システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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ぷっちょう?

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「トールちゃん。私達も涙を飲んで、あなたの食事を制限しているのですよ」
 凄く真面目な顔で母さんはそう言った。
 無論、嫁ーずも凄く真剣な表情。
 誰もが世界の危機を憂いていて、俺に期待をしているって事なのか…そっか…。
 ならば、俺もその期待に応えねばなるまい! 
 一刻も早く覚醒をして、神とやらになってやろうでは無いか!
「よーーーし! 俺は神になる!」
 全員が集まる食堂で、俺は力強く声高らかに宣言すると、ぱちぱちと拍手が巻き起こった。

 そんなトールの直ぐ近くに座っていたメリルとミルシェ。
「ミルシェさん…お義母様は、真剣に覚醒を望んであんな食事にしたんでしょうけれど…」
「ええ、メリル。ミレーラとマチルダとイネスのあの顔は、きっと意味が違う気がします」
「ですよねぇ。だって、最近のトールさまの食事って、精が付くものばっかり詰め込んでましたものねぇ」
「粗食になった上に、トールさまとの夜の夫婦生活を制限されたから、あんな顔をしている気がしますよねぇ」
「私達は無事に御子を授かりましたけど…あの3人は…」
「すごいやる気でしたからねぇ…色々と…」
 メリルとミレーラが顔を突き合わせてこしょこしょと内緒話をしていたが、誰の耳にも届かなかった。

 アルテアン一家の下座に座る夫婦も、何やらごにょごにょと小声で話しをしていた。
「ねぇねぇ、柚希」
「ん?」
「柚希は、ちゃんと肉も食べてよね?」
「それを言うなら、柚夏もしっかり食べてよね。じゃないと、柚乃ちゃんにおっぱいあげられないから」
「うん! でも、おっぱい欲しいのは、柚乃ちゃんだけ?」
「え…あ…えっと…僕も…かな…」
「むふふ。ちゃんと判ってるわよ。今夜、柚乃ちゃんが寝たら…ね」
「…ぽっ」
 地球から輪廻転生システムのバグで転移してきてしまった、白須柚希と柚夏(旧姓 瀬尾)の夫婦は、第一子である柚乃ちゃんが生まれてもラブラブであった。
 だが、何だかこの夫婦は、微妙に変なプレイに覚醒しかけているかけている様な気がする。
 トールの覚醒が先か、この夫婦のヤバイ性癖が覚醒するのが先か、それは誰にも予測できないだろう。

「ところで…母さん達がユズユズ夫婦から聞いたっていう、この精進料理なんだけど…」
 高らかに宣言はしたよ? ええ、しましたとも。
 だけど、これだけは言っておかねばならない!
「お兄さま、精進料理がどうかされましたか?」
 いきなり話し始めた俺を、怪訝そうな顔で見つめるコルネちゃん。
「いや…これってとある宗教の戒律に基づくものだから、覚醒を目指す者が絶対に食べなきゃいけない料理って事じゃないよ?」
『えーーーーーー!!??』
 え、何で皆驚いてるの?
「え? 伯爵様、精進料理って輪廻転生の輪から解脱する人が必ず食べてるんじゃないんですか?」
「いや、ユズキよ。それは大きな間違いだぞ? これって基本的には仏教の教えだからな?」
 俺のそんな話を聞いたユリアちゃんが一言。
「ぷっちょう?」
 それはどっかお菓子の名前に似てるので危険です。
「仏教ね。まあ、生き物のを殺める事を避けて、粗食とか採食とかで精神を養うとかって意味があるらしいけど…」
 そう説明する俺に、ユズカが疑問を投げかけた。
「でもでも、伯爵様! 解脱って即身成仏してミイラになる事でしょ?」
「ユズカ、それは大きな間違いだ。それは即身仏な? 即身成仏が覚醒って意味では間違いじゃないけど、即身仏は全く別物だからな?」
「「へ~~~~」」
 ユズユズ夫婦が、そろって声をあげたけど…、
「お前等、そんな事も知らんで俺に精進料理を食わせようとしてたんかーーーい!」
「「てへっ!」」
 何を夫婦そろって舌ペロしてんだよ! 
 全然、可愛くないわ!
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