1,121 / 1,466
この馬鹿が問題
しおりを挟む
色々と…本当に色々とあったが、何とかヒナとミヤという幼女2人は、我が家に迎え入れられる事となった。
ミヤは元々迎え入れられてた気もするけど、まあそこは良いか。
そして、俺が留守中にコルネちゃんが頑張ってくれた執務だが、きっちり俺のサインが必要な書類だけが残されていた。
帰宅した翌日は、ただひたすらに積み上がった書類にサインをしまくりましたとも!
とは言っても、面倒な領地関連の書類や、俺のアルテアン商会に関する書類なども、しっかりと母さん主導で捌いてくれてたので、そう残された仕事は多くない。
あのコルネちゃんが成長したもんだなあぁ…しみじみ感慨深い。
俺が必死に書類にサインをしている間、執務室の窓辺にはミヤとヒナが並んで日向ぼっこをしていた。
2人共普段は着けていない銀ピカなカチューシャを頭に装着している。
2人は、ただ黙って目を瞑ったまま、日向ぼっこをしているだけ。
最初、並んでぽへ~っと床に女の子座りしている2人が気になって、「何してるの?」と訊ねたところ、エネルギー補給だという。
エネルギー補給って、俺の指をちゅぱちゅぱと吸うんじゃなかったっけ?
そう思った俺は、モフリーナへと通信して確認してみると、意外な事が判った。
モフリーナの言によると、どうやら二人は太陽光で肉体の…つまりは生命維持活動に必要なエネルギーを補充できるらしい。
無論、飲食でもある程度のエネルギー補給は可能らしいのだが、それ以上に太陽光の方が効率が良いとか。
光合成? いやいや、それなら何で俺の指をちゅぱちゅぱと吸ったんだ?
そう疑問に感じたのだが、どうやらあれは戦闘時に必要なエネルギーの補充だとか。
もちろん、最初に起動させる時にも多大なエネルギーが必要らしく、俺の指をちゅぱちゅぱ吸ってたそうだが、本来であれば戦闘時に必要とされるエネルギーを摂取するためだとか。
魂のエネルギーって、一体何なのだろうか…めっちゃ不思議だ。
そんなわけで、起動も無事に終わって、特に戦闘の予定もない現在。
2人は生命活動維持のためのエネルギー補給中なんだと。
俺には日当たりのいい窓辺に仲良く並んでお昼寝している様にしか見えないのだけど、そういう事らしい。
ほのぼのとした幼女の日向ぼっこを横目に、俺は残る書類の山を切り崩すのであった。
夜の湖畔の村は、連日大宴会絶賛開催中であった。
トールが見たら、どこのキャンプファイヤーだ! っとツッコミを入れそうなほど、太い薪を井桁に高く組んだ焚火を中心に、貧相な服装の村人たちと、鎧を脱いだ兵士や騎士達が木製のジョッキで酒をあおり、ヴァルナル達が持ち込んでいた食料をこれでもかと大盤振る舞いし、飲めや歌えの大騒ぎに。
そんな光景を湖に浮かぶホワイト・オルター号のキャビンの窓から、サラとリリアはぼうへっと眺めていた。
「あっちは楽しそうですねぇ…」
「ええ」
「リリアはお腹空かないっすか?」
「別に」
「まあ、別にこの身体は物を食べる必要ないっすけど…あんなの見たら、お腹すくじゃないですか?」
「へぇ~」
「何か食べない?」
「要らない」
あまりにも静かすぎるこのキャビンの空気感に堪えられなくなったサラが、一生懸命にリリアに話しかけていた。
そんなサラの努力など、リリアにはそれこそ空気の様に流されるだけだった。
「リリア…もしかして、局長の事考えてる?」
そんなリリアの様子を見ていれば、いかにお馬鹿なサラであっても思う所はある。
「ええ、まぁ…」
リリアが考えていた事…それは、何故管理局が…いや、局長がいきなり自分を切り捨てたのかという事。
何度考えても、リリア自身、己に落ち度があった様には感じられない。
また、局長の計画が大幅に狂った様にも感じられなかった。
考えられる落ち度といえば、それはうっかりお馬鹿なサラの行動ぐらいなものだ。
