1,198 / 1,466
洗脳
しおりを挟む
「「騙されてる!?」」
ボーディの言葉に、サラとリリアが声をあげた。
「ああ、そうじゃ。大体、魂と精神を切り離すなど、どんなに進んだテクノロジーをもってしても不可能じゃ。魂と精神は常に一体であり、これは普遍的なものなのじゃよ。まあ、変わるとすれば保有するエネルギーかのぉ。じゃからお主等は騙されておるというのじゃ」
ボーディの言葉をただ呆然と聞いていたサラとリリア。
だが数舜後、何かを思いついたようにリリアが口を開いた。。
「で、ですが…私たちが物心ついた時とでもいいますか、思考がはっきりとした時からその様に…」
「教えられてきたのじゃろう?」
リリアの言葉に被せるように、ボーディが告げる。
「そ、そうです!」
「そして、御主等は見事なまでに洗脳されたわけじゃ」
リリアが同意の言葉を口にするとほぼ同時に、ボーディが決定的な一言を突き付けた。
「「せ、洗脳…」」
リリアもサラも、さすがにこの一言にはショックを受けた様子。
「まあ、どこの世界でもある話じゃ。幼い頃より導く立場の者が繰り返しそう教え、同調を促すように仕向けておれば、それが正しい事で常識じゃと自然と刷り込まれるものじゃよ。洗脳としては極めて初歩的な手段じゃが、長い時間をかけて徐々に染められていく分、その効果は高く、深く浸透するのじゃ」
確かに、そういった事例はどこの世界でもある。
現代地球であっても、そういった洗脳に近い教育を国が主導で行っている事例も多々ある。
第二次世界大戦中は、日本であっても、そうした行為が平気でまかり通っていたりもする。
「まあ、論より証拠じゃ。管理局にあるという、御主等の本体に、魂など存在せん事を証明してやろう」
「「証明?」」
自信満々に言い切るボーディに、いまだ洗脳のショックから立ち直れないサラとリリアが懐疑的な声をあげたのは、自分たちの常識が間違いだと認めたくないからなのか。
「うむ。じゃが、証明するためには、少々時間が必要じゃ。具体的には、御主等のボディーを作成するという時間じゃな」
ボーディの話を最後まで聞いたリリアは、
「では、ボディーが完成すれば、魂のありどころを証明できると?」
リリアがそう問いかけると、
「うむ、その通りじゃ」
ニヤリと笑ったボーディのその顔は、リリアには悪魔の微笑みのように見えた。
そして、その頃…どこか遠い真っ白な世界では…。
『ふむ…なかなか上手く行かない物だな…』
仄かに光る白一色の壁に向かって、これまた光る異形の存在、何か考え込んでいる様だった。
『これは、エネルギー不足のせいだろうか? 計算では、もうある程度の世界を確保出来ていてもおかしく無いのだが?』
その白い壁には何も映されている様には見えないが、その光る異形の存在が独り言を呟いた。
別に盗み聞きしたという分けでも無いだろうが、その真っ白な空間に、さらにもう1人異形の存在が姿を現した。
『何をそんなに考え込んでるんだい?』
『おお、良い所に。実は、例の実験なのだが、どうも上手くいかなくてな』
『ほう?』
光る異形の存在が並ぶと、もうどちらがどちらなのか、見分けがつかない。
この真っ白な空間に響く声も、どちらが発したか分からないほどに似ている。
『私が考えるに、これはエネルギー不足だと思うのだよ』
『なるほど、それはそうかもしれない。何せ、この世界の始まりは、莫大なエネルギーの爆発あっての事だからな』
『うむ、その通りだ。だが、この世界の始まりほどのエネルギーを集めるのは、私であっても難しい』
話の内容が抽象的過ぎて、どうにも異形の存在同士でしか通じる事はないように思える。
『あの世界を構築する要素の1つがエネルギーである事は間違いないだろうが、果たしてそれだけだろうか?』
『と言うと?』
『何jか別の要素が足りないのではないかと、私は言いたいんだよ』
『なるほど…。この世界の始まりに合って、あの世界の始まりに無い物…か』
『そう考えれば、エネルギーだけの問題では無い様に思えないかい?』
『確かに…。確かに! あの世界には、この世界の様に、根源たる存在が無い!』
『そうだ。陰はあっても陽がない。いや、違うな…。陰は足りているが、陽が足りない…のではないか?』
『うむうむ、その通りだ。流石は、私だな!』
『当然だろう、俺』
真っ白な空間の中で、何やら光る異形の存在同士の話が盛り上がっているようだが、その内容はあまりにも曖昧だ。
そして、何故か偉業は互いに互いを、私、俺、と呼び合っている事も謎である。
とは言え、この空間にはそれを聞いて何か諫言したり諭したりする様な者が居るわけでもない。
なので、異形の存在だけが存在するこの空間で、2人は時を忘れて議論を交わし合い続けるのであった。
