システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

大国 鹿児

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ちょっと休憩

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「あ、あの戦闘力は、異常すぎます…」
「えるちりーじゅって、あんなにすごかったでちたっけ?」
 アルテアン家の女性陣の戦闘を見ていたカジマギーともふりんが、その光景から視線を外す事無く呟いた。
 
 そう、2人が呆然としたのは、Lシリーズが想定外の戦闘力を発揮していたからだ。
 とは言え、これはLシリーズの制作者であるダンジョンマスター達の想定が単に甘かっただけの事である。
 LシリーズもLガールも、そもそも使用者の魂のエネルギー量によって、その能力が些か変動する。
 トールヴァルドに近しい者は、彼の影響によって著しく体内の保有エネルギー量が増大している事を、完全に忘れていたのだ。
 なのでLシリーズの戦闘力が想定よりも大幅にアップしているのであるし、あの戦闘シーンも当然なのだ。

「まあ、我が家の女性陣は強いからねぇ…あはははは…」
 トールも、もうこれには笑うしか無かった。

「は~! スッキリしたー!」
 大型のモンスターの群れを無傷で撃退したイネスが、変身を解いてとても良い笑顔で戻って来た。
「疲れましたねぇ。ちょっと休憩にしましょう」
「ええ…そうですね。喉が渇いたので、お茶などは…どうでしょうか…?」
 マチルダもミレーラも、共に笑顔で語り合いながら、トールの元へと戻って来た。
「でしたら、本日は良い茶葉を持ってきておりますよ」
「「「お茶菓子も持って来てます!」」」
 ナディアも、アーデ、アーム、アーフェンも、実戦訓練の場に何を持って来ているんだろう?
「あ、で…では、おゆをよういちまちゅ!」
「では、私はテーブルと椅子、それと茶器をご用意いたしましょう」
 女性陣の言葉を受けたもふりんとカジマギーは、取りあえず一旦考えるのを止めて、お茶の準備をするらしい。
 ダンジョンの地下の一番深い所で、一体何をしているのだろうか。
 まあ、このダンジョンでの戦闘の目的は、あくまでも訓練というか装備の慣熟のためというか、とにかく素材を求めて来ているのでは無いし、モンスターの出現タイミングもカジマギーやもふりんがコントロールしているので、こうした時間も取れるってわけだ。

「それで、皆は新しい装備を使って戦ってみてどう感じた?」
 何故かダンジョンの地下で、優雅にティーカップを傾けているトールが、同じように丸いテーブルを囲んでお茶を愉しんでいる女性陣に問いかけた。
「そうですねぇ…、思ったよりも威力があるなぁっと」
 マチルダが、簡単にLシリーズの感想を述べた。
「うむ、マチルダの言う通りだな。先の戦争の折に、これが手元にあったなら…もっと戦働きが出来たであろうなぁ」
 イネスは、アホ皇帝との戦争の時の事を思い浮かべながら、呟いた。
「あの時に…これがあれば…あんな男共簡単に一掃出来たでしょうに…」
 腐った兵士や騎士崩れによって蹂躙された村々を思い出し、ミレーラは目を伏せた。
「確かにミレーラ様の言う通りです。これで私達も今まで以上に戦えます!」
「「「マスターの敵は、残らず殲滅だ!」」」
 ナディアの力強い言葉に、アーデ、アーム、アーフェンが乗っかり、声を大にして物騒な事を言う。
 それぞれの感想を聞いたトールは、小さくため息をついたあと、少し冷めたお茶で少しだけ乾き気味な唇を潤した。
 ちなみにカジマギーともふりんは、お茶の準備が整ったあと、すぐさまダンジョンマスターの元へと転移していった。
 あのあまりにも衝撃的な光景を残さず報告するためだろう。
 まあ、今更報告をした所で、何もかもがすでに遅い気もするのだが…。

 
 さて、この星の裏側でトールヴァルド達がドタバタやっている頃、サラとリリアは、朝日を浴びて光り輝くホワイト・オルター号で山脈越えをしようとしていた。
 昨晩見つけたポイントを慎重に…っと言う程慎重に飛んでいるわけでは無い。
 そもそも限界高度よりも随分余裕をもって山脈を越える事が出来るポイントなので、幾分余裕が2人にはあった。
 ヴァルナルは、キャビンとカーゴルームを繋ぐ支柱の中の梯子を上って騎士や兵士達の様子を確認しに行っているので、ここには居ない。
 なので、自由にお喋りする事も出来た。

「ねぇ、リリア…私、思ったんだけど…」
「どうかしましたか、サラ?」
 操縦桿を握ってはいたものの、どこか上の空だったサラの様子を知っていたリリアが返事をした。
 今朝起きてからというもの、時折深刻そうに考え込むサラの、あまりにも『らしくない』姿を知ってはいたものの、どう声を掛けようかと思っていたリリア。
 悩みなんて物は人それぞれだし、もしも相談されればそれに乗るぐらいの事は考えていたリリアではあったので、問いかけられれば答えるのに否は無い。

「もしかしたら、私達も輪廻転生の輪から切り捨てられたのかなぁ…って」
 
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