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光の筋が通り過ぎた後…
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「ほぇ!?」「んなっ!」
ウルスラグナのコックピットで、息をひそめてワイバーンへの攻撃の時を待っていた ミレーラとマチルダは、目の前で起きている事がはたして夢なのか現実なのか区別が付かなかった。
一番上流側に作られていたワイバーンの巣から中流域へと、エルフと共に一部隊を展開し攻撃準備を整え、蜂達によってその準備が完了した事を報告し、さらに攻撃開始の合図があった直後の事。
トール達が一撃を加えた瞬間に、こちらもエルフ達による一斉射撃を行う予定となっており、自分達ウルスラグナ組は抵抗し反撃してくるであろうワイバーンを叩くつもりでいた。
予想はしていた。
トールの一撃が、この広い範囲の全域で確認できるほどに派手な物であろうことは。
しかし、まさかこんな攻撃だとは、想像もできなかった。
音も無く目の前に奔る一筋の光。
それがワイバーンの巣だけでなく、巣の主であるワイバーンも、さらに巣が作られている崖をも貫通し、さらに天までをも穿った。
しかもそれで終わりではなかった。
その光は、音も無く中流域へと移動していく。
無論、巣とその主と崖まで含め貫きながら。
もしも2人がどこかのZZなアニメを知っていたならば、ハイパー・ビ〇ム・サーベルじゃねーか! とか突っ込んだかもしれない。
だが、生憎とこの世界生まれの2人がそんな物を知るはずもない。
音も無く移動していく光の筋を、ミレーラ、マチルダ、そしてエルフ達はただ茫然と見つめていた。
下流側で一部隊を展開していたユズユズとエルフ達も、ただ目の前の光景に唖然とするしかなかった。
光の筋が通り過ぎた後には、真っ二つにされたワイバーンの姿が。
「あの光は…まさか?」
ユズキのやけにゆっくりとした呟きの後、
「間違いない、あれは光鷹翼よ! 光の属性を持つ聖機人を操縦する柾〇剣士が来たのよ!」
「そんなわけあるかーーい!」
ユズカのボケを即座に突っ込み返したユズキの速度感とは明らかに違い、血と内臓をまき散らしながらワイバーンが、まるでスローモーションの様にゆっくりと川の中へと落ちて行った。
下流で待機していたエルフ達は、ドボドボと音を立てて川の流れに落ちていくワイバーンを、ただただ茫然と見つめていた。
やがて光が上流側に遠のいていくと、ズルリ…と音がして、目の前の崖が手前にずれて落ちてきた、
まるで壁の様に聳え立つ崖が自分達の方へと迫って来ているというのに、誰もがその光景に見入っていた。
実際には、非常に滑らかな切り口となった崖が、そのまま川へと滑り落ちただけなのだが、そんな事まで考えることができた者は、一人もいなかった。
やがて、対岸の切り立った岩の壁は、川の中に何の抵抗も無く落下し、盛大な水しぶきを上げた。
ユズユズ達が部隊を展開していた場所は川面から結構な高さが有ったにもかかわらず、その津波の如き盛大な水しぶきをに浴び、全員が森の中へと押し流された。
「ゃ…っぱり…ここは…ジ〇ミナーよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「…ぃつま…で…そのネ…タ…ひっぱってんだよぉぉぉぉぉ!」
大量の水に押し流されながらもボケをかまし続け、律儀にも即座にツッコミを返す夫婦漫才師…いや、ユズユズ夫妻であった。
ちなみに、エルフ達はそれを傍で聞いていたのだが、誰もユズカのアニメネタを理解出来なかった。
この光景を、トール達ワイバーン討伐隊以外で見ていた者も居た。
それは、さらに下流域で、倒され川に落された獲物を回収するために、トールが密かに蜂達を使って連絡を取って呼寄せた者達…そう、大海の覇者である人魚さん達だ。
彼女達は、その光景を川面から頭だけ出して見ていた。
そして、落下していく崖を目にした瞬間、その後に起こる事を正確に予測し、一目散に海へと泳いだ。
途中、津波の様な水が彼女達を襲いはしたものの、何とか全員が無事海へと逃げる事が出来たのは幸いだった。
大量の水が川から溢れ出、トール達一行とエルフ達を森の奥へと押し流したのは、ほんの数分程の出来事だった。
切り立った崖の一部…というには範囲が広すぎるが…川に落下したそれの質量は途轍もない物だった。
深い渓谷を流れる、かなりの水量と流速を誇るこの河川の水を、一瞬にしてせき止めてしまう程に。
とは言え、完全にせき止められてはおらず、川幅は極端に細く、水深も浅くはなったものの、未だに川は上流から下流へと水を流している。
川に落下した最も上流側の崖の一部は、確かに一時的にはダムの様にその流量を受け止めはした。
だが、岩や土など元々崖を構成していた土地の強度が低かったからなのか、それともそんな物程度では流れをせき止められない程の流量の川であったのかは不明だが、すぐに流れゆく水に土も岩も削られていった。
無論、この様な巨大質量が川に落下したのだから、流れに変化が起きるのは誰の目にも明らか。
激しい水流が、落下した崖の弱い部分をどんどんと削り取って行き、狭くなった川幅のせいで流速がアップした結果、さらにまた土や岩を削り取る。
結果、手漕ぎ程度の船では到底下る事など不可能な程の急流・渓谷が出来上がったのであった。
この急流は、やがてホテル・ニュー大滝を利用する新婚さんやカップル、そして休暇を利用して訪れる家族達を乗せた船を人魚さん達が曳く急流下りという、この世界では初となるアトラクションで、一躍名を馳せる観光地となった…らいいな…。
