システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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なんですけど!

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 なんですとー? 母さんが来てるのかー!?
 こ、こりはやぶぁい! 
 こんな事してる場合じゃない! 早くお出迎えせねば…ん?
 俺が蹴り抜いた姿勢のままピタッと止まり、ミルシェの声がした方を振り向いたのだが、そのこ母さんの姿は無し。
「あれっ? 母さんは??」
 思わず団子になっている我が家の女性陣+ダンジョンマスター達へと声を掛けたのだが、誰も何も答えてくれない。
「あ~、ちょっといいかのぉ」
 っと思ったら、ボーディから声が掛かった。
「どうした? 母さんどっか行ったのか?」
 トイレかな? まあ、トイレも近くなるだろう…そろそろいい歳なんだし…って、絶対に面と向かって行っちゃいけない言葉だな。
「いやいや、それは嘘じゃよ。お主を止めるために、お主の嫁御が嘘を吐いてくれたんじゃ」
 俺を止める為? 何で? 何のために? 
 普通に声を掛けてくれたらよかったじゃん。
 母さんが来たのかと思って、めっちゃビビったんだぞ、俺。

「嘘を吐いた事は謝ります。ごめんなさい…トールさま」
「いえ、ミルシェさんに指示をしたのは私です! お叱りは私に!」
 ミルシェがちょびっと涙目になって、俺の元に駆け寄って来た。
 それに続いて、メリルも何やら叫びながら俺の目の前に走って来たけど…。
「いや、別に怒って無いけど?」
 うん、これ結構マジで怒ってません。
 ちょっと吃驚しただけなんですけど。
「悪いことをしたのぉ…。これは妾の責任じゃから、そう嫁御を攻めんでやってくれぬか?」
 ボーディまでそんな事を言い出したけど…。
「いや、本当の本当に怒ってないから。ってか、何で止めたの?」
 そんなちっちゃい嘘ぐらいで騒ぐような俺じゃないけど、型稽古の途中で止められた事の方が気になる。
 何か緊急事態でもあったのかな?
「ああ、それなんじゃが…お主にこんな所で覚醒してもらっては困るのじゃ」
 妙に真剣な表情でボーディがそう言ったけど、覚醒? 俺が?
「まあ、ヒナとミヤはある種の結界で脳波が管理局にモニターされぬ様に調整してはおるが、幸いなことに、この場の全員が例の薬を飲んでおる」
 例の薬って、つまりは管理局に偽情報を流してくれるナノマシン的なアレの事だよね?
「じゃが、お主が覚醒してしまうと、その情報は隠し様が無いのじゃ」
「つまり?」
「つまり、お主が覚醒した瞬間に、その情報は管理局の知る所となる。無論、解放魂魄統轄庁にも情報は伝わるのじゃがな」
「んっ?」
 ボーディの説明は、いまいち俺には良く分からん。
 これって、俺がアホなだけなんでしょうか…。
「何で情報が伝わるの? ってか、俺って覚醒しそうだったの?」
 そうだ、確かさっきボーディは『こんな所で覚醒してもらっては困る』って言ってたよな?
「ああ、お主は覚醒寸前じゃった。正確には、輪廻転生の輪からの解脱寸前じゃった。より詳しく説明するとじゃな…つまりはお主は人という種族から位階を上げるところじゃったのじゃ」
 『じゃが』が多くて、ボーディの話の内容が頭に入ってこんのじゃが?
「えっと…つまり、俺って人じゃなくなるって事なの?」
「うむ、その通りじゃ」

 ここまで黙って俺達のやり取りを聞いていた我が家の女性陣が、急に騒ぎ出した。
「ちょ、ちょっと待ってください! トールさまが人でなくなるのであれば、もう子供は出来ないって事ですか!?」
 えっと、マチルダさんや…心配するのはそこ? 
「なんだと!? それでは覚醒したら子作りは出来ぬと言うのか!?」
 イネスさんも、同じ事を心配してんの?
「…私…まだ妊娠してないんですけど…」
 ミレーラさん、そんな泣きそうな顔しなくても…。
「私は妊娠してます!」「同じく私も!」
 妙にかちほっこったドヤ顔をしているメリルとミルシェ。
 だけど、今そんな事をこの場で言ったら、絶対に全員から…ほら、白い目で見られた。
「ちょっと待ってください! 私達は、そもそもまだなんですけど!」「「「順番待ち中なんですけど!」」」
 ナディア、アーデ、アーム、アーフェン…お前等、何を言い出すんだ!?
「「いいなぁ…」」
 ヒナとミヤは黙っとこうか?

「あ~…。お主等は何か勘違いしておるようじゃが…位階が上がっても、子作りは出来るぞよ?」
 騒がしい女性陣に向かって、ボーディがぽつりとそう告げた。
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