システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
1,202 / 1,466

予想通り

しおりを挟む
 その後、リリアさんに俺の知り得ている情報を、一通り伝えた。
 どうやら、俺の話した内容にかなりショックを受けてた様子で、会話が終わってもずっと無言だった。
 熱々のお茶が冷める程度の時間、彼女は黙って俯いていたのだが、いきなり何の前触れもなく立ち上がった。
 そして、扉の前で俺に深々と一礼した後、静かに執務室を出て行った。
 まあ、今まで味方だと思ってた管理局に実は裏切られ切り捨てられてた…なんて、いくら何でもショック受けるよな。
 何となく俺も仕事をする気にならず、結局その日は俺もぼ~っとしたまま午後を過ごした。
 
 きっと、リリアさんは俺から仕入れた情報をサラに話したんだろう。
 陽が沈み、久しぶりに我が家の通常メンバーが全員揃ったディナーでも、2人はずっと無言だった。
 しかも、全然目の前の皿に手も付けずに。
 まあ、あの2人は元々食事をする必要が無いって聞いた事あるから、それは別にいい。
 だけど、夕飯の席をどんよりした空気にするのは止めて欲しかった。
 2人のダークな雰囲気に圧されたのか、嫁ーず、妖精達、ドワーフさん達にユズユズも、誰も彼もがただただ無言で食事を口に運んでいた。
 まぁ、今夜は仕方ないかな。
 明日もこんな空気を醸し出すようなら、ちょっと一言言ってやらねばならないかなぁ…。
 

「どうですか、モフレンダ…」「どうじゃ、予想通りかや?」
 その頃、パンゲア大陸では、サラとリリアの現在のボディを徹底的に調べ上げたデータを前にしたモフレンダに、モフリーナとボーディが声を掛けていた。 
「間違いない。予想通り」
 ディズプレイ(仮)を流れる無数の数字から目を離さず、ぽつりとモフレンダが答えた。
「やはりのぉ…。あ奴らの魂は、あの体内の機械類に押し込められられておるという事か…」
 予想していた事とは言え、その答えにボーディは難しい顔をしながら呟いた。
「ですねぇ。あの局長のやる事は、ちょっとえげつないですねぇ」
 対してモフリーナは、少し呆れ顔だ。
「あと、記憶も偽物」
 そんな2人を一瞥もせず、ただただ調べ上げたデータから導き出された結論を伝えるモフレンダ。
「やはりか…」「予想していたとはいえ、流石にそれは…」
 今度は納得顔になったボーディと、さらに呆れ果てているモフリーナ。 
「多分、誰かの魂を転生の時に何かに押し込んで、誰かの記憶を刷り込んだ。それも複数の…。特殊能力もだけど」
「む、それは予想外じゃぞ?」「輪廻転生の輪から、魂を勝手に拾い上げた…と?」
 流石にこのモフレンダの精査結果には驚きを隠せないボーディとモフリーナ。
「まだ確実とは言えないけれど、その可能性は確率は98%以上」
 背後で2人が百面相している事など意にも介さず、モフレンダはただ淡々と言葉を紡ぐ。
「そうであれば…管理局にある本体というのも…」「フェイク、もしくはただのエネルギータンクの可能性がありますね」
「2人のその考えは正しい。多分、エネルギータンク兼エネルギー転送装置。あの2人が管理局と接続できなっている状況だと、内臓エネルギーだけでは どの道あのボディの寿命は近かった」
 あくまでも検査結果から得られる情報を元に、導き出された事を淡々と述べるモフレンダ。
「複合素粒子電池と彼女達が呼んでいる物は、エネルギー転送装置。超小型ポジトロン電子頭脳は、ボディの制御機能に見えるけれど、実は魂を封じ込める容器で、管理局との通信装置。あと、特殊能力は多分…電池の方」
 モフレンダの長文は中々珍しいのだが、2人共それに敢て言及せず、ただじっとその話に聞き入っていた。

「魂が無くても新しいボディの製作は出来るけど、ここにあるなら簡単。エネルギーはあのハーレム男のを使えばいい」
 そう言って、モフレンダは初めて背後に立つボーディとモフリーナへと振り返った。
「モフレンダ、トールヴァルド様をハーレム男などと呼んでは失礼ですよ? 私達にとっては、大恩人なのですから」
 モフリーナが少し強い口調でモフレンダに注意すると、拗ねた様にプイッとモフレンダは横を向く。
「まあ、そう言ってやるな。こ奴とてその辺は十分理解しておるわ。ただ、ツンデレなだけじゃわい」
「ああ、なるほど!」
 カカカッと高笑いするボーディに、モフレンダが「違う!」と必死に訴えるのだが、2人には華麗にスルーされた。
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...