システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

戻ってくる

「帰ろ～帰ろ～、私は～元気～♪」
　ホワイト・オルター号の操縦席では、サラがやたら機嫌良く歌を歌いながら操縦桿を握っていた。　
「どこかで聞いたようなフレーズですね、その歌…」
　すぐ後ろに立つリリアが、サラの頭に残る妙な歌のフレーズに首を傾げていた。
「そうですかぁ～？　細かい事を気にしてたら、ハゲますよ～？」
　とても上機嫌なサラ。
「ハ・ゲ・ま・せ・ん！　私たちのこのボディーは。いつかエネルギーが尽きて活動停止することはありますが、基本的に成長も老化も起きません！　あなたのツルペタも、永久にそのままです！」
「ふっふ～ん！　そう言ってられるのも今のうちですよ～」
　リリアの皮肉も、何故か今日のサラには右から左。
「今のうち？」
　だが、リリアにはサラの言葉に妙な引っ掛かりを感じた。
「そ、今のうちです。そのうち、スーパーダイナマイツボディーのサラちゃんに大変身です！」
　サラの自信満々のその言葉に、多少思うところが有りはしたが、リリアはぐっと口を噤んだ。
「お舟は飛ぶよ～、君を乗せて～♪」
　やっぱりどこかで聞いたようなフレーズの歌を口ずさみながら、上機嫌のサラは山脈越えのポイントを目指して空を飛ぶのだった。

　
　北の地の、碧く透き通った美しく巨大な湖の畔の林には、空へと飛び立った真っ白な飛行船をひっそりを見送る猫耳の巨乳お姉さんが居た。　　
「無事に岐路についたようですね。概ね予定通りですか…」
　巨乳のお姉さん＝モフリーナは、そう言うと、
「では、私も予定通り村人を転移させるとしましょう」
　空の彼方へと飛び去る飛行船に手を振り続ける村人たちの方へと、モフリーナはゆっくりと歩き始めた。


『っという事で、今モフリーナは迎えに行っておるでな。お主の領地に住みたい者が居ったならば、連れて行くからその心づもりでおるように』
　執務の合間に掛かってきたボーディの通信によると、父さんたちは無事に調査（元々安全なんだが）を終えて、帰路についたという事だ。　　
　早ければ明日の夕刻には戻ってくるだろう。
　そんで、例の村人達は事前の打ち合わせ通り、モフリーナによってパンゲア大陸へ移住する為の段取りを進めているそうだ。
　父さんが引き連れて行った騎士や兵士達と村人達が過ごした時間は短かったものの、それでも良い感じになったのが何名かいるらしく、その者達は俺が領地で受け入れるつもりだ。
　落ち着いたら互いに引き合わせてあげるとしよう。
　出来るのであれば、王国の騎士や兵士を辞めて、俺の領地か父さんの領地にでも移り住んで所帯を持ってもらえたら嬉しいな。
　まあ、王都で所帯持ってもらっても良いんだけど…それでも、俺か父さんの領地出身って事にしないと、色々とまずいかもしれない。
　いや、遠く北の地で別れた人と、ひょっこり俺の領地とかで出会うって事の方が驚くかもしれない。
　この辺は、父さんを通してうまい事話してもらう必要があるかもしれない。

　さ、んじゃ姦しい管理局の2人も戻ってくることだし、本格的に覚醒への道へと突き進もうかね。