ボーディの言葉に、サラとリリアが声をあげた。
「ああ、そうじゃ。大体、魂と精神を切り離すなど、どんなに進んだテクノロジーをもってしても不可能じゃ。魂と精神は常に一体であり、これは普遍的なものなのじゃよ。まあ、変わるとすれば保有するエネルギーかのぉ。じゃからお主等は騙されておるというのじゃ」
ボーディの言葉をただ呆然と聞いていたサラとリリア。
だが数舜後、何かを思いついたようにリリアが口を開いた。。
「で、ですが…私たちが物心ついた時とでもいいますか、思考がはっきりとした時からその様に…」
「教えられてきたのじゃろう?」
リリアの言葉に被せるように、ボーディが告げる。
「そ、そうです!」
「そして、御主等は見事なまでに洗脳されたわけじゃ」
リリアが同意の言葉を口にするとほぼ同時に、ボーディが決定的な一言を突き付けた。
「「せ、洗脳…」」
リリアもサラも、さすがにこの一言にはショックを受けた様子。
「まあ、どこの世界でもある話じゃ。幼い頃より導く立場の者が繰り返しそう教え、同調を促すように仕向けておれば、それが正しい事で常識じゃと自然と刷り込まれるものじゃよ。洗脳としては極めて初歩的な手段じゃが、長い時間をかけて徐々に染められていく分、その効果は高く、深く浸透するのじゃ」
確かに、そういった事例はどこの世界でもある。
現代地球であっても、そういった洗脳に近い教育を国が主導で行っている事例も多々ある。
第二次世界大戦中は、日本であっても、そうした行為が平気でまかり通っていたりもする。
「まあ、論より証拠じゃ。管理局にあるという、御主等の本体に、魂など存在せん事を証明してやろう」
「「証明?」」
自信満々に言い切るボーディに、いまだ洗脳のショックから立ち直れないサラとリリアが懐疑的な声をあげたのは、自分たちの常識が間違いだと認めたくないからなのか。
「うむ。じゃが、証明するためには、少々時間が必要じゃ。具体的には、御主等のボディーを作成するという時間じゃな」
ボーディの話を最後まで聞いたリリアは、
「では、ボディーが完成すれば、魂のありどころを証明できると?」
リリアがそう問いかけると、
「うむ、その通りじゃ」
ニヤリと笑ったボーディのその顔は、リリアには悪魔の微笑みのように見えた。
そして、その頃…どこか遠い真っ白な世界では…。
『ふむ…なかなか上手く行かない物だな…』
仄かに光る白一色の壁に向かって、これまた光る異形の存在、何か考え込んでいる様だった。
『これは、エネルギー不足のせいだろうか? 計算では、もうある程度の世界を確保出来ていてもおかしく無いのだが?』
その白い壁には何も映されている様には見えないが、その光る異形の存在が独り言を呟いた。
別に盗み聞きしたという分けでも無いだろうが、その真っ白な空間に、さらにもう1人異形の存在が姿を現した。
『何をそんなに考え込んでるんだい?』
『おお、良い所に。実は、例の実験なのだが、どうも上手くいかなくてな』
『ほう?』
光る異形の存在が並ぶと、もうどちらがどちらなのか、見分けがつかない。
この真っ白な空間に響く声も、どちらが発したか分からないほどに似ている。
『私が考えるに、これはエネルギー不足だと思うのだよ』
『なるほど、それはそうかもしれない。何せ、この世界の始まりは、莫大なエネルギーの爆発あっての事だからな』
『うむ、その通りだ。だが、この世界の始まりほどのエネルギーを集めるのは、私であっても難しい』
話の内容が抽象的過ぎて、どうにも異形の存在同士でしか通じる事はないように思える。
『あの世界を構築する要素の1つがエネルギーである事は間違いないだろうが、果たしてそれだけだろうか?』
『と言うと?』
『何jか別の要素が足りないのではないかと、私は言いたいんだよ』
『なるほど…。この世界の始まりに合って、あの世界の始まりに無い物…か』
『そう考えれば、エネルギーだけの問題では無い様に思えないかい?』
『確かに…。確かに! あの世界には、この世界の様に、根源たる存在が無い!』
『そうだ。陰はあっても陽がない。いや、違うな…。陰は足りているが、陽が足りない…のではないか?』
『うむうむ、その通りだ。流石は、私だな!』
『当然だろう、俺』
真っ白な空間の中で、何やら光る異形の存在同士の話が盛り上がっているようだが、その内容はあまりにも曖昧だ。
そして、何故か偉業は互いに互いを、私、俺、と呼び合っている事も謎である。
とは言え、この空間にはそれを聞いて何か諫言したり諭したりする様な者が居るわけでもない。
なので、異形の存在だけが存在するこの空間で、2人は時を忘れて議論を交わし合い続けるのであった。
0
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる