システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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吸血鬼?

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 ヒナを間に挟み、俺はその特徴的な部分を指さしながら、ボーディに迫った。

「つまり、その髪の毛は染めているようなものだと?」
「うむ、その通りじゃ」
「肌が白いのは、おしろいを塗っている様なものだと?」
「うむ、その通りじゃ」
「唇が紅いのは、紅をひいている様なものだと?」
「うむ、その通りじゃ」
「瞳が赤いのは、カラーコンタクトの様なものだと?」
「か、からーこんやくちょ? それの意味は分からぬが、多分その通りなのじゃろう」
 この世界にカラコンは無かったか…まあ、それはいい。
「つまり、ヒナがまるでアルビノの様な見た目なのは、単なるカラーチェンジであって、遺伝子的な病の類では無いと?」
「うむ、全くもってその通りなのじゃ!」
 前世でのアルビノの人達の迫害や酷い差別を耳にしていただけに、そうでなかった事に心から俺は安堵した。

「のぉ…もう満足したかや?」
 見るからに俺を可哀相な奴認定し、やれやれれたと肩を叩きながらボーディがそう言った。
「満足…っていうか、安心したというか…。まあ、ヒナの身体機能に問題がないことが分かって、ほっとしたよ」
 これは、偽らざる俺の本心。
「えっと、もうお話は終わりましたでしょうか?」
 そんな俺とボーディの間に割って入って来たのは、嫁ーず筆頭のメリル。
「あ、ああ。大丈夫だ、問題ない」
 そう微笑みながらそう答えたのだが、何だかメリルは微妙な顔をしている。
 よくよく辺りを見回すと、嫁ーずだけでなく妖精達もかなり微妙な顔。
 悲しんでいるという分けでも無く、何だか戸惑っている様な…どうしたん?
「それで、トールさまが苦しんでいたのは、前世の記憶にヒナ…ちゃん? の様な容姿の方がいらして、不遇な立場だったから…と言う事であっておりますか?」
 何を言い出すんだ、メリルは?
「ああ、その通りだけど…」
「トールさまが酷く辛そうでしたので、つい私もトールさまの敵は…など言ってしまいましたが、ヒナちゃんの容姿のどこに問題が?」
 俺の言葉に被せ気味にマチルダが真顔でそう言って来た。
「え? だから、遺伝子的な病で肌とか髪とかの色味が抜け落ちるというか…」

 アルビノ症について、前世と比較しても極端に医療技術のレベルが低いこの世界の人に説明するのはかなり難しい。
 医療だけでなく、文化・文明的にも、かなり前世と比較すると、数世代は遅れている。
 これは、やたらと何の病気や怪我に効く薬がある事や、治療用の魔道具の存在や、数は少ないが治癒の魔法を使える人がいるせいだろう。
 そもそも命の価値が軽い世界なので、身体に何らかの問題を抱えている人達は長生き出来ないという現実もある。
 そういった部分に関して言えば、前世の野生の世界での弱肉強食に近いのかもしれない。
 とは言っても、ヒナは現実に目の前にいる。
 前世の記憶にある世界の住人じゃないし、ましてや野生の生き物ではない。
 俺だって、そんな事は分っているんだよ?

「でも、それって吸血族と似た容姿ですよね?」
「えっ?」
 一瞬、ミルシェが何を言っているのか分からなかった。
「確かに…似てますね…。あと、私の住んでいた所では度々見かけました…」
 え、ミレーラも?
「うむ、私は男性の吸血族としか会った事はないが、確かに赤い目と白い髪は似ている…が、どうみても違う種族な気が…」
 イネスは会った事あるのか!
「男の吸血鬼?」
「「「「「吸血鬼?」」」」」
 え、違うの?
「マスター吸血族ですよ?」「「「鬼じゃ無いですよ?」」」
 ナディアまで…って、アーデ達も知ってるの!?
「ああ、妾達も、吸血族をモデルにしておる」
 ボーディが自慢気に、鼻息も荒く洗濯板を張ってそう言った。 
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