サラは馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、リリアにもサラの行動の何が局長の怒りに触れたのかが分からない。
それが分からない事には、現在の管理局と連絡が取れない状況を打破する方法も見えてこない。
「はぁ…何が問題なのでしょうねぇ…」
大きなため息を吐き出しながら、リリアがぽつりと呟いた。
その横ではどこから持ってきたのか、サラが大皿に乗せたクッキーの山を両手でつかんでは口に次々と放り込み続け、まるでリスの様に頬が膨らんでいた。
「この馬鹿が問題なんでしょうけれどねぇ…はぁ~~~~~~」
頬をクッキーでパンパンに膨らませたサラを見たリリアは、更に大きなため息をつくのだった。
ミヤは元々迎え入れられてた気もするけど、まあそこは良いか。
そして、俺が留守中にコルネちゃんが頑張ってくれた執務だが、きっちり俺のサインが必要な書類だけが残されていた。
帰宅した翌日は、ただひたすらに積み上がった書類にサインをしまくりましたとも!
とは言っても、面倒な領地関連の書類や、俺のアルテアン商会に関する書類なども、しっかりと母さん主導で捌いてくれてたので、そう残された仕事は多くない。
あのコルネちゃんが成長したもんだなあぁ…しみじみ感慨深い。
俺が必死に書類にサインをしている間、執務室の窓辺にはミヤとヒナが並んで日向ぼっこをしていた。
2人共普段は着けていない銀ピカなカチューシャを頭に装着している。
2人は、ただ黙って目を瞑ったまま、日向ぼっこをしているだけ。
最初、並んでぽへ~っと床に女の子座りしている2人が気になって、「何してるの?」と訊ねたところ、エネルギー補給だという。
エネルギー補給って、俺の指をちゅぱちゅぱと吸うんじゃなかったっけ?
そう思った俺は、モフリーナへと通信して確認してみると、意外な事が判った。
モフリーナの言によると、どうやら二人は太陽光で肉体の…つまりは生命維持活動に必要なエネルギーを補充できるらしい。
無論、飲食でもある程度のエネルギー補給は可能らしいのだが、それ以上に太陽光の方が効率が良いとか。
光合成? いやいや、それなら何で俺の指をちゅぱちゅぱと吸ったんだ?
そう疑問に感じたのだが、どうやらあれは戦闘時に必要なエネルギーの補充だとか。
もちろん、最初に起動させる時にも多大なエネルギーが必要らしく、俺の指をちゅぱちゅぱ吸ってたそうだが、本来であれば戦闘時に必要とされるエネルギーを摂取するためだとか。
魂のエネルギーって、一体何なのだろうか…めっちゃ不思議だ。
そんなわけで、起動も無事に終わって、特に戦闘の予定もない現在。
2人は生命活動維持のためのエネルギー補給中なんだと。
俺には日当たりのいい窓辺に仲良く並んでお昼寝している様にしか見えないのだけど、そういう事らしい。
ほのぼのとした幼女の日向ぼっこを横目に、俺は残る書類の山を切り崩すのであった。
夜の湖畔の村は、連日大宴会絶賛開催中であった。
トールが見たら、どこのキャンプファイヤーだ! っとツッコミを入れそうなほど、太い薪を井桁に高く組んだ焚火を中心に、貧相な服装の村人たちと、鎧を脱いだ兵士や騎士達が木製のジョッキで酒をあおり、ヴァルナル達が持ち込んでいた食料をこれでもかと大盤振る舞いし、飲めや歌えの大騒ぎに。
そんな光景を湖に浮かぶホワイト・オルター号のキャビンの窓から、サラとリリアはぼうへっと眺めていた。
「あっちは楽しそうですねぇ…」
「ええ」
「リリアはお腹空かないっすか?」
「別に」
「まあ、別にこの身体は物を食べる必要ないっすけど…あんなの見たら、お腹すくじゃないですか?」
「へぇ~」
「何か食べない?」
「要らない」
あまりにも静かすぎるこのキャビンの空気感に堪えられなくなったサラが、一生懸命にリリアに話しかけていた。
そんなサラの努力など、リリアにはそれこそ空気の様に流されるだけだった。
