システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

私が馬鹿だったよ！

「ふむ…150.4、67.3、48.9、71.8か…」　
　検査機器に併設されたデスクに置かれた、液晶ディスプレイの様な物を見ながら、ボーディが呟く。
「ええ、ボディサイズとしては、その通りです。ですが、これは…」
　その呟きに、モフリーナが少し躊躇いがちに言葉を返す。
「お主の言いたい事、妾には分かるぞ…」
「やはり…そう思われますか？」
　その声は、素っ裸でガッチリとベッドに拘束され、強制的に検査を受けさせられているサラにも届いた。
「ちょ、何かめっちゃ不安になるんですけど！　何か問題でもあったんすか！？」
　ダンジョンマスターの２人の会話に、もの凄い不安に襲われていた。
「サラ…これも運命です…仕方ない事なのですよ、貴女にとって…」
　そこに追い打ちをかける様に、サラによよよと泣きまねをしながらリリアが声を掛けた。
「う、運命！？」
　サラが愕然としてリリアへと視線を向けようとした。
　頭までベッドに拘束されてしまっているサラは、首を動かす事が出来ない為、目だけで必死に声の主であるリリアを探すが、視界にリリアの姿は見えない。
　まあ、リリアは意地悪くも意図的にサラの死角に立っているだけなのだが。
「ちょ、誰か説明して下さいよ！　もう私の身体は限界とかなんですか！？」
　誰も疑問に答えてくれない為、微妙にサラの目には涙が滲んできている。

　モフレンダは、悲痛なサラの叫びなど完全に無視して、検査によって測定された数値の羅列を見つめていた。
　そして、寡黙な彼女は、徐にサラの元へと歩み寄ると、口を開いた。
「…可哀想なぐらい…平原…」
「へっ？」
　モフレンダの言葉の意味をサラは理解出来なかった。
「うむ、地平線まで障害物が見当たらんのぉ…」
　次いでボーディが、
「…床？」
　モフリーナが次々に声をあげた。
　ここに来て、サラにも何の話だか、だんだん理解出来て来た。
「お、お前等…」
　そして、止めのリリアの一言。
「凸凹が無い。10歳児よりもつるっつる。サラの胸は…ぬりかべ？」
「人の事、すっぽんぽんにひん剥いといて、感想がそれかーーーーー！　それかーーーー！　それかーーー！」　
　サラの絶叫が木霊した。

「ま、まぁ…そう怒るな。お主のそのつる…まな…ぬりか…いや、慎ましやかな胸にも、良い所はあるのじゃから」
　ちょっと言い過ぎたとでも感じたのだろうか、ボーディが何とか取り繕おうとしたが、
「あぁ～ん？　良い所って、どこよ？」
　ちょっとサラはグレかけていた。
「あ～、ん～…キレイなピンクな所かのぉ？」
　何とかボーディが捻り出したのがそれだった。
「お前、馬鹿にしてんのかー！」
　完全にサラがキレた。
「さ、サラ様、落ち着いてください。ボーディ様の仰る通り、良い所もあるんですから…」
　巨乳のモフリーナがなだめようとしたところで藪蛇である。
「あんたは胸にた～っぷり脂肪が詰まってていいよなー！　あたしゃどうせツルペタだよ！」
　キレてグレてる。
「そう怒る物ではないですよ、サラ。貴女の良い所は、私が一番よく知ってます」
　そう言って、ベッドの上のサラを覗き込みながら、慈愛に満ちた顔で声を掛けるリリア。
「り、リリア…」
　サラとリリアは、もうかなり長い付き合いである。
　ストーカーだのガチレズのドSだのと、今まで散々にリリアの事を酷評していたサラではあった。
　だが、本当は味方だったんだと、サラはリリアへの今までの態度を悔やんだ。
　こいつってば、実はかなり良い奴だったんだ…何で私はこんな良い奴を嫌ってたんだろう…反省しよう…。
「鞭と蝋燭で責めても壊れない合法ロリなんて、なかなか探しても居ないですからねぇ」
「ちょっとでもお前を良い奴だと思った、私が馬鹿だったよ！」