システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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寂しく感じます

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 ヒナとミヤの集中講義が行われている遥か彼方の大陸では、サラとリリアが飛行船のキャビンの片隅で何やらこそこそと話をしていた。

「でも、大河さんにお願いして上手くいくものなんでしょうか?」
「サラが不安に思う気持ちもわからなくはないですが、それ以外に方法はないと思いますよ?」
 二人が話しているのは、つまりは自分体の命の危機が迫っている事への対策だ。
「だって、管理局にある私たちの本体って、そのままなわけでしょう?」
「アクセス出来ない以上は、戻る事も不可能なわけですから、その通りでしょうね」
 結構不安げな顔で話しかけるサラとは違い、以外とリリアはあっさりしていた。
「リリアは怖くないんですか…死ぬ事にかんして?」
 あまりにもあっけらかんとしているリリアを見れば、サラがそう思うのも無理はない
「怖くないかと問われれば、確かに多少は怖い気持ちもありますね」
 だが、本人は怖いと思っているようだ。
「だったら、何故そんなに…」
「ですが、生命体は何時かは必ず死ぬものです。どうあがいたところで、私たちは輪廻転生の輪から外れてしまう存在なので、次の生はありません。今までの記憶や経験が消えてしまうのは残念ですが、それは今まで私たちが長く生きてきた間に、何度も目にしてきた事ではないですか。今更、自分達だけは死にたくない等と騒いだって仕方ないことです。要は、順番が回ってきたってことですよ」
 サラの話に被せ気味にリリアがそう語った。
「でも…私は、今のこの状況が好きなんです。多分、今まで局長に言われて行ってた、あちこちの次元のどこよりも楽しいんです。だから死にたくないなぁ…もっと、大河さん達と遊びたいなぁ…って」
 そう語るサラの顔は、少し寂しげだった。
「まあ、私もここが今までで一番楽しいのは認めますよ。なにせ、複数のダンジョンマスターと普通に会話できるなんて、局にいた頃には想像だに出来ませんでしたから」  
 そう言うリリアも、どこか寂しそうに見えた。
 それも当然だろう。
 何せこの地…つまりは、第2,243,287次元にある実験星と称される星に来てからの日々は、管理局に居た頃には全く想像もできない生活だったのだから。
「ええ、本当にそうですねぇ。まさかダンジョンマスター達と、あんなに良好な関係が築けるなんてねぇ…思いもしませんでしたよ」
 サラもリリアの考えに同意した。
「別に敵対してるって訳でも無いですが、やはりうちとあそこはある種のライバル関係ですからね」
 言わずもがな、あそことは解放魂魄統轄庁の事であり、うちとは輪廻転生管理局の事。

 2人は管理局所属であり、ダンジョンマスター達は統轄庁の所属。
 本来であれば、統轄庁の一部所である管理局が、上位組織やそこに所属する者をライバル視するなど考えられない。
 いや、実際の世界ではそれもあり得るかもしれないのだが、彼女達はそんな世界とは甚だしく乖離した次元の存在。
 その世界に生まれた…いや、出現したというか、意識を獲得したと言うべきか、とにかくその時から立ち位置は決まっている。
 別に統括庁であろうとも、管理局であろうとも、特に待遇的な差など無いのだから、その立場に文句を言う事も無い。
 ライバル関係と思っているのは、主に管理局のごく一部…局長のみである。
 そもそも、庁に属する者も局に属する者も、本来であれば顔を合わせる事も無いのだから、そんな考えになど至らない。。
 まさかこの世界で顔を合わせるだけでなく、言葉まで交わす事になるなど、2人が考えもしなかったというのは確かな事だろう。

「この関係をもう少し続けたい。そう考える程度には、寂しく感じますね」
 リリアが外面を取り繕っている様には、サラには見えなかった。
 つまりは、本気で寂しく感じているという事であり、自分と少しでも同じ気持ちを持っていることに、サラは少し嬉しくなった。
「それで、サラはこの先どうするつもりですか?」
 ニヤニヤと含み笑いをしていたさらに、リリアが表情を一転させて真面目な顔でそう聞いて来た。
「へっ?」
 どうするとは、どういう意味なのか…更には全く言っている意味が理解できない。
「だから、どのようにダンジョンマスターに協力を仰ぐのですか? っと聞いているのです」
 そう言うリリアの表情は、とても静かで見る者によっては怖くも感じる…そういう顔をしていた。
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