システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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騙されておるよ

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 一部お見苦しいドタバタ喜劇もあったが、検査はそのまま続行された。
 まあ、サラだけは何時までもぎゃーぎゃーと喚いていたのだが…それはおいといて。

「お主等は、管理局に本体と魂を置いて来ておると言うたが、そもそも魂とは何じゃと思うとる?」
 真剣な目で液晶ディスプレイの様な物を見つめていたボーディが、サラとリリアに問いかける。
 急な問いかけに考え込むサラとは対照的に、リリアはすぐさま答えた。
「魂とは、生命の根幹たるエネルギーを満たすために存在する、実体を持たない何らかの器…だと思います」
「ふむ…それも答えの1つかもしれぬな」
 リリアの回答に対し、ボーディは視線すら動かさずにそう言葉を返した。
「答えの…1つ?」
 リリアがそう言葉を溢したのは、ボーディの返した言葉に対し、納得できなかったからなのかもしれない。
「ああ、そうじゃ。お主等、管理局ではそう教え込まれておるのじゃろう。無論、それも間違いではない。じゃが、完全な正解と言うわけでもないのじゃよ」
 ここで初めて、リリアへと顔を向けたボーディ。
「では…正解…とは?」
 リリアがそう返すのは、会話の流れからして当然であろう。 
「ふむ…お主は、答えを求めるかや?」
「はい、出来れば…ですが」
 ボーディのもったいぶった様な言い方に若干の苛つきを覚えたリリアではあるが、ここは大人しく話を聞く事にした。
「なるほどの。妾達は、魂とはそれ自体が実体を持つ物であると考えておる」
「実体を持つ?」
 予想外の言葉に、少し驚くリリア。
「そうじゃ。お主等は、輪廻転生の輪に並ぶ魂の列を見た事があるかや?」
「あ、はい…見た事はあります。無数の魂が列をなしている所を…」
 いつかトールが管理局長に摘まみあげられた、あの魂の集まる場所を、リリアもサラも幾度か目にした事があった。
「そうか、では話は早い。その時、魂は実態を持っておらなんだか?」
「…………そう言われると、確かに淡く光る光の球に見えましたが…」
 無数の光る球が、行儀よく並んでいる所を、確かにリリアは見てはいたが、その時はそれが実体だとは思えなかった。 
 だが、よく考えてみれば、あれは光る球形の物体であったとも言えなくも無い。
「お主は、魂と葉エネルギーを溜めておく器じゃと考えておった様じゃが、それは妾達の考えとは少し違う。そもそも、お主等は精神体だけが、そのボディに宿っておると思っておる様じゃが、そこからして大間違いじゃと妾は考えておるのじゃ」
 マッパで検査装置に拘束されているサラも、ボーディの側で話を聞いていたリリアも、このボーディの予想外の言葉には疑問符を頭上に浮かべずにはいられなかった。
「そもそも精神体そのものがエネルギーを保有しておるのじゃ。そして魂と精神体とは切っても切れない関係にある。いや、言い換えれば切り離す事など不可能じゃと妾達は考えておる」
「「!?」」
 さすがにサラもリリアも、これには言葉も出ない。
「お主等が、管理局に本体と魂とを置いて来ておるといったが、それがそもそも間違いなのじゃ。お主等のそのボディには、しっかりと魂も入っておる」
「「はぁ~!?」」 
 サラもリリアが、揃って声をあげた。
「本体とやらがどんな造りをしておるのか、妾は知らぬ。じゃが、魂と精神体を切り離した…っと言うのは、お主等一体どこの誰に聞いたのじゃ?」
 未だ混乱中のサラとは違い、リリアはその問いかけに即座に答えた。
「管理局長です」
 その答えに、やれやれとボーディは肩を竦めながら、
「やはりな…。お主等、切り離した場など見ておらぬじゃろぅ?」
「ええ、まぁ…はい…」
 リリアが躊躇いがちに答えると、
「局長にまんまと騙されておるよ、お主等は」
 そうきっぱりとボーディは言い放った。
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