1,217 / 1,466
予想通りじゃな
しおりを挟む
「ふむ…お主、なかなかやるのぉ」
パンゲア大陸に連れて来られ、更なる精密検査を受けたサラとリリアが、モフリーナの淹れてくれたお茶で少し緊張で乾いた口中を潤しながら、2人で地下室で考察した魂に関して話をしていた。
「では?」
少々不安そうな顔でリリアがボーディへと問いかけると、
「うむ、ほぼ正解じゃ」
ニヤリと笑いつつ、ボーディはその考察を肯定した。
それを聞き、リリアもサラも緊張を緩めた。
「お主等の考えた通り、そもそも魂とは精神体とエネルギーの合わさった物であり、魂という名称の物は存在せんのじゃ。そもそもこの世界が誕生した時には、魂という名称は無かったのじゃよ。我等、解放魂魄解放庁がその名称を広めたのじゃ」
どこか遠い目をしたボーディがそう語った。
「やはり…。つまり、魂と精神体は、実は切り離せないという事で合ってると言う事ですね?」
確かめる様にリリアが問いかけると、
「ああ、その考えは正しい。というか、繰り返しになるが、そもそも魂とはエネルギーと精神体の合わさった物の名称なのじゃから、切り離したら魂では無くなるがのぉ」
ボーディは即座に答えを返した。
「んじゃ、魂魄ってのは、どういう意味なんすか?」
ここまでの話を聞いていたサラが、ついでとばかりに問いかける。
「おお、お主…なかなか良い質問をするのぉ!」
「ふふん! サラちゃんはやる時はやる子なんです!」
誰もそんな事は言ってない。
「間抜けでアホな奴じゃと思っとったが…」
ボーディのその評価は多分正しい。
「誰が間抜けでアホかーーー!」
サラが幾ら怒鳴った所で、誰も恐れはしないが。
「魂魄…これは魂と魄が合わさった言葉じゃ。『魂』とは精神体を差し、『魄』とは肉体を指す言葉なのじゃ。他には霊魂と呼ばれる事もある、生命体の根源を司る物じゃと考えられており、そうあちこちの世界では伝わっておるはずじゃ」
サラがまだギャーギャー騒いでいるが、完全にそれを無視してボーディが語り始めた。
「もっとも、本当は『魄』は肉体では無くエネルギーを指しておるから、その考えは間違っておるとも言えるがの」
「…私が考えていた魂魄の概念とはかなり違います…」
ボーディの説明を聞いていたリリアは、今まで持っていた常識との違いに驚いた。
「まあ、陰陽と表現する事もあるし、生命の構成要素が霊魂と精神体と肉体じゃとする宗教などもある。つまり、世界や宗教の数だけ魂魄の理解度や認識度や解釈は変わるものじゃから、そう驚くほどでも無いのじゃ」
「な、なるほど…」
どこか納得した様な顔のリリア。
話の切っ掛けを創り出したサラは、もう完璧に置いてきぼりだ。
「まあ、魂魄への間違った認識をお主等に植え付けたのは、明らかに輪廻転生管理局じゃの」
「……それは何故?」
そうでは無いかと考えていたリリアではあるが、思わずといった感じで口から声が漏れた。
だが、それはしっかりとボーディの耳に届いていた。
「一言でいえば、お主等の思考と行動を、管理局にとって都合良い方に誘導するためじゃな」
「「………」」
そう断言されたリリアとサラは、言葉を発する事が出来なかった。
「まあ、じゃからお主等のボディなど、どうとでも出来るはずじゃ」
ソファーにふんぞり返りながら、ボーディがそう言うと、
「…精密検査の結果…出た…」
その背後に、ぬぅっと現れたモフレンダが、何やら細かい数値やら文字やらが羅列されているレポートの束をボーディに手渡す。
「び、びっくりした! モフレンダよ、気配を消して近づくでないわ!妾の心臓、止まっちゃうぞ!?」
「そんな事で止まらない…剛毛生えてるから…」
心臓ドキドキで怒り心頭のボーディに対し、実に冷たいモフレンダの言葉。
「ご、剛毛って…生えとらんわ! 妾、こう見えて結構繊細なのじゃぞ!?」
「…五月蠅い…いいからさっさとソレ読む…」
そう言いつつ、レポートの束をボーディに押し付けるモフレンダ。
「くっ…妾の主張は無視か…。というか、お主ちょっと性格変わっておらぬかや?」
ブツブツ言いながらも、モフレンダの作成した検査結果のレポートを受け取るボーディ。
暫しそれをパラパラめくりながら確認した後、ボーディは真面目な顔でサラとリリアに視線を戻して、
「うむ、やはり予想通りじゃな。お主等の体内には、確実に魂が存在しておる。エネルギーの問題が無い分けではないが、それでもお主等の新たなボディーは、間違いなく作成できるぞよ」
はっきりと、そう断言した。
