システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

文字の大きさ
上 下
1,149 / 1,466

水晶玉

しおりを挟む
「ってことは、大河さんって…二重人格だったのかぁ」
 リリアの説明を受けたサラが考えた結果出した答えがこれだ。 
 だが、それは完全な間違いとまでは言えないが、正しい認識でもない。
「二重人格とは少し違いますね。元々は1つの存在だった彼等が1つになっただけの事で、分かれていた彼の分け身とも言える存在が、彼自身の思考を読み取って自ら協力するために別の思考となった…っと言ったところでしょう」
「うん、リリアの説明は、ややこしすぎて全然理解出来ねー!」
 確かにリリアの説明は、少々難解ではある。
 これをお馬鹿なサラに理解しろと言うのも酷な事だろう。
「簡単にいれば、別次元からやって来た彼の分け身が、彼を手助けしているという事です」
「なるほど…それなら理解出来た! あれ? でも、それならもしかしたら、大河さんって並列思考って何個出来るんだろう?」
 リリアの説明に、ぽんと手を打って理解を示したサラが、リリアがあえて言及しなかった部分に気付いてしまった。
「気付いてしまった様ですね。現在の所、彼の思考は並列だけです。中央演算装置で言えばデュアルコアですね」
「急に分り易い説明になったなぁ…」
「ですが、実はその影に複数のコアがある可能性があります。いえ、休眠状態なのかもしれません」
「ってことは、クアッドコア?」
「彼と同化したエネルギー体の数を考えると、数え切れない数のコア数の可能性があります。そして、まだまだ増える可能性も」
 
 元々、トールヴァルドは転生前は地球で大河芳樹として生きていたのだが、その魂は実は太古に分裂した巨大なエネルギー体であった。
 エネルギー体を水晶玉として置き換えて考えると分り易いかも知れない。
 その水晶玉が、無数の次元世界を擁するこの世界を生み出すため、一時的にエネルギーを過剰に使用した。
 使用したエネルギー量がどれほどのものだったのか、観測できたものが居ない為、正確に数値化は出来ない。
 だが、あまりにも一気にエネルギーを放出してしまったため、水晶玉は砕けてしまった。
 その破片の1つ1つが、数多の次元世界へと飛び散り、それぞれがその次元世界に存在する生命体へと宿った。
 それは、次元は違えども、非常に似通った魂の形をしていた。
 大河芳樹には、砕けた水晶の破片の中でも、比較的大きな物が宿っていた。
 いや、破片の大きさではベスト3に数えられるほど大きかった。
 破片の多くは、各々が入り込んだ次元世界でそれぞれの人生を謳歌し、覚醒へと至り、輪廻転生の輪から解脱した。
 そして次元間を渡る能力を身に付ける事が出来るようになった。
 覚醒し、見事解脱を果たした魂は自らの内面…つまりルーツへと思索を巡らす。
 すると、別次元に自分と元は同じ存在であった者達の存在を知る事になる。
 次元間を渡れる彼等は、それぞれ引き寄せ合う様に、次元を渡り出会った。
 彼等は思う。
 元の姿を取り戻したい…と。
 だが、どうしてもベスト3の大きな欠片の内、2つは見つける事が出来なかった。
 残る1つは、何故か変わった星に転生し、未だ覚醒出来ていない。
 だが、器はかなり大きく育っていた。
 彼等を受け入れるだけの…巨大なエネルギーを受け止める事が出来るだけの器を。
 なので、小さな欠片達から、少しづつ彼の元へと集まり、そっとその内に入り込んだ。
 彼等の意識は休眠したが、エネルギーは必要があれば、その大きな欠片が自由に使える様に。

 遠くの次元から観察していた、未だ同化できない欠片達は、彼の覚醒をゆっりと待とうと考えた。
 覚醒さえすれば、ほとんどの欠片達が元の様に同化できるのだから。
 しかし、彼の覚醒を邪魔しようとする存在が居る事に気が付いた。
 その抵抗手段として、思考を分割しようとしている事も。
 だからこそ、彼と同化した同朋を眠りから起こした。
 新たな彼の思考となり、彼の覚醒を邪魔しようとする者から護るべく…。 
しおりを挟む
感想 725

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』

ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。 誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが

倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、  どちらが良い?……ですか。」 「異世界転生で。」  即答。  転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。  なろうにも数話遅れてますが投稿しております。 誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。 自分でも見直しますが、ご協力お願いします。 感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?

後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。 目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。 日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。 そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。 さて、新しい人生はどんな人生になるのかな? ※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします! ◇◇◇◇◇◇◇◇ お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。 執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇ 9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます! 9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~

はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま) 神々がくじ引きで決めた転生者。 「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」 って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう… まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか

処理中です...