ウルスラグナのコックピットで、息をひそめてワイバーンへの攻撃の時を待っていた ミレーラとマチルダは、目の前で起きている事がはたして夢なのか現実なのか区別が付かなかった。
一番上流側に作られていたワイバーンの巣から中流域へと、エルフと共に一部隊を展開し攻撃準備を整え、蜂達によってその準備が完了した事を報告し、さらに攻撃開始の合図があった直後の事。
トール達が一撃を加えた瞬間に、こちらもエルフ達による一斉射撃を行う予定となっており、自分達ウルスラグナ組は抵抗し反撃してくるであろうワイバーンを叩くつもりでいた。
予想はしていた。
トールの一撃が、この広い範囲の全域で確認できるほどに派手な物であろうことは。
しかし、まさかこんな攻撃だとは、想像もできなかった。
音も無く目の前に奔る一筋の光。
それがワイバーンの巣だけでなく、巣の主であるワイバーンも、さらに巣が作られている崖をも貫通し、さらに天までをも穿った。
しかもそれで終わりではなかった。
その光は、音も無く中流域へと移動していく。
無論、巣とその主と崖まで含め貫きながら。
もしも2人がどこかのZZなアニメを知っていたならば、ハイパー・ビ〇ム・サーベルじゃねーか! とか突っ込んだかもしれない。
だが、生憎とこの世界生まれの2人がそんな物を知るはずもない。
音も無く移動していく光の筋を、ミレーラ、マチルダ、そしてエルフ達はただ茫然と見つめていた。
下流側で一部隊を展開していたユズユズとエルフ達も、ただ目の前の光景に唖然とするしかなかった。
光の筋が通り過ぎた後には、真っ二つにされたワイバーンの姿が。
「あの光は…まさか?」
ユズキのやけにゆっくりとした呟きの後、
「間違いない、あれは光鷹翼よ! 光の属性を持つ聖機人を操縦する柾〇剣士が来たのよ!」
「そんなわけあるかーーい!」
ユズカのボケを即座に突っ込み返したユズキの速度感とは明らかに違い、血と内臓をまき散らしながらワイバーンが、まるでスローモーションの様にゆっくりと川の中へと落ちて行った。
下流で待機していたエルフ達は、ドボドボと音を立てて川の流れに落ちていくワイバーンを、ただただ茫然と見つめていた。
やがて光が上流側に遠のいていくと、ズルリ…と音がして、目の前の崖が手前にずれて落ちてきた、
まるで壁の様に聳え立つ崖が自分達の方へと迫って来ているというのに、誰もがその光景に見入っていた。
実際には、非常に滑らかな切り口となった崖が、そのまま川へと滑り落ちただけなのだが、そんな事まで考えることができた者は、一人もいなかった。
やがて、対岸の切り立った岩の壁は、川の中に何の抵抗も無く落下し、盛大な水しぶきを上げた。
ユズユズ達が部隊を展開していた場所は川面から結構な高さが有ったにもかかわらず、その津波の如き盛大な水しぶきをに浴び、全員が森の中へと押し流された。
「ゃ…っぱり…ここは…ジ〇ミナーよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「…ぃつま…で…そのネ…タ…ひっぱってんだよぉぉぉぉぉ!」
大量の水に押し流されながらもボケをかまし続け、律儀にも即座にツッコミを返す夫婦漫才師…いや、ユズユズ夫妻であった。
ちなみに、エルフ達はそれを傍で聞いていたのだが、誰もユズカのアニメネタを理解出来なかった。
この光景を、トール達ワイバーン討伐隊以外で見ていた者も居た。
それは、さらに下流域で、倒され川に落された獲物を回収するために、トールが密かに蜂達を使って連絡を取って呼寄せた者達…そう、大海の覇者である人魚さん達だ。
彼女達は、その光景を川面から頭だけ出して見ていた。
そして、落下していく崖を目にした瞬間、その後に起こる事を正確に予測し、一目散に海へと泳いだ。
途中、津波の様な水が彼女達を襲いはしたものの、何とか全員が無事海へと逃げる事が出来たのは幸いだった。
大量の水が川から溢れ出、トール達一行とエルフ達を森の奥へと押し流したのは、ほんの数分程の出来事だった。
切り立った崖の一部…というには範囲が広すぎるが…川に落下したそれの質量は途轍もない物だった。
深い渓谷を流れる、かなりの水量と流速を誇るこの河川の水を、一瞬にしてせき止めてしまう程に。
とは言え、完全にせき止められてはおらず、川幅は極端に細く、水深も浅くはなったものの、未だに川は上流から下流へと水を流している。
川に落下した最も上流側の崖の一部は、確かに一時的にはダムの様にその流量を受け止めはした。
だが、岩や土など元々崖を構成していた土地の強度が低かったからなのか、それともそんな物程度では流れをせき止められない程の流量の川であったのかは不明だが、すぐに流れゆく水に土も岩も削られていった。
無論、この様な巨大質量が川に落下したのだから、流れに変化が起きるのは誰の目にも明らか。
激しい水流が、落下した崖の弱い部分をどんどんと削り取って行き、狭くなった川幅のせいで流速がアップした結果、さらにまた土や岩を削り取る。
結果、手漕ぎ程度の船では到底下る事など不可能な程の急流・渓谷が出来上がったのであった。
この急流は、やがてホテル・ニュー大滝を利用する新婚さんやカップル、そして休暇を利用して訪れる家族達を乗せた船を人魚さん達が曳く急流下りという、この世界では初となるアトラクションで、一躍名を馳せる観光地となった…らいいな…。
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