システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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 精進料理についての説明をした所、何とか俺の食事は普通の物…つまりは皆と同じ物に戻してくれる事となった。
 良かったよ~! あんなベジタリアンな食事では、早晩倒れるに違いない。
 いや、食事には大豆とかも使ってたから、すぐにどうこうならないかもしれないけど、それでも気分的に下がるもん。
 やっぱ肉だよ肉! 
 昔、社長が社員を引き連れて焼肉食いに行った時、「飯なんて頼むな! 男なら、吐くまで肉を食え!」って言ってた。
 あの時とは違うけど、やっぱ男なら肉だよ!
 漫画肉みたいなのは無理だけど…って、あれってどこの部位だ? 普通に食事には肉とか魚は欲しいじゃん。
 そもそもベジタリアンな種族なんて、この世界には居ないのに、何が悲しゅうて肉抜き食事なんだよ。
 俺の領地に住んでるエルフさん達だって、めっちゃ肉食うぞ!
 いや…あの筋肉至上主義のエルフさんの肉体が、野菜だけで出来あがるはずもないけど…。 

「ま、マチルダさん…トールさまのお食事が…元に戻りました!」
「声が大きいですよ、ミレーラさん。でもまあ、これで精力減退は防げそうです」
「うむ、マチルダの言う通りだ。今夜の食事はがっつり精の付く物を準備させよう!」
「い、イネスさん…それは、どういった物…を?」
「レバーだな」
「イネスさん、レバーなどの肉類だけではやはり不十分です。ここはニラレバにしましょう! あと、人魚さん達が持って来て下さった変な亀の血も良いと聞きますし、ウナギという蛇っぽい魚も精力がギンギンになるそうです」
「さ、流石…マチルダさん」
「うむ、では晩飯のメニューに関してはマチルダに一任しよう」
「さ、賛成です!」
「分かりました。不肖このマチルダが、がっつりと精の付く物をトールさまに食べさせましょう!」
 灯台下暗し。トールのすぐ近くで、何やら3人の嫁ーずが「ぐふふふふふ…」と、怪しい含み笑いをしながら話していた。
 だが、何やらユズユズ夫婦と漫才を始めたトールに、その声が届く事は無かった。

「ミルシェさん…あの3人…」
「めっちゃ企んでますね…」
 3人の暴走気味な声は、残る(現在勝ち組の)嫁ーず2人には届いていた。
「食事は良いとして、睡眠不足は問題だと思うのですが…」
「何言ってるの、メリルさん! 食事が戻っても、それで付いた精を全部吸い取ったら、意味ないですよ?」
 ミルシェの言っている事は正しい。
 いくら食事で勢力を増大させたからといって、それを全部吸い取る嫁3人による夜襲が、覚醒の妨げになるのは当然の事。
「そうね、ミルシェさんの言っている事は正しいわ。後で3人には、ほどほどにする様に私から言っておきます」
 メリルの言葉に、『ほどほどなら夜襲も許すんだ…』と、ミルシェは内心少しだけ呆れながら思ったとか。

「そもそも、小乗仏教の国では、肉も魚も食べていいんだぞ? だから精進料理圏はそんなに広く無いんだ!」
「「へぇ~」」
 その頃、トールは何やら熱く、ユズユズ夫婦に精進料理が何たるかを語っていた。
「しかも、最近では精進料理といえば、何故か観光化していて高級料理になってしまっているのだ! 本来の精進料理というものはだな、質素であるべきなのだ! そもそも、南北朝時代に武の皇帝が僧侶に肉類や酒類を口にする事を禁止してだな…」
「「ふ~~ん」」
 トールの熱い精進料理語りは、いつまでも続いていた。
 だが、それをユズユズ夫婦がちゃんと聞いていたかというと…実は、完全に右から左に流していた。
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