「リリア…もしかして、局長の事考えてる?」
そんなリリアの様子を見ていれば、いかにお馬鹿なサラであっても思う所はある。
「ええ、まぁ…」
リリアが考えていた事…それは、何故管理局が…いや、局長がいきなり自分を切り捨てたのかという事。
何度考えても、リリア自身、己に落ち度があった様には感じられない。
また、局長の計画が大幅に狂った様にも感じられなかった。
考えられる落ち度といえば、それはうっかりお馬鹿なサラの行動ぐらいなものだ。
サラは馬鹿だ馬鹿だとは思っていたが、リリアにもサラの行動の何が局長の怒りに触れたのかが分からない。
それが分からない事には、現在の管理局と連絡が取れない状況を打破する方法も見えてこない。
「はぁ…何が問題なのでしょうねぇ…」
大きなため息を吐き出しながら、リリアがぽつりと呟いた。
その横ではどこから持ってきたのか、サラが大皿に乗せたクッキーの山を両手でつかんでは口に次々と放り込み続け、まるでリスの様に頬が膨らんでいた。
「この馬鹿が問題なんでしょうけれどねぇ…はぁ~~~~~~」
頬をクッキーでパンパンに膨らませたサラを見たリリアは、更に大きなため息をつくのだった。
0
お気に入りに追加
1,833
あなたにおすすめの小説
異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。

死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
成長促進と願望チートで、異世界転生スローライフ?
後藤蓮
ファンタジー
20年生きてきて不幸なことしかなかった青年は、無職となったその日に、女子高生二人を助けた代償として、トラックに轢かれて死んでしまう。
目が覚めたと思ったら、そこは知らない場所。そこでいきなり神様とか名乗る爺さんと出会い、流れで俺は異世界転生することになった。
日本で20年生きた人生は運が悪い人生だった。来世は運が良くて幸せな人生になるといいな..........。
そんな思いを胸に、神様からもらった成長促進と願望というチートスキルを持って青年は異世界転生する。
さて、新しい人生はどんな人生になるのかな?
※ 第11回ファンタジー小説大賞参加してます 。投票よろしくお願いします!
◇◇◇◇◇◇◇◇
お気に入り、感想貰えると作者がとても喜びますので、是非お願いします。
執筆スピードは、ゆるーくまったりとやっていきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇
9/3 0時 HOTランキング一位頂きました!ありがとうございます!
9/4 7時 24hランキング人気・ファンタジー部門、一位頂きました!ありがとうございます!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

くじ引きで決められた転生者 ~スローライフを楽しんでって言ったのに邪神を討伐してほしいってどゆこと!?~
はなとすず
ファンタジー
僕の名前は高橋 悠真(たかはし ゆうま)
神々がくじ引きで決めた転生者。
「あなたは通り魔に襲われた7歳の女の子を庇い、亡くなりました。我々はその魂の清らかさに惹かれました。あなたはこの先どのような選択をし、どのように生きるのか知りたくなってしまったのです。ですがあなたは地球では消えてしまった存在。ですので異世界へ転生してください。我々はあなたに試練など与える気はありません。どうぞ、スローライフを楽しんで下さい」
って言ったのに!なんで邪神を討伐しないといけなくなったんだろう…
まぁ、早く邪神を討伐して残りの人生はスローライフを楽しめばいいか
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる