システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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洗脳

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「「騙されてる!?」」
 ボーディの言葉に、サラとリリアが声をあげた。
「ああ、そうじゃ。大体、魂と精神を切り離すなど、どんなに進んだテクノロジーをもってしても不可能じゃ。魂と精神は常に一体であり、これは普遍的なものなのじゃよ。まあ、変わるとすれば保有するエネルギーかのぉ。じゃからお主等は騙されておるというのじゃ」
 ボーディの言葉をただ呆然と聞いていたサラとリリア。
 だが数舜後、何かを思いついたようにリリアが口を開いた。。
「で、ですが…私たちが物心ついた時とでもいいますか、思考がはっきりとした時からその様に…」
「教えられてきたのじゃろう?」
 リリアの言葉に被せるように、ボーディが告げる。
「そ、そうです!」
「そして、御主等は見事なまでに洗脳されたわけじゃ」
 リリアが同意の言葉を口にするとほぼ同時に、ボーディが決定的な一言を突き付けた。
「「せ、洗脳…」」
 リリアもサラも、さすがにこの一言にはショックを受けた様子。
「まあ、どこの世界でもある話じゃ。幼い頃より導く立場の者が繰り返しそう教え、同調を促すように仕向けておれば、それが正しい事で常識じゃと自然と刷り込まれるものじゃよ。洗脳としては極めて初歩的な手段じゃが、長い時間をかけて徐々に染められていく分、その効果は高く、深く浸透するのじゃ」

 確かに、そういった事例はどこの世界でもある。
 現代地球であっても、そういった洗脳に近い教育を国が主導で行っている事例も多々ある。
 第二次世界大戦中は、日本であっても、そうした行為が平気でまかり通っていたりもする。
 
「まあ、論より証拠じゃ。管理局にあるという、御主等の本体に、魂など存在せん事を証明してやろう」
「「証明?」」 
 自信満々に言い切るボーディに、いまだ洗脳のショックから立ち直れないサラとリリアが懐疑的な声をあげたのは、自分たちの常識が間違いだと認めたくないからなのか。
「うむ。じゃが、証明するためには、少々時間が必要じゃ。具体的には、御主等のボディーを作成するという時間じゃな」
 ボーディの話を最後まで聞いたリリアは、
「では、ボディーが完成すれば、魂のありどころを証明できると?」
 リリアがそう問いかけると、
「うむ、その通りじゃ」
 ニヤリと笑ったボーディのその顔は、リリアには悪魔の微笑みのように見えた。


 そして、その頃…どこか遠い真っ白な世界では…。
『ふむ…なかなか上手く行かない物だな…』
 仄かに光る白一色の壁に向かって、これまた光る異形の存在、何か考え込んでいる様だった。
『これは、エネルギー不足のせいだろうか? 計算では、もうある程度の世界を確保出来ていてもおかしく無いのだが?』
 その白い壁には何も映されている様には見えないが、その光る異形の存在が独り言を呟いた。
 別に盗み聞きしたという分けでも無いだろうが、その真っ白な空間に、さらにもう1人異形の存在が姿を現した。
『何をそんなに考え込んでるんだい?』
『おお、良い所に。実は、例の実験なのだが、どうも上手くいかなくてな』
『ほう?』
 光る異形の存在が並ぶと、もうどちらがどちらなのか、見分けがつかない。
 この真っ白な空間に響く声も、どちらが発したか分からないほどに似ている。
『私が考えるに、これはエネルギー不足だと思うのだよ』
『なるほど、それはそうかもしれない。何せ、この世界の始まりは、莫大なエネルギーの爆発あっての事だからな』
『うむ、その通りだ。だが、この世界の始まりほどのエネルギーを集めるのは、私であっても難しい』
 話の内容が抽象的過ぎて、どうにも異形の存在同士でしか通じる事はないように思える。
『あの世界を構築する要素の1つがエネルギーである事は間違いないだろうが、果たしてそれだけだろうか?』
『と言うと?』
『何jか別の要素が足りないのではないかと、私は言いたいんだよ』
『なるほど…。この世界の始まりに合って、あの世界の始まりに無い物…か』
『そう考えれば、エネルギーだけの問題では無い様に思えないかい?』
『確かに…。確かに! あの世界には、この世界の様に、根源たる存在が無い!』
『そうだ。陰はあっても陽がない。いや、違うな…。陰は足りているが、陽が足りない…のではないか?』
『うむうむ、その通りだ。流石は、私だな!』
『当然だろう、俺』
 真っ白な空間の中で、何やら光る異形の存在同士の話が盛り上がっているようだが、その内容はあまりにも曖昧だ。
 そして、何故か偉業は互いに互いを、私、俺、と呼び合っている事も謎である。
 とは言え、この空間にはそれを聞いて何か諫言したり諭したりする様な者が居るわけでもない。
 なので、異形の存在だけが存在するこの空間で、2人は時を忘れて議論を交わし合い続けるのであった。 
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