システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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悪霊退散

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 薄暗い寝室の隅っこに、幽霊が体育座りをしてしくしくと泣いていた。
 長い髪をだらりと前に垂らし、表情は完全に隠れていたのだが、何故だか恨みがましい目をしている様に感じた。
 あまりの衝撃に思わず腰を抜かしてへたり込んでいると、その女幽霊はズルリズルリと音を立てて床を這いずり近寄って来た。
「あ、悪霊退散、退散、たいさーーーーん!」
 俺は数珠なんて持ってないし大幣だって持ってない!
 悪霊を払う道具なんて何一つ持っちゃいない! 禊も払いも出来るわけ無い!
 それでも手を合わせて「何枚だ…じゃなくて、なんまいだーーー!」と祈る事ぐらいは出来るのだ!
「ぁ…ぁくりょぅじゃ…ないですぅ……ぉぉかゎさん…ひどぃですぅ…」
 悪霊の言葉に耳を貸したら駄目だ! 魂が阿鼻地獄に引きずり込まれてしまう!
「ええい、さっさと退散しろ、この悪霊がーーーー!」
 ズルリズルリと音を立て、長い前髪を揺らしながら異様な動きで俺に近づく悪霊。
「た……たすけてぇ……」
 女幽霊が俺に向かってその青白い手を伸ばす。
「ぎゃーーーーーーーー!」
 俺の人生はここで終わるのか! 呪いのビデオなんて見て無いんだぞ!
 それにこの邸には古井戸なんて無いんだ! なのに何でこんな奴が出てきたんだ!?
「は…話を…聞いてぇ…」

「ちくそー! こうなったらやってやる! 悪霊だろうが貞〇だろうが、やってやるから覚悟しろ! へ・ん・し・ん…とぅ!」
 別にジャンプした分けじゃないけれど、両手を大きく天井に向かって伸ばして変身ポーズ!
 腰に巻いた変身ベルトのシャッターが、カシャン! と開いて風車が回わる! ギュイーン! 
 俺の周りにキラキラとメタリックなエフェクトが舞い降り、それが身体に纏わりついて集まると変身プロセス完了!
 銀色の全身鎧が俺の身体を包んだ。
 変身ポーズをとった後の変身プロセスは、わずか0.05秒間で完了する。
 腰のナイフを引き抜くと、それは片手剣ほどの大きさへと変わる。
「エネルギーブレード!」
 そして、左手でグリップ付近から剣先までをなぞると、片手剣は薄暗い寝室では眩しい程に青く輝いた。
「さあ、どっからでもかかって来い! 成仏させてやるぞ悪霊め!」
 
 俺は薄暗い部屋の中で悪霊と対峙した………あれ?
 エネルギーブレードの青い輝きに照らされた悪霊は、どっかで見た様な服を着ている。
「だから…話を聞いてっていってるのに、大河さん…」
 そうもこの悪霊は、サラの姿を模して居る様だ。
 くっ…悪霊め! 俺の良心を突いて来るとか、なかなか狡猾な奴だな。
「悪霊じゃ無いから、ちょっと話を聞いてくださいって!」
 このサラもどきめ…いや、もしやサラに悪霊が憑りついたのか? 
「だーかーらー! 話を聞けっていってんでしょうがーーーー!」
 まるでサラの様だ。管理局の手先であるサラは、俺の近い将来敵となるだろうが、それでも長年一緒にいた奴だ。
 それがこんな悪霊に取り付かれたままなど、やはりる良心が咎める…。
「くそ、サラの真似が上手いな、この悪霊め! 今助けてやるぞ、サラ!」
 俺の手で成仏させてやらねば!
「だから、悪霊じゃねーーーって言ってんだろうが、このお馬鹿がーーーー!」
 どっから取り出したのか、サラの姿を真似た悪霊がドデカいハリセンで俺をスパパーン! と、ぶっ叩いた。
「あれ? 本物のサラ?」
「やっと正気になったか、この脳タリン転生者がーーー!」
 更にハリセンで俺に追撃の一打を加えたサラ。

「何でサラが悪霊の振りなんてしてんだよ?」
「最初っからそんな振りしとらんわ!」 
 薄暗い寝室で、俺のエネルギーブレードの輝きに照らし出されたサラは、何故かプンプンと起こっていた。
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