パンゲア大陸に連れて来られ、更なる精密検査を受けたサラとリリアが、モフリーナの淹れてくれたお茶で少し緊張で乾いた口中を潤しながら、2人で地下室で考察した魂に関して話をしていた。
「では?」
少々不安そうな顔でリリアがボーディへと問いかけると、
「うむ、ほぼ正解じゃ」
ニヤリと笑いつつ、ボーディはその考察を肯定した。
それを聞き、リリアもサラも緊張を緩めた。
「お主等の考えた通り、そもそも魂とは精神体とエネルギーの合わさった物であり、魂という名称の物は存在せんのじゃ。そもそもこの世界が誕生した時には、魂という名称は無かったのじゃよ。我等、解放魂魄解放庁がその名称を広めたのじゃ」
どこか遠い目をしたボーディがそう語った。
「やはり…。つまり、魂と精神体は、実は切り離せないという事で合ってると言う事ですね?」
確かめる様にリリアが問いかけると、
「ああ、その考えは正しい。というか、繰り返しになるが、そもそも魂とはエネルギーと精神体の合わさった物の名称なのじゃから、切り離したら魂では無くなるがのぉ」
ボーディは即座に答えを返した。
「んじゃ、魂魄ってのは、どういう意味なんすか?」
ここまでの話を聞いていたサラが、ついでとばかりに問いかける。
「おお、お主…なかなか良い質問をするのぉ!」
「ふふん! サラちゃんはやる時はやる子なんです!」
誰もそんな事は言ってない。
「間抜けでアホな奴じゃと思っとったが…」
ボーディのその評価は多分正しい。
「誰が間抜けでアホかーーー!」
サラが幾ら怒鳴った所で、誰も恐れはしないが。
「魂魄…これは魂と魄が合わさった言葉じゃ。『魂』とは精神体を差し、『魄』とは肉体を指す言葉なのじゃ。他には霊魂と呼ばれる事もある、生命体の根源を司る物じゃと考えられており、そうあちこちの世界では伝わっておるはずじゃ」
サラがまだギャーギャー騒いでいるが、完全にそれを無視してボーディが語り始めた。
「もっとも、本当は『魄』は肉体では無くエネルギーを指しておるから、その考えは間違っておるとも言えるがの」
「…私が考えていた魂魄の概念とはかなり違います…」
ボーディの説明を聞いていたリリアは、今まで持っていた常識との違いに驚いた。
「まあ、陰陽と表現する事もあるし、生命の構成要素が霊魂と精神体と肉体じゃとする宗教などもある。つまり、世界や宗教の数だけ魂魄の理解度や認識度や解釈は変わるものじゃから、そう驚くほどでも無いのじゃ」
「な、なるほど…」
どこか納得した様な顔のリリア。
話の切っ掛けを創り出したサラは、もう完璧に置いてきぼりだ。
「まあ、魂魄への間違った認識をお主等に植え付けたのは、明らかに輪廻転生管理局じゃの」
「……それは何故?」
そうでは無いかと考えていたリリアではあるが、思わずといった感じで口から声が漏れた。
だが、それはしっかりとボーディの耳に届いていた。
「一言でいえば、お主等の思考と行動を、管理局にとって都合良い方に誘導するためじゃな」
「「………」」
そう断言されたリリアとサラは、言葉を発する事が出来なかった。
「まあ、じゃからお主等のボディなど、どうとでも出来るはずじゃ」
ソファーにふんぞり返りながら、ボーディがそう言うと、
「…精密検査の結果…出た…」
その背後に、ぬぅっと現れたモフレンダが、何やら細かい数値やら文字やらが羅列されているレポートの束をボーディに手渡す。
「び、びっくりした! モフレンダよ、気配を消して近づくでないわ!妾の心臓、止まっちゃうぞ!?」
「そんな事で止まらない…剛毛生えてるから…」
心臓ドキドキで怒り心頭のボーディに対し、実に冷たいモフレンダの言葉。
「ご、剛毛って…生えとらんわ! 妾、こう見えて結構繊細なのじゃぞ!?」
「…五月蠅い…いいからさっさとソレ読む…」
そう言いつつ、レポートの束をボーディに押し付けるモフレンダ。
「くっ…妾の主張は無視か…。というか、お主ちょっと性格変わっておらぬかや?」
ブツブツ言いながらも、モフレンダの作成した検査結果のレポートを受け取るボーディ。
暫しそれをパラパラめくりながら確認した後、ボーディは真面目な顔でサラとリリアに視線を戻して、
「うむ、やはり予想通りじゃな。お主等の体内には、確実に魂が存在しておる。エネルギーの問題が無い分けではないが、それでもお主等の新たなボディーは、間違いなく作成できるぞよ」
はっきりと、そう断言した。
0
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる