かにあっただろうなぁ…」
そう答えるのが精いっぱい。でも、何でそんな事聞くんだ?
「んでは、もう一つ。あのつるんつるんの切断面ですけど…樹が生えると思います?」
「…無理なんじゃね? あんな所に種とか樹の実とか引っかかるような所ないし、そうなると森どころか草も無理な気が…」
都会の舗装の隙間から花が咲いたとか樹が生えたとかってニュースも前世でたまに見た事あるけど、それって風とかで流れた土が堆積したりできる場所があったからこそ起きた偶然であって、あんな土埃すら溜まりそうにない場所には生えないだろう?
もしも生えたら、それこそ奇跡なんじゃないだろうか?
「ですよねぇ…あの状態ですから。では、あの状態では無ければどうでしょう?」
ユズキのこの言葉に、全員が首を捻った。
彼の嫁であるユズカでさえ、「何言ってんの?」と言ってるぐらいだ。
「いえね、あのつるつるぴかぴかの急斜面が、凸凹になれば…また何十年か掛けたら自然が復活するんじゃないかと」
「まあ、言わんとしている事は分からんでもないが…」
でも、どうやって?
「ふっふっふ…実は、今回ワイバーン討伐のために万全準備して来た品々が、実はほとんど手つかずなのですよ。持って帰るのも重たいので、もういっその事ここで全部ぱ~っと使っちゃいませんか? って提案です」
「あっ! なーいす、柚希!」
ん? この万年新婚ラブラブ夫婦だけに通じる暗号か何かなのか?
「おお、なるほど!」「…的は?」「それこそ、ユズキの言う様に、あの崖でいいのでは?」
イネスもミレーラもマチルダも、ユズキの言いたい事がわかったの?
「ですよねぇ! せっかく作って来た武装の数々なんですし、丁度火器の威力も確認したいと思ってたんです!」
…まさか、あの筋肉エルフさん達が持ってきたアレを撃つつもりか?
「イエス! さすがは私の旦那様! 派手にぶっ放したかった私の気持ち、分かってるわね~!」
「そりゃぁ、柚夏の事なら何でもわかるさぁ」
「柚希…」「柚夏…」
あ~君達、そう言う事は2人っきりの時にして貰えませんでしょうか。
割とマジでお願いします。
0
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる