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水晶玉
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「ってことは、大河さんって…二重人格だったのかぁ」
リリアの説明を受けたサラが考えた結果出した答えがこれだ。
だが、それは完全な間違いとまでは言えないが、正しい認識でもない。
「二重人格とは少し違いますね。元々は1つの存在だった彼等が1つになっただけの事で、分かれていた彼の分け身とも言える存在が、彼自身の思考を読み取って自ら協力するために別の思考となった…っと言ったところでしょう」
「うん、リリアの説明は、ややこしすぎて全然理解出来ねー!」
確かにリリアの説明は、少々難解ではある。
これをお馬鹿なサラに理解しろと言うのも酷な事だろう。
「簡単にいれば、別次元からやって来た彼の分け身が、彼を手助けしているという事です」
「なるほど…それなら理解出来た! あれ? でも、それならもしかしたら、大河さんって並列思考って何個出来るんだろう?」
リリアの説明に、ぽんと手を打って理解を示したサラが、リリアがあえて言及しなかった部分に気付いてしまった。
「気付いてしまった様ですね。現在の所、彼の思考は並列だけです。中央演算装置で言えばデュアルコアですね」
「急に分り易い説明になったなぁ…」
「ですが、実はその影に複数のコアがある可能性があります。いえ、休眠状態なのかもしれません」
「ってことは、クアッドコア?」
「彼と同化したエネルギー体の数を考えると、数え切れない数のコア数の可能性があります。そして、まだまだ増える可能性も」
元々、トールヴァルドは転生前は地球で大河芳樹として生きていたのだが、その魂は実は太古に分裂した巨大なエネルギー体であった。
エネルギー体を水晶玉として置き換えて考えると分り易いかも知れない。
その水晶玉が、無数の次元世界を擁するこの世界を生み出すため、一時的にエネルギーを過剰に使用した。
使用したエネルギー量がどれほどのものだったのか、観測できたものが居ない為、正確に数値化は出来ない。
だが、あまりにも一気にエネルギーを放出してしまったため、水晶玉は砕けてしまった。
その破片の1つ1つが、数多の次元世界へと飛び散り、それぞれがその次元世界に存在する生命体へと宿った。
それは、次元は違えども、非常に似通った魂の形をしていた。
大河芳樹には、砕けた水晶の破片の中でも、比較的大きな物が宿っていた。
いや、破片の大きさではベスト3に数えられるほど大きかった。
破片の多くは、各々が入り込んだ次元世界でそれぞれの人生を謳歌し、覚醒へと至り、輪廻転生の輪から解脱した。
そして次元間を渡る能力を身に付ける事が出来るようになった。
覚醒し、見事解脱を果たした魂は自らの内面…つまりルーツへと思索を巡らす。
すると、別次元に自分と元は同じ存在であった者達の存在を知る事になる。
次元間を渡れる彼等は、それぞれ引き寄せ合う様に、次元を渡り出会った。
彼等は思う。
元の姿を取り戻したい…と。
だが、どうしてもベスト3の大きな欠片の内、2つは見つける事が出来なかった。
残る1つは、何故か変わった星に転生し、未だ覚醒出来ていない。
だが、器はかなり大きく育っていた。
彼等を受け入れるだけの…巨大なエネルギーを受け止める事が出来るだけの器を。
なので、小さな欠片達から、少しづつ彼の元へと集まり、そっとその内に入り込んだ。
彼等の意識は休眠したが、エネルギーは必要があれば、その大きな欠片が自由に使える様に。
遠くの次元から観察していた、未だ同化できない欠片達は、彼の覚醒をゆっりと待とうと考えた。
覚醒さえすれば、ほとんどの欠片達が元の様に同化できるのだから。
しかし、彼の覚醒を邪魔しようとする存在が居る事に気が付いた。
その抵抗手段として、思考を分割しようとしている事も。
だからこそ、彼と同化した同朋を眠りから起こした。
新たな彼の思考となり、彼の覚醒を邪魔しようとする者から護るべく…。
リリアの説明を受けたサラが考えた結果出した答えがこれだ。
だが、それは完全な間違いとまでは言えないが、正しい認識でもない。
「二重人格とは少し違いますね。元々は1つの存在だった彼等が1つになっただけの事で、分かれていた彼の分け身とも言える存在が、彼自身の思考を読み取って自ら協力するために別の思考となった…っと言ったところでしょう」
「うん、リリアの説明は、ややこしすぎて全然理解出来ねー!」
確かにリリアの説明は、少々難解ではある。
これをお馬鹿なサラに理解しろと言うのも酷な事だろう。
「簡単にいれば、別次元からやって来た彼の分け身が、彼を手助けしているという事です」
「なるほど…それなら理解出来た! あれ? でも、それならもしかしたら、大河さんって並列思考って何個出来るんだろう?」
リリアの説明に、ぽんと手を打って理解を示したサラが、リリアがあえて言及しなかった部分に気付いてしまった。
「気付いてしまった様ですね。現在の所、彼の思考は並列だけです。中央演算装置で言えばデュアルコアですね」
「急に分り易い説明になったなぁ…」
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「ってことは、クアッドコア?」
「彼と同化したエネルギー体の数を考えると、数え切れない数のコア数の可能性があります。そして、まだまだ増える可能性も」
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その水晶玉が、無数の次元世界を擁するこの世界を生み出すため、一時的にエネルギーを過剰に使用した。
使用したエネルギー量がどれほどのものだったのか、観測できたものが居ない為、正確に数値化は出来ない。
だが、あまりにも一気にエネルギーを放出してしまったため、水晶玉は砕けてしまった。
その破片の1つ1つが、数多の次元世界へと飛び散り、それぞれがその次元世界に存在する生命体へと宿った。
それは、次元は違えども、非常に似通った魂の形をしていた。
大河芳樹には、砕けた水晶の破片の中でも、比較的大きな物が宿っていた。
いや、破片の大きさではベスト3に数えられるほど大きかった。
破片の多くは、各々が入り込んだ次元世界でそれぞれの人生を謳歌し、覚醒へと至り、輪廻転生の輪から解脱した。
そして次元間を渡る能力を身に付ける事が出来るようになった。
覚醒し、見事解脱を果たした魂は自らの内面…つまりルーツへと思索を巡らす。
すると、別次元に自分と元は同じ存在であった者達の存在を知る事になる。
次元間を渡れる彼等は、それぞれ引き寄せ合う様に、次元を渡り出会った。
彼等は思う。
元の姿を取り戻したい…と。
だが、どうしてもベスト3の大きな欠片の内、2つは見つける事が出来なかった。
残る1つは、何故か変わった星に転生し、未だ覚醒出来ていない。
だが、器はかなり大きく育っていた。
彼等を受け入れるだけの…巨大なエネルギーを受け止める事が出来るだけの器を。
なので、小さな欠片達から、少しづつ彼の元へと集まり、そっとその内に入り込んだ。
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遠くの次元から観察していた、未だ同化できない欠片達は、彼の覚醒をゆっりと待とうと考えた。
覚醒さえすれば、ほとんどの欠片達が元の様に同化できるのだから。
しかし、彼の覚醒を邪魔しようとする存在が居る事に気が付いた。
その抵抗手段として、思考を分割しようとしている事も。
だからこそ、彼と同化した同朋を眠りから起こした。
新たな彼の思考となり、彼の覚醒を邪魔しようとする者から護るべく…。
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