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精進料理
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執務室を飛び出したコルネちゃんとマチルダは、屋敷中に響く声で「緊急招集を開催します! 全員食堂に集合!」と叫び、俺とユズキを除く邸の女性陣を集めて何やら話し合っていた。
女性陣の話し合いは、実に長時間行われていた。
途中に昼食を挟んで続けられたのだが、食事の時間も俺とユズキは食堂への立ち入りを禁止された。
仕方なく、俺たちは応接室で食事をする事になったのだが、その配膳すら女性陣の誰もしてくれない。
ユズキが運んでくれはしたものの、なんだか寂しく感じたのは仕方ないことなんじゃないだろうか。
話し合いが終わったのは、もう陽も傾こうかという頃合い。
すでにおやつの時間は過ぎている時間だ。
我が家の女性陣が、食堂でどのような話し合いをしたのか、俺は詳しくは知らない。
…正確には知りたいとは思わない…だけど。
だって、聞くのが怖いじゃん、色々と。
だが、話し合いが終わって食堂から出てきた母さんやコルネちゃん、ユズカにドワーフメイド衆、そして妖精達に、まるで慈母の様な眼差しを向けられたのは何でだろうか…。
その後、何事もなく一日は過ぎ、就寝時間になっても俺の寝室はとても静かだった。
日々の狂乱が嘘のように、それはそれは静かだった。
もしかしたら一晩中ガツガツと迫ることが無いだけで、きっと今夜も一人では寝れないんだろうな…なんて考えてた俺の予想は見事に外れた。
まさか、肉食系嫁ーずが、こんなに聞き分けがいいとは思ってもみなかった。
そんなわけで、その日はゆっくりと寝ることが出来た。
久々に手足を伸ばして無防備に寝れるなんて、なんて素晴らしい夜なんだ!
いや、それでも超巨大なベッドの真ん中で小さく丸くなって寝てるんだけどさ。
翌朝、日の出と共にすっきりと目が覚めた俺は、冷たい水で顔を洗って着替えた後、裏庭へと向かう。
まあ、覚醒しろと言われて、すぐに覚醒できるわけではない。
しかも、何故か鍛錬中に要らん事をもやもやと考えていたせいで、しっかりと集中出来なかった。
こんな事では駄目だなぁ…と、自己嫌悪に陥りつつ、何でそうなったのかを考えてみた。
色々と集中出来なかった理由を考えてみたのだが、それこそ簡単に答えなど出るわけもない。
誰もが集中できるコツとか出来ない理由を知ることが出来たら、それこそこの世界は覚醒者だらけになっちゃうだろうから、当たり前といえば当たり前だ。
自室で軽く汗を流した俺は、再度着替えて朝食の場に。
食堂では、俺以外の全員が着席して俺を待っていてくれた。
俺が一番遅いなんて、ちょっと珍しいんじゃなかな?
そんな事を考えながら自分の席へと歩いていくと、
「それで、トールちゃん、覚醒できたの?」
いきなり母さんからそんな事を言われた。
「ひょえ? いや、多分出来てないと思うけど…」
「あら、そうなのね。早く覚醒しなさいよ」
いやにあっさりと引いたな…母さん。
俺が、ふとテーブルに着いた面々を見回すと、嫁ーず全員が一斉に視線を逸らした。
え、どうしたどうした?
首を捻りつつ席に着くと、ドワーフメイド衆が朝食を配膳してまわる…けど…ん?
「お兄様。本日から食事は野菜類を中心にしており、肉類は抜いております」
「おにくはたべちゃだめ!」
コルネちゃんとユリアちゃんの衝撃の言葉通り、俺の目の前には山盛りのサラダとパン。
あとは、どう見ても煮込んだだけの野菜スープ。
ば、バターもなしですか!?
「え、ダメなの? なんで?」
誰だって理由を聞くよね?
「トールちゃん。これは精進料理よ」
精進料理って…確かに聞いた事はあるけど…これって違うんじゃ?
「ユズキとユズカから話は聞きました。こういう食事を、彼らの祖国では精進料理と呼ぶそうですね」
要らん情報母さんに与えたのは、ユズユズお前らかー---!
「俗世からの解脱…そう、覚醒を目指す者の食事として、肉や魚などは食べてはいけないそうですね」
「そ、そうなの?」
いや、それは仏教の教えなんじゃなかったか?
「なので、あなたが覚醒するまでは、食事では肉も魚も禁止です!」
「んなあほなー----!」
女性陣の話し合いは、実に長時間行われていた。
途中に昼食を挟んで続けられたのだが、食事の時間も俺とユズキは食堂への立ち入りを禁止された。
仕方なく、俺たちは応接室で食事をする事になったのだが、その配膳すら女性陣の誰もしてくれない。
ユズキが運んでくれはしたものの、なんだか寂しく感じたのは仕方ないことなんじゃないだろうか。
話し合いが終わったのは、もう陽も傾こうかという頃合い。
すでにおやつの時間は過ぎている時間だ。
我が家の女性陣が、食堂でどのような話し合いをしたのか、俺は詳しくは知らない。
…正確には知りたいとは思わない…だけど。
だって、聞くのが怖いじゃん、色々と。
だが、話し合いが終わって食堂から出てきた母さんやコルネちゃん、ユズカにドワーフメイド衆、そして妖精達に、まるで慈母の様な眼差しを向けられたのは何でだろうか…。
その後、何事もなく一日は過ぎ、就寝時間になっても俺の寝室はとても静かだった。
日々の狂乱が嘘のように、それはそれは静かだった。
もしかしたら一晩中ガツガツと迫ることが無いだけで、きっと今夜も一人では寝れないんだろうな…なんて考えてた俺の予想は見事に外れた。
まさか、肉食系嫁ーずが、こんなに聞き分けがいいとは思ってもみなかった。
そんなわけで、その日はゆっくりと寝ることが出来た。
久々に手足を伸ばして無防備に寝れるなんて、なんて素晴らしい夜なんだ!
いや、それでも超巨大なベッドの真ん中で小さく丸くなって寝てるんだけどさ。
翌朝、日の出と共にすっきりと目が覚めた俺は、冷たい水で顔を洗って着替えた後、裏庭へと向かう。
まあ、覚醒しろと言われて、すぐに覚醒できるわけではない。
しかも、何故か鍛錬中に要らん事をもやもやと考えていたせいで、しっかりと集中出来なかった。
こんな事では駄目だなぁ…と、自己嫌悪に陥りつつ、何でそうなったのかを考えてみた。
色々と集中出来なかった理由を考えてみたのだが、それこそ簡単に答えなど出るわけもない。
誰もが集中できるコツとか出来ない理由を知ることが出来たら、それこそこの世界は覚醒者だらけになっちゃうだろうから、当たり前といえば当たり前だ。
自室で軽く汗を流した俺は、再度着替えて朝食の場に。
食堂では、俺以外の全員が着席して俺を待っていてくれた。
俺が一番遅いなんて、ちょっと珍しいんじゃなかな?
そんな事を考えながら自分の席へと歩いていくと、
「それで、トールちゃん、覚醒できたの?」
いきなり母さんからそんな事を言われた。
「ひょえ? いや、多分出来てないと思うけど…」
「あら、そうなのね。早く覚醒しなさいよ」
いやにあっさりと引いたな…母さん。
俺が、ふとテーブルに着いた面々を見回すと、嫁ーず全員が一斉に視線を逸らした。
え、どうしたどうした?
首を捻りつつ席に着くと、ドワーフメイド衆が朝食を配膳してまわる…けど…ん?
「お兄様。本日から食事は野菜類を中心にしており、肉類は抜いております」
「おにくはたべちゃだめ!」
コルネちゃんとユリアちゃんの衝撃の言葉通り、俺の目の前には山盛りのサラダとパン。
あとは、どう見ても煮込んだだけの野菜スープ。
ば、バターもなしですか!?
「え、ダメなの? なんで?」
誰だって理由を聞くよね?
「トールちゃん。これは精進料理よ」
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「ユズキとユズカから話は聞きました。こういう食事を、彼らの祖国では精進料理と呼ぶそうですね」
要らん情報母さんに与えたのは、ユズユズお前らかー---!
「俗世からの解脱…そう、覚醒を目指す者の食事として、肉や魚などは食べてはいけないそうですね」
「そ、そうなの?」
いや、それは仏教の教えなんじゃなかったか?
「なので、あなたが覚醒するまでは、食事では肉も魚も禁止です!」
「んなあほなー----!」
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